この前、私の知人のお兄さんのAさんが亡くなりました。 …自殺でした。 会社をリストラされうつ状態だったところに、家族からの「怠け者」「働け」などの心無い発言の数々…。 Aさんは、自室に引きこもってしまうようになりました。 家族に散々な態度をとられた挙句…の自殺でした。 死の数週間前から、唯一Aさんがが外へ毎週出向く場所がありました。 それは老人ホームでした。 痴呆症で自分の顔もわからないお父様のところへ行っていたそうです。 それが、Aさんの最後の、唯一安らげる場所だったんだろうと思ったら…涙が出ました…。 知人が兄であるAさんの死を聞いて、呆然としてお葬式に駆けつけました。 そしたらAさんのご家族が、お葬式の場ですらAさんの悪口を言っていたそうです。 知人が激昂したことは、言うまでもありません 亡くなったAさんには、心からご冥福をお祈り致します…。 私はこの件で、「理解は人を生かし、無理解は人を殺すんだな」と思いました Aさんと私の違いは、そこだなって思ったからです 私は周囲に理解されたから、生きることができた Aさんは周囲に理解されなかったから、死を選ばざるを得なかった…。 私は周りに「大学なんか行かなくていいよ」「留年してもいいんだよ」「外に無理して行かなくていいよ」って言ってもらえた Aさんは「怠け者」「働け」ってどんどん辛くなる言葉しかもらえなかった そこが違いなんじゃないでしょうか 私にはそう思えてなりません きっとAさん自身にも、病気の自覚はなかったでしょう。 うつ病の認知度がもっと高ければ、ご本人かご家族か、誰でもいいから気付けていれば… 私がAさんの生前にAさんのお話を聞けていれば… Aさんの妹である知人に、私の病気の話をもっとしっかりしておけば… 仮定の話をしても無意味とわかっていても、次から次へと「もし…だったら」ばかり考えてしまいます 周りが優しく「ショックだよね。今はゆっくり休んでいいよ」っていう、その一言さえかけていれば、こんなことにはならなかったんじゃないかと思います それにリストラされた時点では、まだうつ状態ってだけで病気ではなかった気がします 誰だって壁に直面したらへこたれてしまうもの そこで周りが追い討ちをかけたら…そんなのは病気かどうかとかに関わらず、とても辛いことですよね Aさんの話を聞いた限りでは、Aさんは病気だったような気がします。そうやってご家族に責められ続けたことによって…。 私はAさんの話を聞いて、確かに「自殺」ではあるけれど、これはれっきとした「他殺」だと思いました 元患者として、私はAさんのご家族は殺人者だと思いました。 どうか、これを読んで下さった貴方は、無理解な人にならないで欲しいって思います それに理解と言っても、ひとりひとり違う考え方、違う経験を経て、個々の今があるのです。 完璧に理解するのは無理です 同じ経験していたとしても、感じ方は人それぞれだから だから、自分にとってはとても些細なことであっても、その人にとってはとても辛いことだってあるハズなのに 苦しみはハカリでは絶対に図れないものだから 特にうつ病など精神疾患というのは、なったことがない人にはその症状が具体的にどれくらい辛いのかなどは、わからなくて当たり前なんです ただ、病気で苦しんでいる人に、心ない言葉をなげかけないで欲しいなと、本当に思います わからないなら調べて下さい。本でもネットでも資料でも、なんでも漁ってください。患者さんと何回も何回もお話してください そしてわからないなりの一所懸命さで、患者さんと接していって欲しいなと思います 周囲の方々に一番必要なのは、理解しようと努力すること、そして患者さんを許すこと、患者さんを愛すること これに尽きるのではないでしょうか 理解は人を生かし、無理解は人を殺すことがあります 得てして、ストレス性精神病というのは、周りの人間関係のストレスで起きることがほとんどです 自分以外の他人が病気を発症させるけど、その病気を癒すのもまた、人なんですよね 病気を治すのは患者さん自身、そして周りの暖かい愛情なんじゃないかと思います |