<あっ! なんでそんなことするの?・・・へこり編>

犬がへっぴり腰でカクカクとか、クッイクッイと腰を動かし飼い主や、時には相手かまわずにクッション・鞄にまでする行為を俗称「へこり」、正式にはマウンティング行為といいます。交配のような行為ですからメスはしないと思われがちですが、そんなことはなくてけっこうしちゃいます。とくに多頭飼いしておられる飼い主さんは、壮絶なへこり大会の喧騒に悩まされる方もいらっしやるようです。この行為は以前に書かせていただいたように、順位決定のための行為の一つですから、仔犬の成長過程には必ずあるプロセスです。対象物が犬や、物の場合には容認しても良いのですが、家人にするようならそれは止めさせなくてはいけません。止めさせて、他の矯正と共に行い家庭内で最下位であることを認識させなくてはいけません。これを怠ると可愛いはずの愛犬が、いつのまにか「暴れん坊将軍」や「わがままノビタ君」に変身しちやう危険性がありますから注意してあげてください。

さて、今回の話題は「へこりには変種があった!」です。一般的に知られている「へこり」行為以外にも「ぐりぐり」という行為があります。これは主にメスが行う行為ですが、インブを相手の顔に押し付け、押し倒して勝どきをあげるという「へこり」とはちょっと違う行為です。これもまた一見すると喧嘩をしているように見えますが、実は「お前は私より下位だから私のおしりの匂いを確認して挨拶しなさい」という行為なのです。お子様が寝転んでテレビなどを見ていると、いきなり愛犬が「おしり攻撃」をしかけてきたらこれもまた止めさせなければいけません。犬どうしの場合にはけっこう執拗で、相手が屈服するまで「親の仇」ほどぐりぐりしています。人間相手には困った行為なのですが、こと犬どうしでは大切なコミニュケの行為で、これが理解して出来なければ犬社会では社交性のない犬になってしまいます。犬の挨拶のプロセスにはいろいろあって、初対面かそうでないか、身体の大きさ(目線の位置)、オスかメスかでも違いますし、年齢(いろいろな経験)や社交性(群れの体験)などでも作法や対処法が違うようです。それらが学習できずに一匹で暮していると、犬にはまったく興味をもたず人間(家人)のみが中心となってしまう場合もあります。犬を恐れ、家人以外を警戒し、犬族だという意識をもたない犬になってしまうようです。人間にも相性があるように、犬にも相性があります。ただ、社交性が乏しい犬でも、ひよんなきっかけで改善する場合もありますし、年齢と共に改善するケースもあります。ワンコの気持を考えず無理に社交性をもたそうと、方法を吟味せずに行うと逆効果になる場合もありますから、急激な変化になる方法は避けるべきです。あくまでも自然に徐々にが特効薬でしょう。

「へこり」や「ぐりぐり」が犬コミニュケの行為で、成熟していく過程での行為だということを理解していだいたと思います。

大切なクッションにしたからといって、「いたずら行為」ではなくしかたないことだからこそ、飼い主が上手くコントロールしてあけることが大切です。愛犬がコンパニオンとして幸せに暮らすためにも、本能的衝動や人間と同じ犬との間の行動がその生涯をつうじて重要で必要なフアクターになります。お家に一匹でいるワンコには、飼い主が親であり、友であり、そして先生にならなければなりません。それはけっして難しいことでも、特別なことでもありません。貴方にお子さんがいらっしやって、その子が幼稚園や学校へ通い学習し、友達と遊んだり喧嘩して他人を学び、家庭でもいろいろな経験をして、大人になっていくのと同じです。ワンコだからといって、人間社会で暮す以上はピーターパンではその子は幸せにはならないのです。人間も犬も子供は子供なのですから・・・

日本では、オーナー様はペットショップさんでもブリーダーさんからでも「仔犬」をお選びになります。そうゆう風潮から生後まだ幼くて本当は母犬や兄弟たち・仲間といっしょにいなくてはいけない時期に「ひとり立ち」させられます。でも諸外国の有名犬舎や、国内でも素晴らしい犬舎さんでは、仔犬の精神安定期をご存知でオーナー様にご指導されるところもあるようです。フードとトイレの処理だけが「飼う」ということではありません。それは飼い主だけではなく、生体の提供側もよく考慮する必要があると思います。それが出来なければ「命」の取引はしてはいけないのです。

へこり命のユウ先生からのお言葉です。 「疾きことは風のごとく、徐かなることは林のごとく、侵掠することは火のごとく、動かざることは山のごとく、知りがたきことは陰のごとく、動くことは雷の震うがごとく、郷を掠むるには衆を分ち、地を廓むるには利を分ち、権をかけて動く、先ず迂直の計を知る者は勝つ、此れ「へこり」の極意なり」     かしこ


次回は<ワンコの好き・嫌いって・・・の巻>の予定です。

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