果 て し な い 悦 び の 夜
土曜日。総合学習なるものの中で班ごとに課題が出されてそれを週が開けて火曜日に発表することに 「じゃ、だいたいこんな形でいいよね」 「いんじゃねーの?」 「じゃ、これは月曜にでも放課後ちょっと残ってまとめるってことでいいのね」 「どうせたいした時間はかかんねえだろ? こっちのヤツは俺が家でまとめてきちゃうし、そっちの 「そうだな。あ、じゃあコレとコレの借りてくる手続きしてくるよ」 「あ、うん」 「あーでもマジで早く終わったな」 「だな」 「珍しく男子が真面目だったからねえ。いつもこうだと嬉しいんだけどね」 「ねー」 「だってさ。俺たちはいつだってマジメに取り組んでるよなぁ?」 「まったくだ」 「うそばっか」 「あ、ナナコ戻ってきたよ」 「あ、ナナコお帰り」 「はい、じゃあコレ安西よろしく」 「ほいよ」 「じゃあ出ようか」 「あ、ねえ、みんなはこのあとどうすんの?」 「あたし達これから渋谷に出るんだけどどうかなぁって思ったんだけど」 「あ、悪ぃけど俺はパス」 「なんだよ、真田なんかあんの?」 「あーちょっとね。人と会う約束してんだ」 「え、なになに彼女?」 「ば、ちっげぇよ」 「あ、アヤシイ。赤くなった」 「マジかよ真田。サッカーに夢中なのかと思ってたらいつのまに」 「だから違うっての」 「えーじゃあ、真田くん以外のヒトは?」 「あー俺はべつにいいけど」 「俺も」 「じゃ一緒に出ようよ」 「あ、じゃあ悪ぃけど俺急ぐから先行くな」 「おう、じゃあ頑張れな」 「いや、だから違うっての」 「いいからいいから、ほら、急いでんだろ?」 「じゃーねー」 「ばいばーい」 「おう、じゃあホント悪ぃな」 皆と別れて、駅へと走った俺は、だけど気分は乗っていなかった。沈んでいるってわけではないが、 須釜に会うつもりでいるのに、会いたくないという気持ちも捨てられなくて。体の方は動くけど思考 よくない光景ばっかりが浮かんできて頭はショート寸前だ。 これが英士や結人相手だったならこんなに悩まないのに須釜は難しいよ。それに三人ていうバランス これが結人との問題であれば英士に相談もできるのに。結人が相手だったらいちいち相談なんかしな だけど須釜とのことはいくら英士にだって相談はできない。おいそれと泣きつくことなんてやっぱり だって、いくらなんでもくだらなさすぎるよ。 どっちかが浮気したとか、最近須釜の様子がおかしいだとか、そういう真剣さに欠ける今回の問題は くそっ。 頭痛いよ……。 須釜は、一筋縄ではいかない扱いを要求されるから困るよ。はたから見ていたときは温和で、およそ
まんまと引っ掛かった俺がばかだったんだよな……。
隣のおやじの匂いだろうか。油クサイ。なんかタバコの染み込んだような曇った匂いと混じって気分 女の人の化粧の匂いも勘弁してほしいけどオヤジのこういう匂いもキライだ。 こういう匂いを平気で垂れ流すのって本人は全然気付いてないから質が悪いと思う。連れの人でもい ……どうせ二度と隣り合わせになることなんてないんだろうから一言言ってやってもいいんだけどさ、 くそ、結局俺が我慢しっぱなしかよ。不公平だよな……。ていうか、俺の人生ってなんなか最悪じゃ 仕方ない。眠るか。 須釜、もう怒ってないといいな……。
………………。 目が覚めたとき、降りる手前の駅まで来ていることに気付いた。セーフ。良かった。寝過ごさなくて それでなくても俺はよく寝過ごして降りなければいけない駅を通過してしまうことがよくあるのだ。 座ったままのカッコウでこそっと背を伸ばして緊張を解すと、前の何人かのあとについてホームへと 改札を抜けて駅のロータリーに出るとそのまま足を向けながら携帯を手に持ち、すっかりと覚えてし 一回。二回。三回……女々しいかなとは思うのだけれどくせでつい、コール音を数えてしまっている。 その呼び出しが七回目に達したとき、ついに携帯は繋がった。 「須釜? 俺だけど」 どうせメモリに入れているのだから着信が誰からなのか相手にはわかっているはずなのだ。だからい ていうか、名乗ってやったんだからそこで黙るなよっ!! くそっ。やっぱまだむくれてやがったか。 