21・モロクス
|
Morax Marax Farax Foraiiとも
元は旧約聖書・「レビ記」「列王記」に登場するヨルダン川東岸の民族・ア
ンモン人(彼らは、ソドムの生き残りであったロト(勇者ではない)の末裔であ
った)があがめていたという神・モロクである。また、絵もモラクスではなく、
モロクとして描いた。
モロク自体はかなり上位の魔王としてしばしば扱われる大物であるが、レ
メゲトンにおける彼はそれと比べるとたいした存在ではなくなってしまってい
る。
姿こそモロクと同じく牡牛の頭を持った姿で描かれるが、その能力は天文
学、一般教養やハーブと宝石の効果について教えたり、名声を与えたり。
といった非個性的なものであるあたり、重要視されなかったのがよくわかる
(まあ、アスモデウスやベリアルといった同じく超大物悪魔もたいした能力を
持たされていないんだけどね)。
なお、旧約聖書中などでは、生きた子供を生贄として炎に投じる、として
邪教扱いされているが、実際には夭折した子供を供養するための儀式だっ
たらしい。
また、「モロク」というのもこの神の名前ではなくて、この儀式の名称であ
るらしい。
|
22・イポス
|
Ipos Ipes Ayperosとも
ガチョウの頭と足を持った、ライオンの姿というよく考えなくてもなんか変な
姿で現れ、「過去、現在、未来のことを〜、とか、人を賢明で大胆に〜」と
か、お馴染みのことをしてくれる。
「地獄の辞典」では何故かウサギさんのしっぽという、可愛らしいパーツ
が加えられ、それをバカ正直に絵にした挿絵とともに、そのユーモラスさが
印象に残る悪魔となった。
|
23・アイニ
|
Aini Aimとも
「地獄の辞典」などでは「ハボリム」という別名の方で収録されていること
が多いので、そちらの名前の方が有名かもしれない。同書によれば彼は火
事を司る地獄の公爵で、26の軍団を指揮するそうな。
蛇、猫、人間の3つの顔を持ち、毒蛇に跨っているという、レメゲの中では
個性的な姿で現れる。「地獄の辞典」でのインパクトのある挿絵も有名で、
本の表紙等でもよく使われているようだ。
能力は、人を賢明にし、私的なことの質問に答える。というものだが、私
的な質問、というと、この方はあの格好で恋の悩みや将来の悩みについて
聞いてくれたりするのだろうか?
|
24・ナベリウス
|
Naberius Cerberus Cerebusとも
ケルベロス、という別名の一つで彼の原型がわかるだろう。
確かに現在においてもメジャーなモンスターではあるけど、なんでケルベ
ロスなんかを悪魔の一つとしたのかなあ、という気分にもなるが、レメゲトン
における悪魔は動物さんそのものの姿の奴がほとんどなのを考えると、あ
る程度納得いくかもしれない。
しかし、元ネタからはいつの間にやらかけ離れてしまったようで、彼は雄
鶏やカラスの姿で現れる悪魔なのだという。「3つの首を持つ」とされること
もある辺りが元ネタの欠片だろうか。ちなみに「地獄の辞典」では元ネタ通
りの3つ犬頭で描かれている。
なお、能力はすべての技術や知識のずるがしこいことを与え、失われた
名誉や名声を回復させる。というもの。
|
25・グラシャボラス
|
Glasya-Labolas
カシモラル、グラシャ、グラキャラボラスなど色々な別名があるが、その中
でもカークリノラースというのが有名だろうか。「地獄の辞典」でもこちらで収
録されている。
同書では地獄の大総裁で36の軍団の指揮官なのだが、何故かそれより
も格下のナベリウス(地獄の侯爵、19の軍団の指揮官と同書にはある)の
乗り物である。ともされており、混乱。
その姿は羽が生えた犬、という要するにシルバーボルト(G1のではなく、メ
タルス版)のようなものである。
能力は、すべての技術や科学を教える。流血や殺人を引き起こす。過
去、現在、未来を語る。友と敵とを和解させる。人を透明にする。というなん
だか書くのも億劫になってくるありふれたもの。
|
26・ブネ
|
Bune Bimとも
人間、犬、グリフォンの頭部とドラゴンの体を持つとされる。
・・・って、ドラゴンの体を持ってるんだったらわざわざグリフォンの頭を付け
ずに普通に鷲の頭を付けてもいいんじゃないだろうか。あんまり変わらんと
思うのだが、どうか。
と、行数を稼いだ所で能力紹介であるが、死に場所を変える。墓の周りか
ら精を集める。富を与え、知識と雄弁さを与える。問いに答える。といった感
じだそうな。死に場所を変える・・・というのは死体の場所を変える、というこ
とだそうで、他にも死者の墓に悪魔を集めたりするそうである。墓場に集ま
って何をするのだろうか。運動会?それはおばけか。
