51・バラム
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Balaam
アスモデウスやバエルを見てもわかるとおり、悪魔の姿が異形として描
かれたモチーフに、3つの頭を持った姿、というのがある。バラムもまた、
そのような姿を持った悪魔の一つで、一般的に、人間、牡牛、牡羊の頭を
兼ね備え、蛇の尻尾を生やし、熊にまたがった姿で現れるとされている。
また、それだけでは「姿には一応インパクトがあるけれども、アスモデウ
スとかと被りまくりで印象が薄い」というような感じもするけれど、この悪
魔独特の特徴として、手首に鷹を止まらせている、というのもあるので安
心である。…だからといって印象が強くなるような事は無い?そうかも(無
責任)。
能力も「過去・現在・未来を語る。人を透明にしたり、賢明なものにする
〜」というような非個性的なコピペもの。見た目にインパクトがあるからと
いっても、メジャーになれるとは限らないという見本のようなお方である。
なお、旧約聖書「民数記」ではヘブライの民に敵対するミディアン人の
王が、神に守られたヘブライの民に呪いをかけて貰うために雇った異邦
の占い師としてバラムという同名の人物が登場するが、特に関係は無い
ようである(名前だけ取った、という可能性はあるが)
ちなみに、別名はバランだが、ムササビのように空を飛ぶ怪獣でもなけ
れば、ダイの父親でもないし、お寿司とかのパックに入っているあの ギ
ザギザした草みたいなのでもないのであしからず。 |
52・アロケス
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Alloces
赤いライオンの頭と炎のような目を持ち、馬にまたがって現れるとされる悪魔。
能力は天文学と一般教養を教え、名誉を与える・・・って、もうライオン悪魔の解説はしたくないよ。もう、これ以上書くこと無いってば!
だけど、あと2,3体いるんだよなあ・・・
もともと、72悪魔の中には、数字埋め目的で作られているとしか思えないお方が多く、当然、そんなインスタントな感じで作られた方々には、バックボーンも無ければ創造された際に与えられた設定も(上記以上のものは)ほぼ無いため、こうして解説するときにはなんとかして文章量を稼がねばスペースも埋められないのである。お察しいただきたい。(よし、埋め終わった)
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53・カイム
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Caim
ツグミの姿で現れる悪魔。「鳥の言葉」というのは古来より事象の秘密を暗示するものであり、其れゆえか鳥の姿で現れるこの悪魔には「動物の言っていることがわかり、水を理解し、それを教える。問いに答える」など、言語と結びついた能力が与えられている。
「地獄の辞典」ではツグミの姿のほか、サーベルを持ち炎に包まれた人間、羽飾りと孔雀の尾をつけた人間、という3つの姿を持つとされ、その内ツグミと羽飾りと孔雀の尾をつけた人間は挿絵にもされているのだが、後者はただ単に奇抜なコスプレをした愉快なおっさんにしか見えず、悪魔と言うよりはコントという感じである。あと、未来を予言したりもするそうだが。
・・・・とか色々並べてみても、私の中では、カイムといえば思い浮かぶのはやっぱりあれである。
「シレーヌ、血まみれでもきみは美しい」
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54・ムールムール
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Murmur
グリフォンにまたがった、立派な公爵の姿をしているとされる悪魔。耳障りな声で話すと言う。
能力としては、召喚した者に哲学などを教えてくれたり、問いに答えてくれたりすると言うものなどがあるが、特徴的なものは、死んだ人の魂を呼び出すという降霊術にまつわるものである。
なんでも、死んだ者を呼び出して、さまざまな話を聞くことが出来ると言うこの能力が魔術師たちには重宝され、レメゲトンの悪魔の中でも高い人気を誇っていたという。
また、「地獄の辞典」では何故か音楽をつかさどる悪魔として紹介されていた。
私的には、ギガテンでのゲームバランスの狂ったような(というか、これ以上ないというほど、完璧に狂っているのだが)バカ強さが印象に深い悪魔である。
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55・オロバス
