物欲まみれの大団円
クロウ | : | コンコンコン。「シューンさん、いらっしゃいますか~。」 |
GM | : | 返事はないです。 |
サンドロ | : | ガチャッ。 |
GM | : | 小屋の中は無人ですが、生活の痕跡はありますね。 |
サンドロ | : | では戻ってくる可能性がありそうだな。 |
クロウ | : | 結局、リングは見つけたの? |
ボーデル | : | それは分からん。 |
サンドロ | : | よし、遺跡に行ってみるか。 |
クロウ | : | 一応、中を調べてみるけど。 |
GM | : | 祈祷師が持っていたのと同じポーションが3本あります。 |
ボーデル | : | ポーションも置きっ放しだし、戻ってくるんじゃないかの。 |
サンドロ | : | くるとは思うのだが、遺跡で何か起こっているかもしれない。 |
ボーデル | : | うむむぅ、おぬしがそう言うならここは従おう。 |
サンドロ | : | みな誤解しているぞ。私は亜人に対しても非常に広い心を持っているのだ。 |
アーティ | : | それをもっと表現する術を持ってくれ(一同笑う)。 |
GM | : | 遺跡に潜るなら遺跡に移動するけど? |
と、GMは近くに転がっていた『ウィザードリィ』の攻略本に手を伸ばす。 | ||
サンドロ | : | ちょっと待て。お前、まさかその攻略本からマップを拾ってくるつもりじゃないだろうな(一同笑う)。 |
GM | : | 遺跡のデータなんて作ってなかったからな(一同爆笑)。 |
ボーデル | : | GM、ぶっちゃけ過ぎだよ!(笑)。 |
GM | : | よし、この探索レベル29のダンジョンにしよう。 |
アーティ | : | 全然レベルが足りねぇよ(笑)。 |
登場こそグダグダだったが、GMの気まぐれで異常にスリリングな展開となったダンジョン探索の結果、PC達は最深部の宝物庫を発見。 | ||
GM | : | 奥の台座には手のオブジェがあるが、その指にリングが無い。 |
サンドロ | : | 調べろ。 |
クロウ | : | はいよ。台座周りを調べます。 |
GM | : | 古代語で何か書いてある。 |
クロウ | : | 読めるなら読みます。 |
GM | : | 『そのもの あおきころもに みをつつみ こんじきの のに おりたつべし』 |
クロウ | : | 違ーう!(一同笑う)。 |
GM | : | ぶっちゃけ、<ヘイスト> の効果のあるリングがあったようだ。 |
サンドロ | : | 何か副作用は無いのか? |
アーティ | : | 寿命も半分とか(笑)。 |
GM | : | ないようだ。 |
サンドロ | : | よし、とりあえず戻ろう。 |
GM | : | 小屋の中から喧騒が聞こえます。 |
クロウ | : | あ~あ。 |
サンドロ | : | ガチャッと開けよう。 |
GM | : | 中ではドワーフと暴草族とがまさに一触即発の状態になっている。 |
クロウ | : | 止めなくちゃ。 |
GM | : | いや、むしろチレットが |
チレット | : | 「きゃー! いやー! 化物ーッ!!」 |
GM | : | とパニックを起こし、大騒ぎになっている。 |
サンドロ | : | では <サニティ> だ。(命令口調で) ボーデル、かけろ。 |
ボーデル | : | こいつ(笑)。では <サニティ>(コロコロ)『14』でかけた。 |
チレット | : | (コロコロ)抵抗(一同笑う)。 |
ボーデル | : | うおう! グラスランナー相手じゃ無理な話じゃあ!(笑)。 |
アーティ | : | 流石だ(笑)。 |
GM | : | いや、厄介だから落ち着いたことにする(笑)。 |
サンドロ | : | ドワーフは指輪をしているのか? |
GM | : | しているね。 |
サンドロ | : | 「やぁ-やぁー。そこの・・・・・・」 ・・・・・・同郷なんだから、お前が話しかけろ。 |