|
27・ロノウェ
|
Ronove
「魔物のような姿」と良く言われるけど、悪魔ってそもそも魔物じゃない
か?ってな気がする今日この頃。
そうやってどうでも良い事で行数を稼いでいる辺りからもわかるとおり、可
哀相な奴である。
能力は、弁論や言語を教える。と、いった言語に関するものがウリなよう
で、「地獄の辞典」でも、こういった能力について触れられている。が、「ロン
ウェ」とちょっと名前を間違えられているのが可哀相。まあ、「地獄の辞典」
では他にも色々なお方が違う名前で出ているのであるが。
他にも、下僕を与え、友と敵を和解させたりするそうな。
|
28・ベリト
|
Berith
バールベリト。元はシケム市の土着神がバアル神の一つとなったもの
で、フェニキアの人々にとっては契約の神(ベリトとは契約という意味)だった
らしい。
また、ローマ・エジプトにおける偶像崇拝の対象にも同名の(同一の?)存
在があり、こちらはもみの木をその神体として使っており、それが何らかの
形で姿を変えつつも現在まで生き残っているのがクリスマスツリーであ
る・・・という説を見たが、情報元が情報元(ツリーに巻きつけてあるモールは蛇=
サタンを象徴としている、とか言ってる所なので)だったりするので、話半分として聞
いておいた方が良いかもしれない。
悪魔と化した後もそこそこなポジションを与えられているようで、式部官お
よび祭祀長地獄の条約庁長官、公文書館館長など、色々な肩書きを付け
れ忙しそうである。
ちなみに、レメゲトン72悪魔のベリトはあくまでもベリトという単体の悪魔
であり、バールベリトとは無関係である、とも言われている。が、それではこ
いつの紹介も「口が達者、挿絵が有名」の二言で終わってしまいそうだし、
なにより、合成しちまった方がめんどくないので、ここでは同一の存在という
ことで、一つよろしくお願いしまする。
能力は過去、現在、未来のことを語る。問いに答える。金属を金に変え
る。確固たる名誉を与える。・・・という、何度も見たようなもの。
|
29・アスタロト
|
Astaroth
さて、72悪魔中でも屈指の大物悪魔である。
元は、バビロニアの女神イシュタル。イシュタルはバビロニアのみならず、
オリエント全域における様々な民族の神話や信仰で最も重要な地母神信
仰の根幹を成す存在であり、その地域によって名前や夫こそ違えど、必ず
といって良いほど彼女にまつわる神話が残っている。
また、彼女と同一の存在とまではいえないが、彼女の最も有名な神話で
ある「死んだ夫を追って黄泉へ向かう」というモチーフはバアルの妻アナト
や、エジプトのオシリスの妻イシスにも受け継がれているといえる。
と、なれば聖書中でもイスラエルの民の宿敵とされているカナン(悪魔にさ
れたバアルさんのいた所。今のパレスチナ)にもその信仰は伝わっており、
そこではその名前は「アスタルテ」となっていた。美しいが危険な戦いの女
神であり、聖書中に登場する邪神アスタロテはここで語られる魔王アスタロ
トではなく、彼女のことである。
その後、同じくパレスチナの戦いの神アシュタル(♂)と2身合体させられ、
男の悪魔であるアスタロトが完成するのである。
ミルトンの「失楽園」とかを見てもわかるように、その出自ゆえ、バアルと
はよくペアにされる。
悪魔としての姿は、手に毒蛇を持ち、竜みたいな何かに乗った天使として
描かれる。ついでに、紆余曲折あって男に性転換したと言うのに、キャラク
ターとして登場させられる際はほとんど間違いなく女性悪魔にされるという
変わった特徴もあり。アシュタル立場無し。
で、その屈指の大物悪魔の能力は、というと。過去、現在、未来のことを
語り、問いに答える。すべての秘密を見つける。一般教養を教える・・・とい
う、面白くもなんともないものでした。
|
30・ファルネウス
|
Furneus
召還した者の前に海の怪物の姿や人間の姿で現れるとされる悪魔。
海の怪物の姿をとる、とはいってもその能力は弁論や言語の技術を教え
てくれたり、友と敵を和解させたり、という海とは何の関係も無い上に、もう
何度も同じ文字列を打ち込んできたような感じのものだったりする。
そもそも、前から言いたかったけど、君たち友達同士を仲直りさせたり、好
きな人とラブラブにさせたりって、あんまし悪魔っぽくないと思うぞ。
しかも、それもなんか、変な魔術で相手を洗脳して〜とかいうのではなく
て、弁論や言語の技術をフル活用して行うらしい。いい人か、おまいは。
まあ、これはきっと、人々を「ヤナ奴が良いことするなんて、なんてヤナ
奴!あいつ善人かー!」と混乱させるためにやっている・・・のかも。
|