届かなかった。

二人ではダメだった?
二人では、この手は小さすぎた?

出会った時に口にしてみた一文字違いの名前。
腕を伸ばして、助けを求めた君が残したもの。
俺は何も出来なかった。

君とならわかる気がしたんだ。
この大空も、この陽の匂いも、川の流れも。
夏を渡る風が背に。それは走り抜ける合図。
青空を包んでくれた君と、草の上で転がって笑いあえるなら、
それは二人分の思い出。

なのに、夢は零れた。いつも一人で季節を越えて、傷付いて、
そしてやっと見つけた、俺の大切な生きる場所。
今はまた違う途を。

けれど諦めないで。今度は俺の番。

俺が遠く眺めた想いは昨日。君がまっすぐ見つめる瞳は明日。
すれ違う事も、出会う事もないはずの幼気な記憶だけど。
なら俺は、ぐるりと廻って君に逢いに往こう。
だって世界は繋がっているのだから。



きっと、また君を抱きしめよう。




-END-