「聞こえてんだったらなんとか言えよ」 『……』 むかつくなぁ。 「いま、駅ついて歩いてそっちに向かってるからっ」 『……』 「あと7、8分でそっちに着く。鳴らすから絶対出ろよな。もし出なかったら玄関先で騒いでやるか 『……』 なんとか言えよっ!! 「……わかった。会いたくないって言うんだな。じゃあ帰るよ」 『真田』 ちっ。ホント手間のかかるヤツだぜ。 「なんだよ」 『なにしに来るの?』 「なにって……」 うーむ。こういう切り替えしがくるとは考えてもいなかったよ。なにしにってなにしにもないよ。元 『今日はダメになったんじゃなかったの?』 「用事なら済んだよ。どっかの誰かがむくれっから速攻で終わらせて来てやったんじゃないかよ」 『……』 またダンマリかよ……。 「……わかったよ。ケチのついた約束なんて今更だって言いてんだろ? 帰るよ帰りますよ。じゃー 『待って』 「……んだよ」 『今更だなんて言うわけないでしょ。あれから……2、3分は過ぎてるね。あと5分くらいかな? 待 「……走ってくよ。だからもそんなはかからないから」 甘いなと自分でも思うよ。けど仕方ない。……結局俺自身が会いたくて仕方なかったんだ……。 はまった者が負けってよく言うじゃん? だから仕方ねんだよ……。
ベルを鳴らしてすぐにドアは開けられた。 「入って」 招き入れられて玄関先で、靴を脱いでる余裕もなく俺たちは互いの体を抱き締め合った。強く。折れ 「……須釜、苦しい……」 「真田こそ離して……」 「やだ……」 結局こんな風に堕ちてしまうのに、素直になれない二人だからか、直接に触れ合わなければ許しあえ
気付けば唇を重ねているし……。
「……ん」 「……まだ、もっとだよ……」 唇に触れてくる直前に囁かれた言葉は熱い吐息といっしょに口の中へと吹き込まれて、首に腕を回し 「す、……っま、……」 無意識なうちの呼びかけがそのまま須釜の口の中へと消えていく。代わりに与えられるのは熱くて執 須釜とするキスはただ触れるだけのものでさえ俺には気持ち良過ぎるものだ。求められる動きがある キスだけで満足できたあの頃がこそばゆくて懐かしいけれど、残念なことに俺はもう意識がぶっ飛ぶ 早くいつもみたくまさぐって、そして触って。痛くしてくれてもいい。引っ掻かれるあの痛みでさえ 「……っあ」 裾をめくって手が入るのと同時にカクンと、どっちかの足の膝が折れた。そのまま崩れるのかと一瞬 「……っちょ、ね……」 タイミングを狙って訴えたけど綺麗に無視された。 ちょっ、マジでこのままじゃ折れるって……! こうなったら回したままになっていた手を有効に使うしかない。スナップをきかせて襟首を掴んでひ 「んんっ……」 びくりと、体が大きく反応した。胸の突起を遊ぶ指に、かあっと顔が熱くなるのを覚える。……あ、 「……真田……」 「ん……」 耳たぶを唇同士で挟んで甘くはみながら囁く息吹に首筋を刺激されて背筋に大きな震えが走る。こう もっとも今はウエストあたりを手のひらで摩るようにして撫でられているから声だけのときとは比べ とろとろと蕩けてくるような感覚の中で足を立てているけど意識の方はもうだいぶ飛び始めている。 「……すが、ま……」 「いい声、……もっと呼んで?」 「……ふざけ、……な……よ」 「ふざけてなんかいないよ? 好きなんだ、真田の声……お願いだからもっと呼んで欲しい」 「……すが、……ま……すが、……」 お願いは、俺にだってある。いつもだったらとっくにあちこち触りまくってるころなのに、なんで今 「ね、真田……」 「ん、すが、ま……」 須釜の声がまた囁く。この声には逆らえない。この声はこの声だけで充分昂りを揺さぶるちからがあ 「……ここで、いいの?」 「ああっ……あ、……い、いいっ、……ここで、も、いいっ……から……!」 足を割って体をさらに密着させてくる須釜の手が腿の間を割って入り、中心に向かいながらも絶対に 焦れったすぎる。もどかしい。そこじゃないって、腹ん中では叫んでるのにまだ羞恥心が残ってるも 「……ん……っああ……」 須釜は時折腰を押し付けてきて窮屈になっているそこを押さえつけて俺の体をびくびくと震わせてく 「……が、……まっ……」 「うん?」 