世界一ありえない出来事
GM | : | よし、それでは立て続けに『アレクラスト見聞録』第14回セッションを始めるぞ。 |
サンドロ | : | うーい。 |
GM | : | 実はちょっとした手違いで早くもシナリオ崩壊寸前なんだが、勢いで行くぞ! |
ボーデル | : | 開始前からトラブル(笑)。 |
GM | : | では君達は “アノス” に向かって行進しております。すると目の前から── |
アーティ | : | “暴草族”? |
GM | : | イイ勘してる(笑)。 |
クロウ | : | 本当に? |
GM | : | 前方からトボトボと歩いてくる一団を見かけます。 |
ボーデル | : | 目を凝らして、ちょっと用心するぞ。 |
GM | : | 3人は“喜びの歌”のマイナー・バージョンを口ずさんでいる。 |
アーティ | : | マイナーバージョンってどんなの?(笑)。 |
GM | : | あるんだって。ちなみにこんな感じ・・・・・・ |
(暗く沈んだ調子で)ターン、ターン、ターン、ターン・・・ターン・・・タター・・・・・・ン・・・・・・♪ | ||
アーティ | : | 喜んでねぇ!(一同笑う)。 |
サンドロ | : | 知った顔かい? |
GM | : | まぁ、先日の3人です。 |
サンドロ | : | 「おや? 君達はこの間の。」 |
グラスランナー | : | 「・・・・・・・・・・・・」 |
サンドロ | : | 「どうした? 今日は走ってないじゃないか。」 |
グラスランナー | : | 「・・・・・・・・・・・・」 |
GM | : | っていうのを、サンドロが声をかけた後も5歩くらいトボトボ歩いた後に。 |
人間 | : | 「・・・・・・ああ、そうだよ。」 |
GM | : | と、遅れリアクションを返す。 |
サンドロ | : | ああそうか。私がブチ切れてバッソを抜く直前くらいだな。 |
GM | : | まさにギリギリ(笑)。 |
サンドロ | : | チッ、命拾いしやがったな(一同笑う)。 |
クロウ | : | サンドロ、頼む落ち着いてくれ(笑)。 |
サンドロ | : | 「お前たち一体どうしたんだ。ダウナー系でもやったのか?」 |
ボーデル | : | 何でそっちの方向に行くんだ。 |
GM | : | その問いに、2人は乾いた笑いを返すよ。チレットは俯いたまま無反応で、やがて膝を抱えて座り込んでしまった。 |
クロウ | : | 「どうしたんですかー?」 |
ボーデル | : | <サニティ> でもしてやろうかの? |
GM | : | すると、彼女はいきなり楳図かずお調の表情になって絶叫します。 |
グラスランナー | : | 「ひぃぃぃぃ~!! ド、ドワーフが4人も! イヤァァァ~~~!!」 |
GM | : | そのまま頭を抱えてガタガタ震えます。 |
サンドロ | : | (気分悪げに)よおーし、思いっきり鉄拳制裁してやる。 「貴様、私のことをドワーフ呼ばわりしたな!?」 |
アーティ | : | (こっちも気分悪げに)「ボーデル、(グラランに)<サニティ> しろ <サニティ>」 |
サンドロ | : | どうしてやろうか。思いっきり≪強打≫してやろうか。 |
GM | : | グラスランナーとはいえ、一応女の子だよ。 |
サンドロ | : | そうだったか。でもむかつくから代わりに隣にいる男をぶん殴る(一同笑う)。 |
クロウ | : | やめなさいって(笑)。 |
アーティ | : | 人間とケンタウロスがおりますが(笑)。 |
サンドロ | : | (即答)ケンタウロス。 |
ケンタウロス | : | 「うぶふぅっ!? な、なんでオイをなぐるんじゃあ!?」 |
サンドロ | : | 「お前のツレが今、私のことをドワーフと呼んだからだ!」(一同笑う)。 |
ボーデル | : | ワシもこう言うんじゃよ。 「おぬし、こんな外道とワシを同じ括りにしたな?」 ブシッ!(一同爆笑)。 |
ケンタウロス | : | 「ヘブシッ! だから、なんでオイを殴るんじゃあ!?」 |
アーティ | : | よーし、俺もついでー!(笑)。 |
ケンタウロス | : | 「ホギャアアッ!!」(一同笑う)。 |
