富士屋ホテル(フォレストロッジ・デラックスツイン)

富士屋ホテルといってもチェーン店でありますが、ここで書いているのは宮ノ下温泉の富士屋ホテルです。言わば本家本元のクラシックホテルです。
創業明治11年、ホテルとしては本当に歴史のあるものです。知名度はかなりあるのではないでしょうか。

大抵ホテルに行くと車は自分でとめることになるのですが、ここは入り口まで乗り付けて、あとはスタッフが停めてくれるという形です。
ちょっとだけいい気分なのですが、現実的な話、ここに来る車の数が多くて効率性を考えたものと思われます。
中に入ると、タイムスリップしたような気分になります。独特なにおいはしますが、歴史のあるホテルが好きな人にはぜひともお勧めします。入り口は竜宮城か?なんて思うほど。
建物自体も風格あるものなのですが、印象的なのはロビーかな。
初めてのクラシックホテルなので緊張したものの、スタッフが気のいい人だったので、ゆったりとした覚えがあります。
ただ、難点を言うのなら、ある程度人が集まるということを想定しておくべきだということですかね。たぶん、クラシックというイメージのままに行くと、人の賑やかさに度肝を抜かれるかと思います。

このホテルの面白いところは、館内案内ツアーがあるところでしょうか。ここでは決まった時間に館内をめぐります。前もって予約する必要はなく、時間に現地に行けばモウマンタイです。
天気などの条件もありますが、かなり色々な所が見られるのでホテル探索が好きな人にはお勧め。富士屋ホテルの歴史も教えてくれます。
ある程度お年の方が案内してくれましたが・・・話を聞いていると結構手前味噌(厳密に言えば創業家褒めまくり)なんですよね。
ただ、絶妙な語り口のおかげか、ぜんぜん嫌味に聞こえないんです。本当にいい思い出です。

ちなみに、私が行ったときは大雨の前日だったので100%楽しめたわけではないですが、庭園もあります。時間があれば散策するのも面白いです。
夏は山百合が見事です。あちこちで咲き乱れ、あたり一面に芳香が漂います。
そして、なぜか敷地内に温室もあります。とはいえ、あんまり立派なものではないかな。ビニールハウスに近い感じ。どうやら中の植物は買えるものもあるみたいです。

今回泊まったのは「フォレスト・ロッジ」という、『比較的』新しい建物(それでも昭和時代の建造物ですが)。戦後に建てられたので、厳密にはクラシックではないのですが・・・。
泊まった部屋は、山側でした。あまり人気ではない部屋なのか、電話予約でも割り引いていただきました。
ただ、部屋は41uとかなり広く、そしてロビーと離れているせいか、結構落ち着きます。いい部屋です。
調度品はかなり使い込まれているようで、レトロではありますがそこまで高級という感じではありませんでした。素人目にそう見えただけで、実際にいくらぐらいかは分かりませんがね。
なお、お風呂は源泉らしいです。普通の何処にでもある浴室だったので、あまり温泉だというイメージはありませんでした。そこがもったいないかな。
出来た当時のものを大切にするのはいいけれど、もっとお風呂にも風情を付け加えてくれれば嬉しかったです。
「当たり前のように」源泉を使っていることはある意味贅沢ですが、箱根ですのでもう少しそれをアピールしてもよかったのではないでしょうか。

さて・・・肝心の食事ですが・・・メンダイの「ザ・フジヤ」を予約しました。ここは夜は要予約だそうで。上着は着用をお勧めしていますが、必須ではないようです。「昔はそうだった」などと言われ気前のいいところだ・・・などと思った記憶があります。
ただ、ここに限らないことですが、ホテルのフランス料理系には最低限の服装はしていくことをお勧めします。
アラカルトもあることはあるのですが、かなり面倒くさかったのでコースを頼みました。舌平目と骨付き子羊だったから、メインは二品になるのかな?
食事自体はかなり美味しいです。素人でもそのくらい分かります。ただ、素人である自分が恨めしかったですね(笑)。何か特別なことがあったとき、大切な人と一緒にいるとき・・・そんなときに食べたい料理でした。
ちなみに、このホテルはカレーが有名です。お昼ごろ行けば食べられます。それが食べられなかったのが私としては心残りです。

このホテルに泊まって感じたことは、古さは伊達ではないということでしょうか。箱根というと温泉宿をイメージしがちですが、こういうホテルに泊まってみるのも面白いかと思います。
広い庭もありますし、館内案内ツアーもある・・・日常と違う空間で限られたひと時を過ごしたいのであれば、こんなホテルがお勧めです。