「……ここで、い、から……手、つかって、……」 泣きそうになりながら縋りついて頼み込んだ。首に埋まった頭を無造作に掻き回しながら唇を当て、 「ほんとに、ここでいいの?」 「い、っああ……ん、……」 フロントに回った手が、力強くそこの輪郭を辿った。一回、二回、手のひらで時には押さえ込まれな だけど今は須釜のことにまで気なんて配っていられる状態なんかではない。自分の意識ですらふっ飛 「ん、ああ……あ、あ、や……」 「辛そうだね。横になりたい?」 ボタンが外されてジッパーが下ろされた。下ろされていく音に無意識に体が竦む。声も出せなくなっ 「ああ……ま、て……すが、まぁ……まっ……て、まだっ……あ、ああ、んんっ……」 須釜は、俺がもう立っていられるだけのちからを出せないのを知っていてわざと攻め立ててくる。俺 あんな人の好い顔してその下にこんな意地の悪い性格を隠してるなんてきっと誰も気付いてないだろ 「ふーん、まだ、余裕あるみたいだね?」 「ああ、っん……いた、痛……い、ちょ、ちから……ゆる、めて……すが、すが、……まっ……」 「余計なトコに意識飛ばしてないで集中しなよ。いつも言ってるでしょ?」 「して、る……ん、……してる、よ……須釜のこと、し……か考えてな……っああ」 体には、容赦なく意地悪なことをする須釜だけれど、縋りつく腕を振り払われたことは一度もない。 「背中、痛くてもいいんだね?」 足元の靴を蹴飛ばして、須釜が体の上に乗りかかってくる。その体の首や背に腕を回して『いいよ』 「早く、どうして欲しいのかちゃんと言って。それじゃダメだよ?」 「わかれ、よ……」 「わかってるけど真田に言わせたいんだ。わかるだろ?」 まるで拷問だ。言葉責めしている上におあずけの刑を加えるなんてひでぇよ。 「真田のその目、好きだな。でも効かないよ? むしろもっと焦らしてあげたくなるけどいいの?」 「ヘンタイっ……」 「気分が高揚してくるね。もっと言ってよ。強気な真田って好きだよ。一番そそられる姿だ」 「す、……がま……」 「うん、なに?」 「して、よ……手、使ってして、……」 須釜だけじゃない。俺だって、穏やかな笑みを浮かべる須釜のその顔にそそられるのだ。さっきから だけど、だけれど……。 どうせ意地悪なことするなら、この体を弄りながらとことん焦らされて、気の狂いそうなあの瞬間ま 「手……でも口でも、いい……から、してっ……」 「やらしい顔。泣きそうな目してるのにどうしてそんなに艶やかな色を浮かべることができるんだろ 「知る、かよっ……そんなことより、ね……はや、く……」 揺れた腰を掴んで納まりのいいポイントでしっかりと固定すると須釜の指が下着の中へと入り込みじ 「ああ、あ……っ」 須釜須釜須釜。縋って泣いてしがみついて。欲する心のままにカッコウもつけずにねだった。イきた 「真田、真田からぼくにキスして……」 それをしたらイかせてくれるのか? 須釜のことを見つめて目だけで問う。そうしている間も追い立 「濃厚なやつをしてくれたらね。楽しませてくれたら真田のそのお願いも叶えてあげるよ。無理そう 容赦のない要求を突きつける須釜が本気で悪魔に見えた。脅されているわけでもないのにその悪魔に 「どうするの? 早く決めてよ」 唇を噛む代わりに舐めて濡らし、須釜のその薄い唇に噛みつく。舌を使って輪郭をなぞり、次いで割 「ん……っ…………ん……す、が……」 「……真田……上手くなったね」 「……たの、……しめた、か……よ」 「うん。腰にきた。いますぐにでもイれたいかも」 「いい、ぜ……」 やわやわと、揉まれ始めたそこに、イヤでも意識は向かってしまう。輪郭を辿っているのだと、指の 「あ、ああ……っつ……」 「腰、上げて……もっと……」 「ん、んんっ……すが、……すが、ま……」 「イきたい?」 鼻の頭を舐めながらのその囁きに、こくこくと頷いた。イきたい。もう、ダメっ……。 「いいよ。いつでも好きなときに出していいからね」 「……服、……」 この体勢だと須釜の服を汚してしまうことは避けられない。汚れた服を洗い場に置いてはおけないし 「そ、……なっ……いか、ないって……っ」 「気にしなくていいんだよ、ホントに。