「……お、とり、も……いいだろ……。そろそろ戻らないと……」 「やだ」 「やだじゃ、ねえっての、……おい、……」 押し返す胸がのしかかってきて重い。 「鳳、マジでも、よせって……」 「ダメ。も、ムリ……」 「ムリとか言うなばかっ……」 「最後まではしないから……」 「ダメだ。お前の言うことは信用出来ない」 「本当だって。頑張るから。ね、触らせて……?」 頑張る? なにを? 結構。堪え性がない性質をしていることは知っている。 よって絶対に『NO!』だ。 「ダメだ。絶対にダメだ!」 「なんで今日はそんなに頑ななんだよ」 「なんで? ここがどこだかわからないのか?」 「校舎の裏」 「そうだ。いつ人がやって来るかわからないようなとこでヤれるかよ」 「んー、でも今まで誰かがここに来たことってないじゃん。たまたまなんだろうけど、今回もその運の良さに賭けてみようよ」 「冗談じゃねえ。そんな危険な賭けにのれるか。おら、もういい加減放せって……」 「やだ」 「鳳」 「だからさっき言っただろ、も、ムリって……」 「ちょっ、……んん……お、とり、……」 戯れていたときのそれとはちがう、深くて熱の伝わってくるキスに、日吉もつい、舌で応えてしまった。 「……ん」 鳳の首に腕を回したのは、躯がより密着するのを狙ったのと、深い口づけをねだるためだ。口づけは最初から深く激しかった。互いの舌が執拗に絡み合うのも、喰らいつくように吸い合うのも、触れ合った瞬間に見えていた。鳳にも見えていたのだろう。 「……っふ」 せっかく大きく息を吸い込んだのに、唇が戦慄いて、穴があいた風船から空気が噴出されるみたいに日吉の呼吸も零れていった。 「……日吉」 「ん……」 額に、こめかみに、目の下に、頬に、そして顎にと移動する唇に日吉は恍惚とした表情を見せることしかできない。 「……ぁ……あぁ……」 首筋に埋まった唇に肌を吸われて、中途半端に温かいその刺激が日吉の気持ちを昂らせ、弱弱しく啼かせる。 「も、……よせ、もういいだ、……ろ……」 「まだだよ。全然足りないよ……」 「ん……」 「ね、日吉……このまま触ってもいい……?」 「……触る、だけだぞ、……ん、ちょ、それ、やめろ、て……」 耳たぶのところで一番ふっくらとしている部分に歯が立てられると、生暖かさにびくんと躯が跳ね上がった。 「くすぐってぇよ、……」 「でも、ここ弄られるの好きだろ?」 くすぐったくてみじろいだ日吉の腰に腕を回した鳳は、わざと外耳道に息を吹きかけてきた。 「こうされると日吉、絶対抵抗やめるよね……」 「っあ、……だから、くすぐったいって言ってる、……だろっ……」 「くすぐったいだけ?」 「そ、だよっ……」 耳元で笑った鳳の髪を掴んだその直後、唇が押し当てられた。 「……ん、……」 啄ばむだけの軽いキスが繰り返される。吐息が濡れてきた頃になってようやく舌の先が触れるようになり、誘うような動きが見えてきた。息が軽くあがる頃になってもまだ大きな動きがないようなので、焦れて、日吉の方から追い掛けて絡め取った。 「……ん、……ん……まだ、もっと……」 舌を放そうとした動きに素早く反応して、後頭部を押さえ込むと、不意に脇腹を優しい仕種で撫で摩られた。 「っぁ……」 「……足、少し開けよ」 「……え、ら……そ、に言うな……」 咎めるような口調で目線を上に上げた日吉は、それでも言葉には素直に従った。太腿が足を割り、右手だろうか中心が握り込まれる。先程までしていたキスだけで興奮してしまい、ずっと窮屈さを感じていた。それを弄ぶような動きを見せながらファスナーが下ろされると、すっかりと形が変わっているはずのそれの輪郭を辿るみたいにして指が這い上がってくる。 「……ああ、……あ、……ん、んん、んっ……」 そこに刺激を受ければ否が応でも気持ちは昂ってくる。そうなってくると日吉は大抵何かを掴みたくなってくるのだ。ベッドの上であればシーツであったりクッションであったり、体勢によっては鳳の躯の一部であったりもするが、今日はもう鳳の首に縋るしかないようだった。 