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Orobas
ガミギンやらと同じように、馬の姿で現れる悪魔。
姿にもあまり個性がないかと思えば、能力は輪にかけて非個性的で、「過去・現在・未来を語る。名声や名誉を与える。友と敵を和解させる。問いに答える。」などなど、いつもの面々が並んでいて、解説する気がへなへなとしおれてしまいそうである。
その後、おなじみ「地獄の辞典」収録時に、同書の挿絵画家であったブルトン(4次元怪獣ではない)さんによって描かれた、馬が直立しているだけ、という馬鹿正直な、とも言える挿絵はなかなか印象深いものがあり、そこそこメジャーな悪魔へと成り上がることになった。
人(悪魔?)生、何が幸いするのかわかったものではない、というお話。
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56・ゴモリー
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Gamori
黄金の冠を被り、ラクダに乗って現れるという、レメゲトンで唯一女性とされている悪魔。グレモリーとも。
人に愛を与える、という能力を与えられているのは、やはり女性的な性質から?と思いきや、同様の能力を持っている悪魔が他にもいっぱいいたり、その他の能力がいつもの「過去・現在・未来を語る。隠された宝を見つける。」だったりする所から察するに、やっつけで大量製造された悪魔の一体だったのかもしれない。だが、唯一にして最大の特徴である「72も同じような連中が並んでいる中での唯一の女性」というのは非常に印象深く残るものであり、結果として彼女は明確なバックボーンを持たないレメゲ悪魔の中ではかなりの知名度を誇ることになっている。やっぱりおにゃのこのある無しは大きいのである。このコーナーの趣向を考えるとあまり意味は無かったりするが。
ところで、何故かように「女性の悪魔」というのは少ないのであろうか。
もっともメジャーな女悪魔というと、やはりリリスであろうが、彼女は厳密には悪魔ではない。(エヴァンゲリオンとかで覚えた人もいっぱいいると思うけど)あくまでも「アダムと共に最初に作られた人間の女性」である。また、リリスの産んだ娘たちであるリリムやその性質の元ネタと考えて良いであろうサキュバスは、現在でこそ色々な所で大人気だが(笑)、その逸話は、むしろ男性を誘惑するサキュバスよりも女性を誘惑するインキュバスに多く残っており、サキュバスはインキュバスより派生した存在であるという説もある(インクブスはローマ神話起源)。
さて、ユダヤ・キリスト教は言うまでも無く超男性原理主義である。聖書などでは女子供はほとんど人間扱いすらされていなかったりすることも多い。ここで先の逸話の話に戻すと、サキュバスが誘惑する男性は一般的な市民であることが多いのに比べて、インキュバスの逸話は大抵が尼僧をインキュバスが襲い、結果として尼僧は堕落してしまう・・・という筋書きのものが多い。しかし、聖書などで描かれる男性の聖人と悪魔の邂逅は、(天使の手助けなどもよくあるが)大抵、聖人によって悪魔がとっちめられるという結末で〆られている。要するに、力強く神に守られた存在である(ユダヤ・キリスト教の)男性を堕落させてしまうような女悪魔はあまり必要とされなかったのではないか。伝承や言い伝えでは根強く残っていたであろうが、少なくとも教会が本当に起こった出来事である、として残した逸話には。
そう考えると本来は女神であったアスタロトがいつの間にやら男性とされたのもなんとなくわかるような気がする。悪魔の中でも強大な部類に入る悪魔は、やはり男性であった方がしっくり来たのだろう。何故ならば、男性が女性よりも優れた存在であるという「常識」が存在したからだ。
残りの女悪魔は、といえば、「ルシファーの娘or妻」といった逸話の多さ、メジャーさから自動的に女性悪魔のトップに躍り出るリリスを残し、リリムやサキュバスは一種族名でのみ定着し、固有の存在ではなくなっていったようだ。モリガンもリリスもサキュバスじゃないですよダンナ。
で、その中での数少ない例外とも言えるゴモリーたんだが、彼女が女性と設定されているのは、ほぼ間違いなく考えた人の気まぐれであろう。500ペリカ賭けても良い。実際、容姿の点では男性悪魔のパイモンが全く同じ特徴を持っているのだ。どちらが先に考え出されたのかはわからないが、マイナーチェンジの際にせめて個性をつけようと考えた結果、ゴモリーは女性に、パイモンが男性になっただけではないだろうか?
