<ワンコの超能力>

犬は人間と比較すると、聴力は四千倍で、嗅覚にいたっては約百万倍もあります。さらにグレーハウンドという犬種は、陸上を時速六十キロ以上で疾走しますし、持久走ではフオックスハウンドが時速五十キロで二キロは大丈夫という素晴らしい運動能力をもっているそうです。そのような、生物学的とか、解剖学的な分野から確認されている能力は別にして、私たち飼い主が「何か不思議?」と感じることもあります。それを仮に「ワンコの超能力」として考察してみましょう。

国内はもちろん、世界の名犬たちの伝説や物語はたくさんあります。なかには、知能が知られている範囲では出来ないような働きで、人命救助などを行った名犬もいます。たしかに人間でも、あまりお勉強もせずに簡単に一流大学に進学しちゃう「天才」もいますから、犬の世界で彼らは特別の存在かもしれません。

しかしです!いま貴方のそばで、玩具をカミカミしている愛犬も「おっ!」と思える行動はなかったですか?えっ、しないですって!そんなはずはありません。それは貴方の観察不足というものです。必ず貴方の大切な愛犬も、貴方が気づかぬうちに「超能力」を発揮しているはずです。たとえばこうです。貴方が「おやつでもやろうかな」と思っただけで、もう愛犬が貴方の前でチンチンして「なんかちょうだい!」のポーズをするなんてことも不思議でしょ?まるで、貴方の考えがテレパシーによって伝わったとしか考えられない行動です。この不思議を解明する鍵は彼らのルーツあります。

犬の祖先といわれている「狼」の狩を思いうかべてください。狼たちが、群れ全体の胃袋を満たすために大型の草食獣を襲うとき、真正面からの襲撃では逃げられたり、運が悪ければ逆襲されるかもしれません。ですから彼らは、散開して獲物に気づかれないように身を隠しながら、お互いの位置や襲うタイミングまでも「声」を発することなく、巧妙なティームワークで狩を成功させるのです。狩を繰り返してより学習し、その正確さは高まっていきます。このように優れた各感覚器官の能力は、獲物に対する情報だけではなくて、広範囲に散った仲間との交信にも役立てているのです。その祖先たちの能力は、私たちの愛犬にも受け継がれています。家庭では獲物は私たちですが(笑。貴方がおやつを与えようと考えて、おやつが入った箱を「見た」、その目線のわずかな動きでも愛犬は察知してしまうのです。手品にタネがあるように、超能力にも基礎能力が必要なのです。超遠距離からの帰巣や、現在の科学では完全に解明出来ない危険回避能力なども、ホントはタネがあるのかもしれません。同士諸君、女性に犬族の探知能力が無くてよかったですね。ホントよかった(汗。

人と犬、太古の昔からの最も古い契約は「警備」です。夜に忍び寄る野獣を私たち人間におしえてくれたのです。今は野獣の危険は無くなりましたが、もっと恐い危険がいっぱいで物騒な世の中になりました。犬は最愛の家族に迫る危険を察知し、「吼えて」しらせてくれて、ときには撃退してくれる、今も昔も変わらぬ人類と共生関係にある唯一の動物です。家族が寝静まった後の出火、ピッキングで侵入しようとする賊など、予想もしないような事態があるやもしれません。そんなときに、いつもは居間で濡れた靴下状態で寝転んでばかりの愛犬が、名犬ラッシーのごとく頼もしい活躍をみせてくれるかもしれないのです。そんなエピソードは全国でゴロゴロするほどあります。犬は仔犬のときに人の手の温もりを知り、その主人のために自分のもてる限りの能力でつくします。それは、嗅覚かもしれませんし、聴覚や脚力かもしれません。そうすることが、貴方がとても喜ぶことだとわかっているからです。「ワンコの超能力」で一番の能力は貴方の心がわかることかもしれませんね。

貴方の愛犬に生涯、華々しい活躍の場が無いかもしれません。でも、それは安全で幸せだったということですし、なにより貴方は愛犬から「暖かい思い出」をもらったはずですから。


次回は<犬猿の仲ってホント?>の予定です。

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