最終回
それからしばらくあとの日曜日。
彼らは近くの川原でデートをしている。
他にも色々楽しめる場所があったのだが、光が言い張ったのだ。
どうやらデートの邪魔をされたくないらしい。ほかにも候補はあったが、博は言い返すことができない。
ここ最近忙しくて光をほったらかしにしていたからだ。
二人とも幸せ絶頂であったが、ちゃんと京極への報復は忘れなかった。
数週間かけて京極一族を財界の重鎮から追放するよう差し向けたのだ。
博がそれができるほどの地位にあったのかは謎ではあるが・・・。
とにかく、それをするのに忙しかったため、光をかまってやれず、報復作業が終わったときには光は拗ねまくって、口も利いてくれなかった。だから、博はデートをすることで光のご機嫌をとることにした。
で、結局デートの場所は川原となったのである。
二人でいちゃつくのなら部屋であってもよかったのに・・・そこまで考えたところでふと気付いた。
二人で出るのはこれが初めてだった。もともと休日は家でごろごろしていたし、食事、食材は光に買いに行かせていた。
恋人同士となった後も仕事で忙しくて出かけることができなかった。
そういえば、昨日は妙にそわそわしていたが・・・そういうことか。
なんか中学生のデートみたいでほほえましい。
が・・・この状態はなんとも納得がいかない。肝心の恋人は眠っているのだ。
しかも博のももを枕にして・・・。
「これは蛇の生殺しか・・・」
博は盛大なため息をつく。いくらなんでもデートの最中に恋人のことを忘れて眠るとは何事か。
こんなところで報復されるとは思わなかった。
立つこともできない。だからといって、寝顔は可愛いので起こすのももったいない。
どうしたものかと思っていると、光が寝言を放つ。
「ひろし・・・だいすき・・・」
ひょっとして俺の夢でも見ているのか?
それならこの理不尽な状況も帳消しにしてやろう。
博のご機嫌もすっかり直ってしまった。現金な奴である。
今まで構ってやれなかったから思いっきり構ってやろう。嫌がるまでべたべたしてやろう。ひたすらいちゃついてやる。だから覚悟しておけ。博は眠り姫の唇にキスを落とす。その日は実に平和な日であった・・・。
めでたしめでたし