・Moegeton・W

   31・フォラス
 Foras
 異形の姿を持たず、人間そのものの姿で召喚したものの前に現れる。と
いう、これまた絵にする際に困り、こうして解説するときにはさらに困ってし
まう特徴ゼロな御方。

 能力もまた、ハーブや宝石の効用、論理や倫理の技巧を教える。人を透
明にする、長寿にしたり、雄弁にしたり、宝を見つけたり、なくしたものを見
つけたりする。といった、村の便利な爺さんのようなものばかりでやっぱり
困ってしまう。

 32・アスモデウス
 Asmoday
 ユダヤ教初期より伝えられる有名な悪魔。
 
 牡羊、牡牛、人間の3つの頭を持ち、竜に跨っているとされる。また、「地
獄の辞典」の挿絵では蛇の尻尾とガチョウの脚、蝙蝠の羽が加えられてい
る。

 元はイランのゾロアスター教における唯一神アフラマズダーの敵対者・ア
ンラマンユに率いられた悪魔の内の一体・「激怒・情欲の魔神」アエーシェ
マ・デーヴァであったとされる。このように、他教における悪魔がそのままユ
ダヤ・キリスト教においても悪魔とされることは意外と珍しい(もっとも、アエ
ーシェマもまた、デーヴァの名前が指し示すとおり、元はインドの善神であっ
たようだが)。


 彼に関する有名なエピソードは、ミルトンの「失楽園」でも触れられれてい
た、聖書外典である「トビト書」だろう。
 メディアの町に住んでいるサラという女性に萌え萌えになったアスモデウ
ス。この子は俺のものだとばかりに、サラたんと結婚した男は結婚したその
日に殺される始末。「なんか、変?」と思いつつも、懲りずに4回、5回と結
婚を繰り返すサラたんだったが、7番目の夫が殺されてしまった頃、やっと
こさ悪魔が取り憑いているのではないかと気付く。つか、もっと早く気付け
よ。
 我が身の不幸をのろったサラは自殺しようとするが、そこへトビアいう青年
とアザリア―という名前の人間に化けた大天使ラファエル―がやってきた。
アザリアはトビアにサラとの結婚を勧めるが、トビアも死ぬのは嫌なので、
貝のように口を接ぐんで帰ろうとするが、アザリアは「いや、このティグリス
で釣ってきた魚の心臓とレバーを持ってれば大丈夫だから、ね、ね」と念を
押し、トビアもそれを受け入れ「全てを知る方を!」選択するのであった。
 その後、結局結婚することになった二人、当然そこに現れるアスモデウ
ス。ト「サラは・・・返してもらう・・・いや・・・」ア「貴様の・・・ものでは・・・ある
まい!」ト「そうだな・・・ならば海賊らしく・・・いただいていく!」
 と、まあ色々あって、結局アスモデウスは魚の臓物の生臭さ、もしくは悪
魔よけの力によって敗退。さらに逃げようとする所をラファエルにとっちめら
れてしまったのでありましたとさ。
 しかし、結局自分はサラに指一本触れていない辺り、アスモデウスもなか
なか初々しい奴である。
 
 また、アスモデウスはオカルティストたちにとって重要視される悪魔でもあ
る。丁寧に頼めば、天文学・算術・幾何学の技術、職人芸を与えてくれた
り、全ての問いに答えてくれたり、無敵にしてくれたり(スターか)、宝を見つ
けてくれたり、守ったってくれたりする、といった事をしてくれるし、どこかで
突然それっぽい人に出会っても、慌てずに「あなたこそ魔王アスモデウスで
すね?」と聞けば高潔な指輪をプレゼントしてくれるとも言う。もっとも、これ
を本当にやると、多分相手からは指輪どころか、危ない人と思われてポリ
スへの通報をプレゼントされるかもしれないので、オカルティスト諸君は気を
つけるように。


   (参考資料・「機動戦士クロスボーンガンダム」1・5巻)
  33・ガープ
 Gaap
 普通に悪魔の姿で現れる、元は能天使(パワー)だったとされる悪魔。人
間の前に現れ時には、さらに、4人の王を引き連れているという、・・・って、
前にも言ったけど、引き連れられている王と言うのは、何処の王なんだろう
か?まいいや。ちなみに、ガープさん本人はパイモンと並んで地獄の西方
を治める王で、ベリスさんとはお友達なのだそうだ。
 能力は・・・哲学・一般教養を教える。無知にする。愛や憎しみを引き起こ
す。物を清める方法を教え、名誉を与え、問いに答え、過去現在未来のこと
を語り、日等を移動させたり、元の場所に戻したりする。と、依然書いたも
ののコピペですみそうなものばかりだが、何故かやたらと量が多いね。

 34・フールフール
 Furfur
 燃える蛇の尻尾と大きな翼を持った鹿、という個性的な姿で現れる悪魔。
 能力の方も、男と女に愛をもたらす、問いに答える。・・・という書き飽きた
ものは置いておいて、嵐を呼び、稲妻や雷鳴を起こす。という天候に関する
能力を持つのもレメゲトンでは彼しかいない、というなかなかに恵まれた悪
魔。
 「地獄の辞典」では、嘘つきとよく天使の姿をとる、という二つの性質が付
け加えられており、さらに、ここで描かれている挿絵もなかなかに印象的な
ものだったために、彼は現在でもそこそこメジャーな悪魔の一体になったの
であったとさ。
 本当、恵まれている奴は良いなあ。

