Forget-me-not 番外編0.5〜タイトル未設定〜



俺は光輝兄の部屋を「掃除していた」。光輝兄はかなり綺麗好きだから、汚くなるようなことはない。だから、好きな人の部屋は覗きたい・・・という俺の気持ちだったりする。人のプライバシーに踏み込んではいけないとはわかっているんだけど、理性と感情は別物なのだ。

「本当に・・・汚れてないな・・・」

時々何かあると汚れてしまう俺とは違い、光輝兄はいつも綺麗にしている。彼は「いつも綺麗にしていれば汚くなることはない」と言うけれど、便利さを追求すればある程度汚くなってしまうのは仕方がないのだ。そんな彼の部屋に妙な劣等感を抱きながら机の上を見ると・・・


そこには写真があった。


俺と光輝兄が写っている。


俺は彼にしがみつき、彼はそれを見て苦笑している。


まだフィルムが残っているからと光輝兄がカメラを持っていたけれど、すでに現像していたらしい。俺に一枚焼き増ししてくれればいいのに・・・と文句を言いそうになったけれど、辛うじて止まった。写真たてに収まっているという事実のほうが大切だったから。





(俺、うぬぼれていいのかな)





「覗き見か・・・?趣味悪いな」

突然聞こえた兄のぼやきに、俺はびくっとする。

「えーっと・・・俺お世話になってる身だから、せめて掃除を・・・」

その弁解が役に立たないことを、俺が一番自覚していた。掃除機すらないのに、どうやって掃除するのだろう?

「・・・参ったな。それ、見てしまったのか」

苦笑しながら写真を指差す。俺はこくりと首を縦に振る。

「欲しいならやるぞ?俺には必要ないから」

何のためらいもなく、硝子の写真たてごと渡す。嬉しい気持ちもあったけど、それ以上に彼にとって重要でなさそうなのが哀しかった。

「お前が側にいてくれるんだろ?」



どんなに落ち込んでも、そんな一言で俺は舞い上がってしまう。兄は恥ずかしいことを言った自覚があるのか、そっぽを向いていた・・・。



おわり



日常のひとコマを書いてしまったせいか、オチが全くないです(苦笑)。
ちなみに、この後光輝兄は写真を焼き増ししてもらいました(笑)。かっこいいことを言ってみたものの、結構その写真は気に入っていたのです。