<飼い主の本音とワンコの本音>

「わん・わん」「きゃん・きゃん」「くぅ〜ん・くぅ〜ん」。。。
我家では、早朝にワンコたちが朝のご挨拶をはじめます。犬語が理解できない私にとって、それははただの「喧騒」にしか聞こえませんが、無視しているとエキサイトして、もっと大きな声で私を呼びます。この大騒ぎも犬に興味がない人にとっては堪えがたいものでしょうね。「ダメ!吠えたら出さないよ!」。。。「わん・わん」「きゃん・きゃん」「くぅ〜ん・くぅ〜ん」、人と犬がお互いの要求をぶつけあい自分だけはと、せめぎあう瞬間です。昨夜は可愛くて、いっしょに寝ようかなと思うぐらいだったのに、今朝は仔犬と思えないおっさん声で「うぉん・うぉん」。
「この小悪魔め!まだ吠えてるな、朝ごはんヌキだかんね!」と、私。

飼い主さんとワンコ、飼うものと飼われるもの、簡単に表せばそんな関係です。家族と同じように暮らすワンコもいれば、壊れかけた犬小屋に薄汚れた身体をいつも横たえているワンコもいます。愛犬との関係がペットと考えるか、はたまた家族の一人と考えるかは別にして、飼い主の深層心理のなかには「動物=従わせるもの」という意識が必ずあります。飼い主に精神的な(経済的にも)余裕がなければ、愛犬にも配慮が出来なくなってきます。「自分を犠牲にして相手を。。。」なんてことはめったにないでしょう?尊い宗教家の方でない限り、自分の命や欲することが一番大切なものです。目覚ましを切り、あと少し寝ようかなと思っている時に、「わん・わん」と吠えられたらだれでもイライラすのでしょう?それが正常な心理です。それはけっして貴方が優しくないからではないのですよ。

人の世では「本音」の争いはあまりおこりません。必ず何かの衣をまとった「タテマエ」が争いの表面に出てきますがワンコは違います。どんな時にでも「本音」で勝負です(笑。「ゲージから出せ!」「めしを食わせろ!」「お外に散歩!」「おやつをくれ!」「遊んでくれ!」             
書き出したらそれこそきりがありません。本能と生活習慣から、すべてが本音トークなのです。その直球勝負に余裕で対処するためには、こちらも本音でガンガンいかないとダメです。本音にはタテマエでは勝てません。他人の目を気にしたり、飼育本のマニュアルを参考にするだけではダメです。飼い主が嫌なことは完全拒否!愛犬が喜ぶことと、貴方の気持ちが一致したらガンガン実行!ワンコが理解しやすい本音の付き合いが愛犬と貴方の間をもっと円滑にします。そうすれば貴方の一挙一動を愛犬は必死で探ります。貴方に信頼され、愛されたいために心地よい緊張を維持して接してくるでしょう。自分の本音を理解してくれる唯一のリーダーだからです。

争いごとをおこさないための「タテマエ」が支配する人間社会と、生きるため「本音」が基本の動物世界では根本的に違います。しつけを完璧にしようとすれば、鬼ママにならないとダメな時もあるかもしれません。飼い主の本音は、こんな場所で「吠えるな!バカ!」と思っていても、つい「○○○ちゃん、なかないでね〜 おりこうさんなんだからダメよ〜」なんて優しい口調になっちゃうもんですよね。ドックランで他の飼い主さんのてまえ、首輪を強く引いて「アホ!誰に吠えてるの!止めないとゲージ行きよ!」と厳しい大きな声を出すなんて、虐待してると思われる方が心配ですもの。ワンコは飼い主の世間体なんてぜんぜん考えてませんから、飼い主が恋人と愛を語っている時にでも、平気でウ○コなんてしちゃうし。。。愛犬をしつけせず「野放し」にするということは、ワンコの本音と一生付き合わないといけないということなのです。貴方はそれに耐えれますか?だめですよね〜最後にはだれでも癇癪がおきちゃうもの。

「人間はタテマエが無いと生きられない、ワンコは本音(本能)が無いと生きられない」は真理です。哲学者のようなむずかしい顔をした犬や、潔癖症の犬がいたら飼い主が疲れてしまいます。適当にききわけ良く、適当に「おいた」をするワンコだからこそ愛らしいのです。愛犬との関係を深めようとする場合には、彼らの本音を見極めて貴方がそれを消化してあげなくてはなりません。貴方が「Yes・No」をわからせるのです。それは「ダメ」の意思を表現するサインを決定するということです。しつけは「Yes」より、「No」を先に完成させなければなりません。極端な話し、犬は「Yes」については教えることは無いともいえます。飼い主がこのサインを出したから、「これは=ダメ」なんだと理解(我慢)させるのです。「マテ」や「ヨシ」よりもこのことの方が何倍も重要で、「タテマエ」と「本音」の共存共栄が幸せの鍵なのです。

どんなに愛情あふれる男女、家族にも争いごとはおきるものです。完全に亀裂が生じて別れたり、絶縁することだってあります。それはお互いが自尊心をもち、自立できる能力があるからなのです。でも犬にはそれがありません。誰かに依存して生きていかねばならないのです。ワンコは貴方だけが頼りです。「貴方!お部屋ではタバコは止めてねって言ってるでしょ!」無神経亭主に対して、ときには「ほのかな殺意」を感じることもあるでしょう(笑。でも、「○○○ちゃん!お部屋ではトイレは止めてねって言ってるでしょ!」って言ったって、○○○ちゃんは貴方が怒っていることは理解しますが、生理現象(発情中などとくに)には日頃の「しつけの成果」なんてコロっと忘れちゃいます。前者は確信犯で、後者は判断能力喪失により無罪なのですが、同じく貴方の心に鬼が宿ることもあるでしょう。そこでお願いですm(_ _)m

私を含めた無神経人間はともかく、ワンコだけは許してやってください。しつけの成果はすべて貴方のためにしていることで、貴方の笑顔やご褒美を期待してのことですから、本能が優先する場合には「おりこうさん回路」はショートしているのです。彼らの本音とつきあう場合は、必ず平常時という条件が付きます。体調不良や、パニックをおこしている時には無理強いは逆効果となります。この点をご注意ださい。

「あの人は本音人間だからつきあい辛いよね〜」と、ときに耳にする会話です。ざらざらした関係で摩擦をまねくか、つるっとスムーズな関係で楽しくなるかはコミュニケーションのとりかたひとつです。お互い日々のワンコ生活を見直してみませんか?ちょっとだけ。。。

 

次回は<ワンコの成人式!?>の予定です。

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