洗濯ならあとでぼくがするから」 「っああ……」 「ほら、もう我慢きかないとこまできてるじゃない。イっていいよ?」 わざと立てられた爪に腰が大きく跳ね上がった。服の端だろうか、勃立したそれにかぶさってスルリ ぎゅっと、抱きついたのはいつもそうしているから。そうした俺の髪に潜った指が力強く頭皮ごと抱 須釜と、呼ぼうとしたけどしゃくり上げるような呼吸に邪魔されて言葉にはならなかった。そのうち、 「これで終わったわけじゃないでしょ? まだ、だよ?」 須釜は頷くのを待っていたようだ。俺がこくんと首をたてに振ると、尻が割られ指を突き入れられる。 「痛い?」 痛くないと言ったらそれは嘘だ。だけど、痛いだけではない、むず痒さもたしかにそこには存在して 「大丈夫そう?」 口を開きたくなかった。とんでもなく恥かしくなるような声を上げてしまいそうなのだ。今必死にな 「どうせ啼くことになるんだからこんなとこで無駄に頑張っても意味ないよ?」 「っ……」 いまのはわざとだ。わざと引っ掻きやがった……。くそ……。 「真田のココはいいって言ってるね。じゃあ、いいよね?」 えっ……? あ、ちょっ、まだまっ……!! 「っう……っ……ふ……っ」 叫びとなるはずだったその声は、須釜の口の中へと吸い込まれて無声の喘ぎだけが絶え間なく隙間か 「……さすがに、ここで叫ばれるのは困るからね、ごめんね……」 苦しい。それまで下腹部に停滞していた疼きが一気に腿から膝へと降りていったのが貧血のときのよ 須釜のやつ、一気に挿入しやがった……。信じ、られ……ないよ……っ。 「動く、からね?」 尋ねてくるその途中からすでに須釜は腰を揺らし出している。まだ最初だからどこか肉に引っ掛かる 「そんなにちから入れないでよ、ね?」 そんなこと言われたってムリっ……。 「真田」 宥めてくれるのは嬉しいんだけど、ムリなものはムリっ……。 「ほら、そんなにきつく目を閉じてないでぼくのこと見てごらん? 真田……」 最初に見えたのは須釜の肩の端。それからクリーム色の天井。 「どこ見てるの、こっちだよ真田」 「……っ」 声に誘われて視線を左上にちょこっと移すと、笑っている須釜の顔が見え、なぜだかほっとしてしま 「楽になったみたいだね」 「なっ……」 須釜を飲み込んだ入口の開き具合を教えるかのように指でソコをなぞられて、背中が大きく跳ね上が 「あ、ああ、……あ……」 どうせ啼くことになると言った須釜の言葉通り、いまやこの口からは啼く声しか出てこなくて。 「ん、……っああ……あ、あ……すが、……すが、ま……っ」 須釜の動きが速くなると俺はついていくのが辛くなって、胴に脚を巻きつけると須釜を自分の方に引 「しっかり抱きついててね」 「ああ、……あ、あ、……っ……」 腰の一部だけが床について揺さぶられる格好は、辛いのだけれど擦られる角度が緩く、もどかしさだ 本当にすぽりと抜けるんじゃないかって気が散って集中できない分、よりリアルに須釜を感じてしま 「……いい?」 「……きく、な、ばっ……か……っ」 見ればわかるだろう―――― 付け加えてやろうかとも思ったけどやめといた。どうせ、『見た目で 「『ばか』はないんじゃない?」 「……る、せ……も、だま……れ……っ」 「へぇ、可愛くない口がきけるだけの余裕がまだあったんだ?」 「ああ、や、……そんな、揺す……な……っ」 「あまりよくなさそうだから、やり方、かえようか?」 「さ、……てい……っん……」 「一度抜くね」 「や、やめ、……てくれ……っ」 「どうして?」 ああ、もうくそっ……。 「いい、……からに、きまって……だろ……すが、……こそ、うるさ……い……っ」 「そう? じゃあキスしようか?」 「……ん」 どうせ俺からしてくれって言う気なんだろう。だったら言われる前にしてやるよ。 「……ふ……っ」 「噛み切らないでよ?」 激しく揺さぶられる前に須釜が残したお願いは、自分本位で思い遣りの欠片もありゃしない。無理な 「ふ、……っんん……ん、……っ」 テンポの上がった須釜の動きに合わせていくのが途中から辛くなると舌の動きにも影響が出てきた。 