クロウ | : | ・・・・・・じゃあ、人間の男に話を聞こうか。 |
グラスランナーがチレット(敏捷度【28】)、人間がクリストフ(敏捷度【24】)、ケンタウロスがバラックス・ハヤヒデ(敏捷度【24】)。 それぞれ、各界を代表するスプリンターである。 | ||
アーティ | : | GM、ラリってんのは一人? |
GM | : | チレットだけだね。 |
クロウ | : | 「何があったんですか?」 |
クリストフ | : | 「・・・・・・先日、あるドワーフに競走で負けちまったんだ。」 |
サンドロ | : | 「な、なにぃ!?」 |
アーティ | : | 「ドワーフにぃ!?(爆笑)」 |
サンドロ | : | 「そんな馬鹿な! ありえない!」 |
GM | : | それを聞いていたチレットが、 |
チレット | : | 「ひぃぃぃぃ~。」 |
GM | : | と言って頭を抱える。 |
クリストフ | : | 「・・・・・・僕たちはそれほどのショックじゃないんだが、こいつ、グラスランナーだろ? 完全に種族としてのアイデンティティを失っちゃってね。そのショックで見る者が全てドワーフに見えちまうんだ。」(一同爆笑)。 |
アーティ | : | なんだそれ(笑)。 |
ボーデル | : | ふざけた話じゃ(笑)。 |
クリストフ | : | 「それと、ショックのあまり2度と走れない身体に。」 |
サンドロ | : | 「待て。そいつはドワーフじゃない。」 |
クリストフ | : | 「信じられないかも知れないけど、ドワーフなんだ。」 |
サンドロ | : | 「ドワーフじゃない。」 |
クリストフ | : | 「ドワーフなんだって。」 |
サンドロ | : | 「ドワーフである訳がない!」(一同爆笑)。 |
バラックス | : | 「くぅぅ~、おいたわしやリーダー!」 |
GM | : | と、3人は声を上げて悔し泣きを始める。 |
サンドロ | : | 「そうか・・・・・・君らも辛かったんだな・・・・・・。 じゃあ我々は“アノス”に向かうから。」(一同笑う)。 |
クロウ | : | え~~~。 |
ボーデル | : | そんな寂しい事いうなよ。 |
サンドロ | : | そんな話、どうしようもないじゃないか(笑)。 |
アーティ | : | 特徴だけでも聞いてやろうよ。 |
ボーデル | : | 具体的な話を聞こう。どういう競走でどう負けたのかを。 |
GM | : | 実はね。前回のセッションで全くと言っていいほど絡めなかったから伏線が一本も張れていないんだけど。 |
クリストフ | : | 「実はな。前々からなんだが、一人のドワーフが我々の仲間になりたいと言ってきていたんだ。」 |
ボーデル | : | 「ほぅ。」 |
クリフトフ | : | 「そいつもドワーフ族1の俊足を誇っていたそうなんだけど。」 |
バラックス | : | 「所詮ドワーフじゃん?(笑)」 |
GM | : | その一言で、バッサリ斬り捨てたらしい(笑)。 |
クリストフ | : | 「暫くして、またそのドワーフがやってきたんだ。で、勝負しろと言ってきた。」 |
GM | : | その話を聞いていたチレットが、虚空を見つめたままスーッと涙を流すね。 |
クリストフ | : | 「で、相手になったんだが。僕もこいつもあっさり負けちゃって。」 |
バラックス | : | 「それでリーダーも敏捷度【28】で走ったんだが・・・・・・」 |
クリストフ | : | 「そのドワーフは、全力を出したリーダーよりも早かったんだ。」 |
アーティ | : | 「それ、転がったんじゃねーの?」(笑)。 |
バラックス | : | 「転がってないねぇ。」 |
クリストフ | : | 「あの短い足で『ズドドドドッ!』と地響きを上げて走っていた。」 |
バラックス | : | 「物凄い回転率だった。」(一同笑う)。 |
GM | : | と、彼らは思い出したかのようにガタガタ震えます。 |
アーティ | : | 本物の“ドワーフ・ダッシュ”?(笑)。マジで機械なんじゃないの?(笑)。 |
ボーデル | : | 機関車ボーデルの完成形じゃ(一同爆笑)。 |
サンドロ | : | おかしい。最大値に<ヘイスト>かけても【26】にしかならないはずなんだが。 |