 35・マルコシアス
 Marchosias
 翼を持った狼の姿で現れる悪魔。ちなみに、口から火を吹く。
 能力に関しては、レメゲトンでは「戦う。問いに答える」という前3体に比べ
ると恐ろしく素っ気無い記述しかなく、愕然とさせられるものの、レギナル
ド・スコットさんの「妖術の暴露」という本の中では、人間の姿をとり、あらゆ
る質問に答えたりする飼い主・・・じゃなくて召喚者に忠実な様が伝えられ
ている。
 「地獄の辞典」では地獄の大侯爵で、30の軍団の指揮官とされ、権天使
(プリンシパリティス)階級の出身ともされている。


  36・ストラス
 Stolas
  銀の爪を持ち、カラスの姿で現れ、天文学の技巧や、ハーブや宝石の功
能を教えてくれる悪魔。
 目の周りを赤くしていると言うが、それはいわゆる寝不足という奴だろう
か。だとしたら私の仲間ですね。
 プラの字の「地獄の辞典」では、何故かフクロウの姿で現れると記され、
時には人間の姿もとるのだとそうな。しかし、この「地獄の辞典」における挿
絵のフクロウの絵が、夜道で出会ったら思わず頭を撫でてあげたくそうな、
なんともいえない可愛らしさにあふれたものだったので、見事ストラスはフク
ロウとして定着し、カラスのことなんざみんな忘れてしまいましたとさ。
  37・フェネクス
 Phenex
 この、フェネクスという読みは、どうも元の発音に忠実ではないようだ。
Phenexよりも元ネタどおりのPhoenixと表記されることの方が多いことから
もそれがわかる。
 フェニックス。やっぱしこの名前で悪魔の中に並べると、なんか違和感が
ありますな。このように、ケルベロスやこいつのように元ネタがなんだか悪
魔っぽくない、はっきりいって浮いている、といった時には、別名のナベリウ
スだとかフェネクスだとかを使って、なんとかそれっぽくする、というのがお
勧めです。勧められても困るだろうけど。
 
 ちなみに、なんだってアラビア神話の不死鳥が悪魔になったのかは不
明。ケルベロスのような邪悪性を一切持っていないし、アラビア神話を敵対
視する必要性もあまり無い気がするのだが・・・

 能力は、すべての知識を与え、問いに答えるという、お馴染みのもので、
元々のアラビア神話などで彼が持っていた不死性はいつの間にか消えて
しまったらしい。不死鳥じゃないフェニックスに意味はあるんでしょうか。と、
遠野美凪さんのようなことを言いたくもなってしまいますね。
 
 「地獄の辞典」では、人間の姿をとることもあり、その時のフェネクスの声
は聞いてはいけない、というなんだかよくわからない特徴が付け加えれた。
声を聞いちゃいけないって言われても、どうせ池田昌子の声だろうしなあ(そ
れは「火の鳥」)

 38・ハルファス
 Halphas
 ハトの姿で現れ、その、いかにも平和の象徴な姿とは裏腹に、好戦的
で、呼び出したものに兵器類を与えるというブラックゴースト野郎。ついで
に、塔も建ててくれるという。目立ちたがり屋め(違)。 しかし、どうも悪魔悪
魔した奴が少ないレメゲトンでは、こういう好戦的な奴はいるだけでそこそこ
の個性になるのだから良いね。
 「地獄の辞典」では、もう1説の方のコウノトリの姿で描かれ、この姿もま
た赤ちゃんなんかを運んでくれそうだが、やっぱり戦争を引き起こしてくれる
んだそうな。

 ところで、剣の達人だそうだが、手がないぞ。

  39・マルファス
 Malphas
 カラスの姿で現れ、敵の秘密を教えてくれたりする悪魔。なんといっても
名前が一つ↑のハルファスとこんがらがること必至のイカス奴。ついでに、
ここにライオンの姿のマルバスも加えると、さらにややこしい事になって、な
んだかもう、全ての事がどうでもよくなってくる。
 
 能力は、塔を建てる、と言う所こそハルファスと同じだが、戦争と関連付け
られるハルファスと違い、マルファスは建設家的な悪魔だとされている。もっ
とも、名前のせいでこの2体は混合され、同一視されたりもして、能力や気
質がごっちゃになっていることも多い可哀相な奴。
  40・ラウム
 Raum
 召喚した者の前に黒い鳥の姿で現れる・・・って、鳥5連続かよぅ('A`)
 能力の方は、宝を盗み、都市や名誉を破壊する。過去・現在・未来を語
る。友と敵を和解させる・・・といった、お馴染みのコピペで済むものばかり。
考えた人も、適当に決めたのではないかと邪険したくもなる。
 「地獄の辞典」では冥界の大伯爵で30の軍団の指揮官。ここでは、その
姿はカラスだと明言されている。能力については、都市を破壊するのと人間
に高位を与える、の二つだけに減らされている。まあ、だからどうなるという
ことでもないのだけれども。


         モドル