残暑祭りInぜるあめさいど
「あ〜〜あ、リナさん達、行っちゃいましたね・・・」
私はそう呟く。そして、ちらりと横のゼルガディスさんを見る。
異形の体ではない、ちゃんとした人間の姿。
今まで見てきた姿じゃない、ゼルガディスさん。
でも、やさしい目は変わっていない。
眼の色も、髪の色も今までとは違う。
でも、ゼルガディスさん。
私の・・・とても大切な・・・人・・・
「まあ、リナがこういうところで大人しくしているとは思わんがな」
そう言うゼルガディスさんの口元はどこかやさしげで。
私も心が温まったような気がします。
「そうですよね。リナさん達が『食べ物』って聞いて、大人しくする訳がないですよね」
仕方なさそうに、わざとらしく笑う。
そのまま三本のうちの残りの二本の道の一つを進んでいく私たち。
「それで・・・・ですね、アメリアさん、ゼルガディスさん」
少し後ろの方から聞こえてくる、邪魔者もとい、ゼロスさんの声。
「どうしてお二人で行く準備万端なんですか・・・?」
後ろを見れば、引きつった笑みのゼロスさんと何故かモーニングスター握る準備万端のフィリアさんの姿が。
「・・・逃げちゃいましょ、ゼルガディスさん」
ぼそぼそっと呟く。
だって絶対捕まったらゼルガディスさんと二人きりに離れないんですからっ!
「そうだな。それがよさそうだ」
小さく頷くゼルガディスさんの返事を聞いて、頬が緩む。
ああっ!なんて幸せなんでしょう!!
父さんから外出OKの許可を貰ったし(期限つきでも良いんですっ!)リナさん達やフィリアさんにも会えましたし(ゼロスさんは魔族ですから、即ち悪っ!あまり会えても嬉しくないです)その上ゼルガディスさんは・・・・vv
「行くぞっアメリア!」
「はいっ!」
そのまま二人で走り出す。
後ろでゼロスさんの情けない叫び声やフィリアさんの「きーなんですかっ私をこの生塵と一緒に行かせるおつもりですかっ!」という声が聞こえたけど無視しますっ!
正義じゃなくても良いんです!!
な、な、な、
何ですか此処わぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
辺りを見回せば神社なんですけど!
確かにゼロスさんがパンフレット見て教えてくれたように神社なんですけど!
カップル(死語)が多すぎですぅぅぅう!!!
あっちを見てもかっぷる、こっちを見てもかっぷる。
目のやり場に困ります・・・
ゼルガディスさんを見上げると顔が少し赤いです。
やっぱり同じことを考えているんでしょうか・・・?
そんなことを考えていると不意にゼルガディスさんと目が合う。
私は慌てて目を反らしちゃいました。
顔が少し赤くなるのが自分でもわかった。
ゼルガディスさんは咳払いをしながら、
「・・・凄い人ごみだな」
「そ〜〜ですね・・・ちょっと目のやり場に困りますね・・・」
「全くだ」
「あ、でもあそこの神社には行ってみたいですね」
山の上にある神社を指差して言うと、
「行ってみるか?」
「え、良いんですか?だって時間掛かりますよ?」
リナさん達、走り際にあんなこと言ってましたし・・・という意味合いを込めて尋ねると、ゼルガディスさんは少し肩をすくめて、
「まあ、いくらリナ達でもあれ以上は食べたりしないだろうさ。それに・・・」
口篭る。
ゼルガディスさんは少し照れくさそうに空を見上げ、
「ここの所、お前と二人になってないしな」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
えっとあのっそれって私、すっごくうれしいんですけどっ!
ゼルガディスさんは顔を俯かせて止まっていた歩みを再開させる。
わ、耳まで真っ赤ですvv
「アメリア!」
「あっ、はいっ!」
ゼルガディスさんに呼ばれて慌てて駆け寄る。
そしてそのまま、横に並ぶ。
そういえば、リナさん達と四人で旅をしていた頃も、リナさんの隣にガウリイさんがいて、私たちはその後ろを並んで歩いていましたね・・・
「・・・・それにしても私たち、なんだか浮いているような気がします・・・」
だって周りには手を繋ぎ腕を組み果ては木の陰で抱き合ってる姿が・・・(///)
ああっなんてふしだらな(ヲイ)言い方をしてしまったんでしょう!!
「・・・・・・」
ゼルガディスさんは黙ったまま歩き続ける。
私もその横を歩き続ける。
その間は二人とも沈黙したまま。
でも、私はさっきゼルガディスさんが言ってくださった言葉で、心臓がどきどきいっているのがゼルガディスさんに聞こえないか不安で胸がいっぱいで何かを言おうとは思えなかったです。
しばらくすると、【山頂へ ↑】という看板が立ててありました。
そのころには周りのかっぷるも姿が見えなくなっていました。
「いくんだろ。アメリア」
ゼルガディスさんが立ち止まり、上を見上げる。
私もつられて上を見上げる。が、見えたのは生い茂る紅葉の葉っぱばかり。神社は金色の光に邪魔されて、見えなかった。
「ええ。すみません」
ぺこり、と頭をさげる。
するとゼルガディスさんは少し眉を顰めて
「こういうときはもっと別な言い方をするもんだ」
と言い、私の頭の上に手を載せた。
私は思いっきり笑って、
「ありがとうございます」
「ほら、いくぞ」
ゼルガディスさんが手を差し出す。
私はそれをしっかりと握って、
「はい!」
さっきの笑みに負けないくらいの笑みで答えた。
■ おまけ。
「ところで何であんなに高い所に上ろうなんて気を起こしたんだ?」
「それはですねっ!高い所に現れるのは正義の使者ですっ!
ってことは、高い所にあるあの神社も正義だからですっ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうか」
「はいっ!」
作者様こめんと。
スミマセン。一人称がアメリアって
死ヌ程難しかったです・・・
ってことで、多少(所じゃないですが)
変な所は見逃してやってください。
それでは!