ボーデル | : | うほーう! 仕方が無いのぅ。 「よう、“かっとびのもつ”!」(一同笑う)。 |
シューン | : | 「な、なぜその名を!?」 |
サンドロ | : | こいつも有名そうだがな(笑)。 |
アーティ | : | “生きた肉団子”(笑)。 |
GM | : | いやぁ、ボーデル位ならそうでもないよ。 |
サンドロ | : | そうか、最大値ではないからな。 |
シューン | : | 「お前は・・・あのなかなか見所のあるBOYだな。」(一同爆笑)。 |
サンドロ | : | ボーデルは見所のあるニートといったところだ。 |
アーティ | : | ニートかよ(笑)。 |
GM | : | 「王子ー!」 |
ボーデル | : | そりゃミート(笑)。 |
サンドロ | : | 「貴様のカラクリはすでに読めている。」 と、置いてあったポーションをガチャンと叩き割る。 |
ボーデル | : | 「こんな物に頼りおって!」 |
サンドロ | : | 「お前は自分の力が信じられないのか! そんな物を使ってまで勝ちたいのか!」 |
GM | : | では、シューンはその場に泣き崩れる。 |
シューン | : | 「自分は・・・自分は・・・どうしても、“暴草族” に入りたかったッス! このチームに入りたかったんス!」 |
クロウ | : | そんな、暴走族じゃないんだから(笑)。 |
アーティ | : | 同じようなものだろ(笑)。 |
シューン | : | 「お察しの通り、自分は “グードン” の生まれッス。集落一、足が速いのが自慢であり誇りでしたッス。しかし所詮は井の中の蛙・・・・・・」 |
サンドロ | : | 蛙にも程があるぞお前(一同大爆笑)。 人間の平均より遅っせえくせに(笑)。 |
シューン | : | 「お察しの通り、集落近くの人間と対決したところあっさりと負かされ、それ以来故郷を捨て修行の旅に出たのでス。」 |
ボーデル | : | うーん、なかなかいい心がけ。ここまでは感心しよう。 |
シューン | : | 「修行によって、確かに自分はより早くなったッス。しかし、同時に種族の限界というものも感じたッス。」 |
クロウ | : | そりゃそうだよね(笑)。 |
シューン | : | 「そんな折、各種族最速の者が集うという “暴草族” の噂を聞き、是非とも共に走ってみたいと思ったッス。自分は、自分は、一度でいいから “暴草族” として走ってみたかったッス!」(一同笑う)。 |
クロウ | : | なんだろう、笑っちゃう(笑)。 |
サンドロ | : | 「顔を上げなさい、シューンさんよ。」 |
シューン | : | 「は、はいッス・・・」 と、涙でボロボロになった汚い顔を上げる。 |
サンドロ | : | 指輪を指して 「貴方の『走りたい』という気持ちが本物であれば、こんな物は必要ないはずです。」 |
シューン | : | 「いや、それがなんスが・・・・・・『入れてください』と “暴草族” の方々に頼み申し込んだところ、『ドワーフなんて眼中にない』 というキビシイ一言を頂いたのス。そして自分は傷心のまま “ミラルゴ” を彷徨い、このリングの話を耳にしたのであります。」 |
GM | : | その涙ながらの証言を聞いたチレットらは 「うっ・・・」 と顔を背けます。 |
アーティ | : | 『こっちもヤバイ』と(笑)。 |
サンドロ | : | 「つまり、道具に頼って見返してやろうと、そう思ったわけですね。」 |
シューン | : | 「そ・・・た、確かに、そう言ってしまえばその通りッスが・・・・・・」 |
ボーデル | : | 「こーの軟弱モンがぁーッ!!」 バシィ(笑)。 |
シューン | : | 「ぐっはぁぁああ!!」(一同笑う)。 |
サンドロ | : | 「他人に認められたければ、自分の力で速くなることだ。」 |
ボーデル | : | とりあえず、リングは取り上げてしまおう。 |
サンドロ | : | これはあの祈祷師に返すべきなのか? |