「……す、が……」 もういい加減口の方は解放してくれと、目で訴えるも、掠れた声で『だめ』という返事をもらってし 「……ん、んん、……」 下腹部にはぬるま湯でも詰まっているのか、ほんわりと暖かい。そのぬるま湯が、須釜に突き上げら 「……っ」 それは小さな呻きだった。汗の浮いたその額の下の両の目には、電球の色と同じ光りが映っている。 須釜から目を離せないまま唾液を嚥下したそのとき。その余裕のなさげな表情が、堪えるようにして 「……さな、だ……っ」 今度は俺がその須釜の言葉を飲み込んだ。 「……んっ」 ぐっと、深い動きに合わせて仰け反らせた首に、須釜の舌が這って喉仏のあたりで歯が立てられる。 「……すが、……ま……?」 「も、だめ、かも……もちそ、にない……真田は、どう……?」 「俺……? 俺は、いつ……でも、いい、か……な……?」 大抵先にイくのは俺なんだけど、たまに、ごくたまに、こういう風にして須釜が先にイきたい宣言を 「ああ、……あ、あ……っ」 俺の方は全然かまわなかったので了承すると、ラストスパートがかかったせいで揺さぶられるリズム 「んっ、……んん、…………」 「……っ……あ、さな、だ……っ」 「あぁ……っ……あ、……すが、すが、……ま……っ」 擦られる箇所からむず痒さが失せて中の肉が執拗に須釜に縋りつこうとしている。時折空気が入り込 「あ、さな、……だ……も、だめ……っ」 「ん、……」 「いい……?……イく、よ……っ」 俺は二度ばかし頷いた。胴に巻きつけていた脚にちからを込めて深く打ち込まれるのに備える。俺の 「あぁ、……っ」 ぐっと、押し込むようにして深く打ち込まれた直後、俺はとうとう吐き出した。ぶるりと肩から震え 「……すが、ま……」 なるべく下半身に響かないように気をつけて腕をずらして須釜の前髪を上げてその表情を覗おうとし なんていうか、声が出てきそうというか、やばいっていつまでもこの状態でいるのは……。 「……真田、これはまずいって……」 「なに、が……」 「なにがって……締めないでよ……」 「……っ」 いくら自分でわかっていることでも口に出されると耐え難いほどの恥かしさに見舞われてしまうもの 「ちょっ、…………ね、もしかして、……わざとやってる……?」 「なわけねぇだろっ。いつまで突っ込んでだよ、終わったんならとっとと抜けよ……!」 信じられねぇよ、こいつ!! なにでかくしてんだよ!! うぎゃあ、いまびくびくっていったぁぁ!! ばか須釜ばか須釜……! 「ちょっと真田、あんまり暴れちゃダメだって……」 「須釜がいつまでも入れっぱなしにしてるからだろっ……も、早く抜けって……」 「んー……」 「……なんでそこで考え込むんだよ。言っとくけど俺はもうムリ、体、ガクガクだから絶対ムリだか 「ここでいいって言ったのは真田だよ? それなのにぼくを責めるの?」 「だ、誰も責めてはいないだろっ……」 「それなら体が痛いだとかきついかっただとか泣き言は言わないでくれない?」 「痛いとは言ってないじゃんか、なんかもう一回とか言いそうだったからそれはムリって言ってんだ 「なんだわかってくれてたんだ」 「須釜っ」 「ムリだって言うんだっら真田はまぐろになってていいよ。ぼくがひとりで頑張るから。だからこれ 「じょっ……!」 冗談じゃない、と言いたかった抗議の言葉はあっさり口を封じられて須釜の口の中へ。ムリだからと
なにが『これだけ貸して』だ、バカ。持ち主の俺を『うん』と頷かせるくらいの努力くらいしてから 『溢れるほどの愛を注いで俺の愛情で溺れさせてあげるから、付き合って』 そう言ったくせに。今のは明らかに手抜きじゃんか。
あとで文句言ってやる。
須真です。須釜は我侭。これ、有島の願望。 郭真や若真と違って、須真の一馬は積極的でかつ、心の強い子。須釜に振り回されつつも愛に振り回されてるってカンジで須釜の頭を撫でそうなくらいかっこよくあって欲しいのです。むしろ、郭真若真では与えられる立場であってもいいけど、須真においては、与えることで幸せを感じる子であって欲しいなと。 そんでもって須真に限って言えばエッチのとき、まぐろな一馬は×!! むしろ自分から咥えるぐらいの気構えで挑んでいくカンジであって欲しいなと。 語ってんなよと、突っ込みはあるだろうけどお願い、無視させて。 |