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57・オセ
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Oze
地獄の大総裁。豹に乗って現れるとも、豹の姿をとって現れるとも言う、変身と幻惑のイメージの強い悪魔。
自ら人の姿に変身したり、人を自分の好きな姿に変身させられたりもする、が、変身させられた人は自分でhそのことに気付くことが出来ないという。迷惑である。また、召喚したものに一般教養を教えたり、問いに答えたりもするが、その望みによっては人間に妄想と狂気を与えるともいう。やっぱり迷惑である。
「地獄の辞典」ではオズというエレガントな名前で紹介されており、ここではオズの王冠は人間に対する支配力が一日に一時間しか持続しない、という記述がされている。もっとがんがれ。
私的には某マンガとギガテンのせいでボスというイメージの強い悪魔。
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58・アミー
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Amy
地獄の炎をそのまま擬人化したと考えられる、炎と関連付けられることの多い悪魔。
死者の世界にいる時は炎に包まれた姿をしているが、地上にその姿をあらわすときは、呼び出した者の要望に答えて、端麗な人間の姿をとるのだそうである。ご苦労なことである。
能力は天文学・一般教養を教えてくれたり、名誉や隠された宝を与えてくれる、など。ただし、その知識は人間の生命力と引き換えに渡されるともいう。ならいいや。
「地獄の辞典」では天国への復帰を願ってやまない堕天使であるとされ、20万年後に天国へ復帰することを考えていると言う。気の長いお方である。我々もこういった大器晩成的というか果報は寝て待てなスタンスをもう少し持ってみたいものである。余計なお世話ですが。
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59・オリアス
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Oriax
さて、いつものライオン+でっかい馬+手に蛇のコピペな姿で現れる悪魔の一つである。
どいつもこいつも、グラフィック的にはさつじんきとカンダタやオルテガくらいしか違わないぞ、もう。おまいらはこんな昔からドット打ちをしなきゃいけないグラフィッカーのことを考えてでざいんされているのか、という感じである。ああ、書く事が無い、たすけて。
ちなみに能力は、星と惑星の効用を教える。人を運ぶ。名誉や名声を与え、確かなものとする。友と敵の和解をさせる。などなど。
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60・ヴァプラ
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Vapula
グリフォンの羽を持ったライオンの姿で現れる悪魔。
旧約聖書にてエゼキエルが幻視した天使・ケルビム(智天使。現在では
9階級に分かれる天使の階級の中でも第2位にあたる存在)はライオン、
ワシ、牡牛、蛇の4つの動物(ここに、人間の容貌が加わる場合も多い。
人間・獅子・牡牛・鷲がキリスト教的に聖なる動物とされているからであ
る)が混ざり合ったような奇怪な姿を持っている。後に、この動物たちはそ
れぞれが四福音書の書記者である聖人たちと関連付けられており、この
中のライオンは聖マルコを象徴としている。ヴァプラのワシの翼が生えた
(グリフォンの、という事は、要するにワシであろう)ライオン、という姿はこ
れに対する悪質なパロディであると考えられる。
能力は、そういった出自とは無関係な、職人技や専門職的なもの(神
学・法学・医学)、哲学や他の学問を教えてくれる、などである。
一つ後のザガンはこの悪魔と対になっていると思われる。
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