GM | : | いや、別に彼の所有物という訳ではないよ。言ってしまえば発見したこいつの物。 |
サンドロ | : | ・・・・・・欲しい(一同笑う)。 |
アーティ | : | 分かっていたよ(笑)。 |
GM | : | さっきからずっともの欲しそうな目をしているからな(笑)。 |
サンドロ | : | 敏捷度【40】・・・・・・ボーナス【6】・・・・・・。 |
アーティ | : | 怖すぎる(笑)。 |
GM | : | そんなバランスを崩すアイテムをおいそれとはやらん(笑)。 |
ボーデル | : | ワシがはめれば敏捷度【22】。サンドロとほぼ同じじゃ。 |
GM | : | 機動力のある重戦車か(笑)。 |
ボーデル | : | そしたら金属鎧を捨てて盾を構えて、違う生命体になってやる(一同笑う)。 |
アーティ | : | どんなドワーフよ(笑)。 |
GM | : | “かっとびのボデ” か(一同爆笑)。 |
サンドロ | : | 「それでは、我々の役目はこれで終わりですかね。後は貴方たち4人で話し合うなりするといいでしょう。」 |
ボーデル | : | 「お互い、色々と問題があるようじゃからのぅ。」 |
チレット | : | 「・・・・・・これまで、お互いにちょっと食い違いがあったようだけれど──」 |
アーティ | : | ちょっとか?(笑)。 |
チレット | : | 「何はともあれ、速くなったのなら大歓迎よ!」 |
GM | : | と、チレットはシューンの肩をガシッと掴む。 |
アーティ | : | 心が広いなぁ(笑)。 |
シューン | : | 「・・・・・・本当に、本当にいいッスか!?」 |
チレット | : | 「・・・・・・ただし、時々それ貸してね!」(一同爆笑)。 |
アーティ | : | 下心が見えた!(笑)。 |
ボーデル | : | そうなるともう手が付けられない。 |
クロウ | : | いくつになるの? |
サンドロ | : | 敏捷度【56】(笑)。 |
GM | : | では、この小さな事件はこれで無事に解決しました。 |
クロウ | : | やったー。 |
GM | : | 一応、余ったポーションは君達にくれます。 |
サンドロ | : | さっそく売ろうか(一同笑う)。 |
クロウ | : | 売れるの?(笑)。 |
サンドロ | : | 売れれば売ろう。一応私が預ろう。ボーデル、お前にも1本渡しておこう。 |
ボーデル | : | 受け取ろう。 |
GM | : | 飲むのには1ラウンドかかるからな。 では、この馬鹿セッションもこれで終了となります。 |
クロウ | : | おつかれさまーしたー。 |
GM | : | では後日談。 “ミラルゴ” を縦横無尽に疾走する影はこれ以来4つに増えました。 |
クロウ | : | 良かったねー。 |
ボーデル | : | “暴草族” を増長させたみたいで、ワシらマズイことをしたんじゃないか? |
GM | : | 種族最速を誇るグラスランナーと、同じく種族最速のケンタウロス、人間。そして、それと並走して走る、ありえない速度のドワーフの姿がそこにあった。 そして彼らは今日も元気に草原を駆け巡るわけです。 |
アーティ | : | あとはエルフだな。 |
GM | : | 時折、脅威の敏捷度【56】で全力疾走するグラスランナーの姿が目撃され、“草原の賢者” に次ぐ “ミラルゴ” の新たなる伝説となったのであった。 その背には『最速のエルフ募集中』と書かれた旗がバタバタとはためいているという。 |
クロウ | : | すげ。 |
アーティ | : | いやー、もう連中にとって “ミラルゴ” は小さくなっちまうな。 |
GM | : | そうだね。次は世界へ・・・! |
ボーデル | : | オリンピックみたいだな。 |
GM | : | その間は、シューンはバラックスの背に乗っているんだね。 |
アーティ | : | 重いよ(笑)。 |
GM | : | というわけで、アレクラスト見聞録第14回セッションをこれで終わりとします。 |