「ンっ……」
　シャツの上からするりと撫で上げられる指に、声を殺して柳生は腕を仁王の背に回した。顔が首筋に埋められ、下から順にボタンが外されていっている。愛撫の手が止まることもなくスムーズに外す仕種には顔が赤らんだ。器用だと感心してしまうのは毎度のことである。
　「っ……」
　ついに手が直に触れてきた。
　「痛っ……」
　乳首を捏ねるちからがいつもよりも乱暴と感じるのは気のせいだろうか。それとも自分が敏感になり過ぎているからか。
　「寒いんか？　震えてるぞ」
　「そ、そうではありませんっ……」
　「そうか」
　仁王の片手が柳生の腰の下に静かに忍び込んできた。抱き上げるようにして柳生の躯を浮かせると、仁王はそのままその躯を引き寄せた。
　「仁王くん……！」
　彼はそうしてから胸を肌蹴けさすと露になった柳生のその首筋に顔を伏せた。押し当てられた仁王のその唇の熱さに、柳生は眩暈すら覚えた。
　仁王の手がベルトにかかり、室内にカチャカチャと金属音が響く。
　柳生は顔を紅潮させた。顎の下をくすぐる髪にすらも今の自分は簡単に鼓動を跳ね上げてしまうらしい。
　「っ……！」
　波打つ心臓の上に仁王が口づけた。それからぷくり膨れ上がった胸の突起を口に含む。柳生は思わず唇を噛み締めた。そうでもしないと大きな声を上げてしまいそうだった。
　「すごか。ころころとよぉけ転がる」
　柳生はそれを指摘されて言葉に詰まった。どう答えろと言うのか。
　「あ……っ！」
　胸から臍、そして下腹へと徐々に舌が下りてきた。程無くしてジッパーも下ろされた。
　「ふ……っ！」
　柳生は息を飲み込んだ。熱を持ち始めなかば頭をもたげたものを仁王が口に含んだからだ。
　「仁……王くん……っ！」
　咄嗟に柳生も仁王の髪を掴んで身をよじった。
　「やめ、……やめてください……！」
　口でされるのは嫌いですともう何度もしないでくれと頼んでいるのにいつも聞き入れてもらえない。今日も聞き入れてもらえそうにないようだ。
　「に……おぅ……っ！」
　やがて仁王は自分の髪を掴んだ手を外させると、根元を締め付け舌を絡ませた。手では弄ってもらえない
分、ゆっくりと追い詰められ、ねっとりとした快感が柳生の背筋を駆け上ってくる。
　「あ……あっ」
　もはや唇を噛み締めても、声を押し殺すことができない。
　「あっ……あ……！　に……おぅくん……っ！」
　すっかりと立ち上がってしまった柳生のそれの形を、柳生にも思い知らせるように仁王の舌が実に正確に辿るのに、柳生は死にそうなほどの羞恥を覚えた。
　「……ンっ……！　いた、い……も、手を……その手を……！」
　柳生の声は震えた。含まれては舌を絡められ、のぼりつめそうになるとさっと口を外されて、ひどく意地の悪い悪戯に苦痛は増す一方だ。躯の芯にくすぶる快感の焔が仁王には見えると言うのか。握られた手にちからが篭もるのと快感が極まってくるのとが必ずぴたり重なっていた。
　イこうにもイけないまま気だけが昂っていく様を、余裕のある態度でじっと仁王に眺められていたのも覚えている。
　耐え忍ぶのを強いられれば強いられるほど柳生の中の焔は燃え盛った。あのまま続けてくれていたならイけたのにと、思い返したみたときに恨めしく思ってしまう場面の数は酷いことに少なくない。
　拷問にも近いこの仕打ちはあとどのくらい続くのだろうか。まだしばらく続くのであればそう遠くないうちに自分はあられもなく、仁王に縋るだろう。
　「もう、イきたいか？」
　柳生の震えるものに歯が軽くだが立てられた。
　仁王はやはり意地が悪い。いちいち聞かないでもわかるだろうに敢えて聞いて言わせようなどと考えるなんて。
　「どうした？　答えがないがまだ平気ってことでいいのか？」
　「……あなたはっ、……酷い人だ……っ！」
　
１／２５に発行しました仁王柳生のコピーです。こんなカンジでエロっぽいものを目指してみました。
突っ込んではいないので13禁くらい？
しこしこしてるだけだからライトエロってことで。
いつか突っ込ませてみせるぜ！
(04.02.12)