ぶつらーのつぶやき


8:バザラ大将に会いに行こう!夏の奈良、新薬師寺から法華堂へ


新薬師寺は奈良市街からすぐにあるにも関わらず
まわりはのどかな田園地帯である。
奈良自体が大いなる田舎である為
どの寺社を訪れても
古(いにしえ)の風景を安易に想像させてくれる。
それが又奈良の魅力だと言える。

高畑の方から車を走らせると
ほとんど離合出来ないような狭い道を通ることになる。
向こうから車来ないでくれ。と願いながらの運転だ。
狭い路地を抜けると一気に景色が開ける、
新薬師寺の前に出る、もちろん田畑が広がっている。



駐車場に車を止めて門をくぐると
正面に本堂が見える。入り口は左手に回ったところにある。

何処の寺院に仏像を見に行っても同じだが
天気がよければよいほど
お堂の中の薄暗さに目を慣らさなければならない。
いきなりは暗くて見えづらいがしばらくして慣れてくると
はっきりと仏像たちが見えてくる。
この感覚がまた楽しい。

新薬師寺の本堂では
中央に薬師如来が座っており
その周りを十二神将が取り囲んでいる。
十二神将はそれぞれが七千の兵を率いていると言われるから
つまり薬師如来は84000の兵に守られているわけだ。

入り口を入ったところから時計回りに
インダラ大将、アンテラ大将、メイキラ大将、サンテラ大将、
シンタラ大将、ショウトラ大将、クビラ大将、マコラ大将
ビギャラ大将、ハイラ大将、アニラ大将と続き
最後にバザラ大将が立っている。
この中でハイラ大将だけが後年の補作で国宝でない。
ちょうど12神だからか、それぞれに干支の守護神とされており
ハイラ大将はちなみに辰年。辰年の方残念。
なお、ついでに付け加えれば 私の生まれ年戌年の守護神は
一番有名なバザラ大将である。
戌年生まれは、ちょっと嬉しい。
なお個人的には守護神のバザラさんには悪いのだが
シンタラ大将とサンテラ大将が好きである。
ちょうど一休み用の椅子に腰掛けると真正面にこの2体がある。
じっくり拝見できる。

日本に現存している仏像は
もともとは金箔を貼られたり赤、青、黄色と色とりどりに彩色されていた。
これはタイなどの東南アジアの国々の仏像たちを見ればわかる、まったく同じだ。
日本の仏像たちも最初はあざやかに彩色されていた。
それが1000年以上の年月を経て
秘仏として隠されてきた仏像たち以外は色が
剥げ落ちモノクロームの世界にしっとりと沈んできた。
仏教圏の他国のひとは
なぜに日本人は色を塗りなおさないのか?と不思議がる。
これは仏像が作られた遥か後年
「侘び寂び」と言う独特の美学が日本人を支配したからだろう。
モノクロームの仏像に「侘び寂び」を感じ
それを美しいと感じる感性はこの国の人独特の美学であろう。

十二神将をぐるりと回るとお堂の奥にモニターが置かれて
CGを駆使した映像が映し出されていた。
モノクロームのバザラ大将を
表面に残ったかすかな染料を手がかりに再現するという内容だ。
そして偶然
この日はじめて新薬師寺に届けられ、はじめて販売された記念すべき一枚目
「再現されたバザラ大将」の絵葉書がこれだ。



ちょっと怖い。
もうすでに侘び寂びの美学に洗脳された私たちにはちょっと馴染みづらい。
でも天平時代にはキンキラの色あざやかな仏像たちが
あちらこちらで光り輝いていたのであろう。

新薬師寺を後にしてこの日はもうひとつまわる事にする。
車を県庁前の駐車場に停めてひたすら歩く。
大仏殿を後にしてズンズン進む。
くそ暑い最中、鹿たちはなんだか涼しそうだ。
過去なんども東大寺には訪れているのだが
何故か二月堂、法華堂の方へ行ったことがないことに気が付いた。
折角、時間もあることなので行って見ることにした。



法華堂に足を踏み入れると
中央に巨大な不空羂索観音が立っている。
両脇には日光、月光菩薩 そして金剛力士(阿吽)、四天王、梵天、帝釈天などが
それそれ巨大な体で所狭しと並び立っている、なかなかの迫力だ。
しかしやはり目を奪われるのは不空羂索観音であろう。
ちょっと小太りの体型に八本の腕、三つの目(三目八臂)。
体の正面に合わせた両手の手のひらには珠が挟まれている。
化仏と玉で飾られた宝冠をかぶっている。
この宝冠はときおり記念の年に外されて博物館などで見ることが出来るそうだが
さて、次はいつのことやら。
不空羂索観音の光背は本来の位置より幾分下がっているとの説があり
確かに仏像の頭ひとつ分光背を引き上げればもっと広がりが感じられただろう。


写真一番奥に見えるのが二月堂
連なった手前の建物奥は奈良時代の当初の物で右が鎌倉時代に
礼堂として繋がられた建物である。



折角だからお水取りで有名な二月堂にも登ってみる。
春日山の中腹にあたるこの位置からは
奈良の町が一望できる ええ景色だ。
左手に見えるのは大仏殿の大屋根。



二月堂を仰ぎ見る。
8月も下旬にさしかかると
気温はまだまだ真夏のそれではあるが
空の色が少しだけ夏から次の季節に移りはじめているような気がする。





(2006年8月20日)

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