アーティ | : | そもそもドワーフにソーサラーマジックは使えないはずだ。 |
サンドロ | : | マジックアイテムでも手に入れたか? |
アーティ | : | 能力値アップをしたんじゃない? |
ボーデル | : | だとしたら、物凄い修練だな。 |
クリストフ | : | 「リーダーはこのザマだし、このままだとチームは解散だ・・・・・・」 |
サンドロ | : | 「・・・・・・良いことじゃないか。」(一同爆笑)。 |
バラックス | : | 「おおっ!? オイ達の気持ちがお前らに分かるか!」 |
クリストフ | : | 「頼む、何があいつをあんなに速くしたのか、一緒に調べてくれ!」 |
サンドロ | : | 「いくらだ?」 |
バラックス | : | 「・・・は?」 |
サンドロ | : | 「いくら払う、と聞いている。」 |
ボーデル | : | サ、サンドロ・・・・・・(苦笑)。 |
クリストフ | : | 「・・・・・・この間、僕らは善意で君達にケンタウロスの集落の情報を話したんだが。君達は金を取るのか?」 |
サンドロ | : | 「当然だ。」 |
ボーデル | : | 「この馬鹿の言うことに付き合わんでもいいぞ。」 |
サンドロ | : | 「わかったわかった。通り道だったらついでに付き合ってやろう。」 |
クリストフ | : | 「ありがとう。そいつはシューンという名のドワーフだ。」 |
GM | : | さてボーデル。『冒険者LV+知力B』で振ってみてくれ。 |
ボーデル | : | おう!? そんなに有名なドワーフなのか? |
サンドロ | : | ドワーフ繋がりか。 |
ボーデル | : | (コロコロ)それなり。『15』。 |
GM | : | では、故郷の “グードン” でその名に聞き覚えがあります。 |
ボーデル | : | な、なに!?(笑)。 |
GM | : | “グードン” の “レイホー” 地区にシューン・モチヅキという俊足のドワーフが住んでいました。 |
サンドロ | : | 望月駿!(笑)。 |
GM | : | ドワーフにしては恐ろしく早い足の持ち主で、仲間内では“かっとびのもつ”と呼ばれていた。 |
ボーデル | : | ・・・・・・おお、すごい(笑)。 |
アーティ | : | そんなに常識外れに早かったのか? |
GM | : | いや、常識を外れてはいない。ただ、部族内では一番だった。 |
アーティ | : | つまり、敏捷度【13】か。 |
GM | : | ちなみに父親の名前はスゲゾウ・モチヅキだ。 |
アーティ | : | なんで和名なんだ(笑)。 |
GM | : | 問題あるなら変えるが? |
アーティ | : | 俺は別に構わん。むしろ俺が改名したいくらいだ(笑)。 |
ボーデル | : | 「そいつの居場所は分かっておるのか?」 |
クリストフ | : | 「当てはある。最初に来たとき、“デンデ族” のところで世話になっていると言っていた。」 |
ボーデル | : | ほぉ。「それはこの近くにいるのか?」 |
GM | : | 一応方向は同じ方面です。 |
サンドロ | : | タイムロスはどれくらいある? |
ボーデル | : | 別に、1日2日ならかまわんじゃろう。そんなに急ぐ旅でもあるまい。 |
GM | : | ラヴェルナもあまり気にしていないだろうね。ケンタウロスの部族を探す為にも随分長いこと迷っていたからね。 |
ボーデル | : | それに、そんな俊足のドワーフがいるならちと見てみたい。 |
サンドロ | : | 「仕方がない。付き合ってやろう。ありがたく思え。」 |
クリストフ | : | 「ありがとう。」 |
バラックス | : | 「さっき殴られた事は水に流そう。」(一同笑う)。 |
サンドロ | : | 「は? 何の話だ?」 |
GM | : | へ? |
サンドロ | : | 「誰が殴ったって?」 |
アーティ | : | 「幻覚でも見たんじゃないのか?」(笑)。 |
バラックス | : | 「・・・・・・そうだね、誰も殴られてなんかいないね。そういうことにしておくよ。」(一同笑う)。 |
クロウ | : | とりあえず、デンデ族の所に行ってみるか。 |