「あ、あ、ああ、……あ、お、とりっ……」 いよいよ鳳の指も、リズミカルに動き始めた。 「ん、んん、んっ……あぁ、あ、っ、ああっ……!」 「日吉、少し声、おとそ……」 熱い息が絶え間なく零れ落ちてきているこのさなかに、そんなことを言われても日吉だって困る。通りからはかなり離れているし、確かにこの時間は人の通りも少ない。文化部が活動する為の教室や選択教科で使われる教室ばかりが集まったこの校舎はクラス教室がある棟からは離れてもいるし、体育館や講堂からも遠い場所にある。どこかで覗かれるという心配は確かにないだろう。 だが完全に隔離されているわけではないので、もし万が一と言うことが起こる可能性だってあるわけで、絶対安全とは言い切れない。 それでも、 「……いまさ、ら、……さっき賭けてみよ、とかなんと、か言ったくせに、……ふざけんな、ばか……」 「うん、そうなんだけど、でも一応用心はしとこうよ、ね?」 「あ、ああ、……ばか、とり、……んん、ん、……あ……」 用心しとけと言ったその矢先でのこの仕打ち。悪魔だと日吉は心から恨んだ。 「……っふ、……ん、あ、お、とりっ……」 「イきたい……?」 「……ん、っ……」 震えながら、頷く。 「わかった。でもちょっと待ってて。……まだ出すなよ……?」 「なに……ちょっ、あ、んんっ……」 何をするのかと思っていたら鳳は身を屈めてベルトのバックルを外すと、熱く猛った日吉のものを下着の中から取り出すとチュッと先端にキスを落としてからそのまま口に含んだ。日吉がちらと見たとき先端はもうかなり濡れていた。それなのに舌の先で亀頭を突付かれると、また新しく、温かい蜜が滲んでくるらしい。鳳が啜るのは、多分それのせいだ。 「……っん、ん、……ん、んん……ぅん、んん、……あ、も、……いいっ……い、から、……あ、や、はな、はな……せっ……っ、……ん、ん……!」 先端に歯が立てられた。堪らず日吉は射精する。 口内いっぱいに広がっただろう酸味に、嫌な顔もしないで喉を鳴らしている鳳に、日吉は顔を覆うと同時に背筋を震わした。恐らく、それは舌根の辺りでべとついたりもしているだろう。 「……っん」 案の定、鳳は咳き込んだ。それなのに放そうとしない。 「……っあ……ちょ、おっとり、……」 鳳が喉を鳴らすたびに舌体が日吉のものに触れて刺激されてしまい、いつまでたっても興奮が収まらない。引き離そうと思って髪を引っ張ったら、 「……いたっ……ちょ、日吉、たんま、それよりお前……ティッシュかハンカチあったら出せよ……」 「なん、で、……あぁ、あ……しゃべ、しゃべ、るなよっ……当たる、だよっ……!」 「あ、悪ぃ……」 「っああ……!」
中途半端な抜きになってしまいました。なんだかんだ言い合ってますが実はちゃんとラブラブだよん、てのが伝わればオケー。どうでしょう? 鳳は好き(なにが? なんだろ……)なんで咥えてますが、ぴよだって負けず嫌いっすよ。へへ。 学校てさ、割と隠れられる場所、あるよね。匂いさえたたなきゃエチなんてあーいうトコやこーいうトコで好きなときにできたりするよね……? ↑ とまあ上のこれは前回のコメント。 今回改めて再びコメントしますとアレです。03.06.29のCITYでの発行を目指して推敲してます。で、再度アプしてみました。サンプルだけどまあエロSSとしても成り立つかなあーと思うのですが、無理ありますか? 基本的にオフのものはサイトに再録しないし、サイトに上げたものもオフでは出さないという姿勢を取っておりますが、最近コピーが多いからでしょうか。再録の要望がちょこちょこありましてちこっと考えてみました。コピーになりそうなものは一部抜き出しでサイトにアプしいてみようかなと。毎回それが出来るかどうかはわかりませんが余裕がある時には実行させてもらおうと思っております。こんなカンジだよーってのがわかっていただければ嬉しいかなと。超ssだと思ってくださいませ。 (03.05.25) |