友達、やめてもいい? 英士が俺のとこに来たのは朝の十時ちょっと過ぎ。玄関を開けるとそこは雪国、じゃなくて仏頂面した いやな予感はしたんだよ。こいつがこういう顔してる時には係わり合いをもちたくないんだ。過去の 案の定ヤツの下らない話を聞かされる羽目になっちまった。 追い返したい。今すぐ『出てけ』って蹴っ飛ばして放り出したいくらいだ。なんで俺ばっかりがこんな 「ちょっと結人、話聞いてんの?」 親友ね。なんかもうやめたいんですけど。元々赤の他人だけどさ、まるっきりの面識のない他人という 「ちょっと結人」 ああ、うんざり。ていうかうざっ。 「あのさ英士、お前今年に入って何回目だと思ってる?」 両の手の指を使ってグーパーグーパーを繰り返してやった。ちなみに十三回目だ。うわぁ今気付いた、 「おら英士、答えてみろ。何回目だよ」 頭きた。なんだその尊大な態度は。もちっと俺に迷惑かけてるんだってこと自覚しやがれってんだ。 「十三回目だ!」 「あそう。何回目だっていいじゃない。それともなに? 何回目だったらなんか特典あげようとかって ぷちん。なんかそんな音が聞こえた。空耳か? いーや。もうまじ我慢も限界だぜ。 「なにが相談だ。下らねえ愚痴じゃねえか。んなもん毎回毎回聞かされる俺の身にもなりやがれって 溜息。溜息。溜息。溜息。誰かこいつをつまみ出して。 「だってひどいと思わない結人?」 ひどいのはお前だ。お前のその悩みとやらに俺は毎回毎回悩まされるんだよ。 「ねえ結人、結人からさ、それとなく一馬に聞いてくれないかな」 頼むから俺を巻き込まないで。ていうかどうせろくなことじゃないんだ、そんなものは自分で聞けっ。 「あいつさ、本当に俺のこと好きなのかな。なんか自信持てなくなったよ」 ばすんっと力一杯ベッドを叩かれて上に居た俺と英士の身体がスプリングに揺られた。 「どこをどうとったらあいつがお前を好きじゃないなんて思えるんだよ」 ……こいつってどうしてこうもご立派に俺様な人なんだろ。なんで俺こんなヤツと友達になっちゃった 「自分のどこが好きなのか教えてくれなんて今頃になって言うんだよ? そんなのあいつと付き合う前に 英士って利口に見えて結構バカなのかも。ていうか俺には理解不能。こいつの思考回路、嗜好傾向が 「どこをとったらだって? お前かなり鈍感だね。いい? 俺たちは付き合ってんだよ? なんで人様の性生活まで聞かされないかんの! せっかくの日曜日になにが楽しくてホモっぷり自慢され 「ちょっと結人、人の話の途中で寝ないでくれる? お前失礼過ぎるよその態度」 ……誰かこの人本当に捨ててきて。も、やだ。 「ちょっと結人」 触んな。ホモ菌がうつる。 「痛いなぁ、なに、その態度」 触れていた手を思いっきりはたいてやったら睨みやがった。 その態度? どの態度がどうだって言うんだっ。お前のその大迷惑な態度と比べたら俺の態度なんて 「英士、バカだと思ってたけどお前ほんとにバカだ。いいか、よく聞け。そして聞いたら帰れ。 言ってて自分でなに言ってんだって思っちゃったよ。なんかもう支離滅裂? でもだいたい当たってると 「……そうなのかな」 力強く頷いて答えてやる。こういう時は言った本人が自信に満ちてなきゃ説得力ねえからな。 「……ほんとにそう思う?」 とっとと片付けたい俺は自分の携帯を貸してやった。それも手早く一馬の番号を押してやって。 ああ、なんて俺って面倒見がいいんだろ。 「ありがと」 こうして英士は一馬を誘い出して、来た時とは別人二十八号満面の笑顔で帰っていった。 ……疲れた。も、今日一日なんにもしたくないです。 俺はきっと友達運がめちゃくそないんだと思う。 ……あいつの下らない相談は十三回目だけど俺があいつらの友達やめたいと思ったのはもう何十回と 頻繁過ぎて数えちゃいないけど今日も思った。 ……なあ、俺、お前らの友達やめてもいい……? 来週の日曜日は平和に過ごせたらいいな……。
郭真の郭&結人でした。 冬コミに出したコピー本がちと、きちーだったから清清しいです、気分が。 さ、次は若真かな?いやあ、最近はまってたりして。郭真よりエッチが似合うと知ってかなり萌え! |