<寄生虫とカビについて>
これからの季節に活動が活発になるワンコにつく外部寄生虫、いろいろな原因によって発症する「皮膚病」など、場合によっては毛が抜けたり、肌が赤くただれ痒がる愛犬を見れば心が痛みます。さらには人間も苦しむアトピー性皮膚炎や、アレルギー性皮膚炎をわずらうワンコもいます。皮膚病の予防と治療は、「皮膚は重要で大きな内臓」であることをまず認識しなければなりません。そして病気の治療は「予防」が大切です。
ワンコの皮膚病予防は「身体のお手入れ」での早期発見がとても有効です。また、観察からわかる「舐めている」「痒がっている」「身体を何かに擦っている」など以外にも、今までなかったような異常行為(物を破壊・むずがる)をするようであればそれも注意する必要があります。不幸にも愛犬が、皮膚病になってしまったら原因を究明することから治療を始めることになります。動物病院へ行き、原因が寄生性皮膚病なのか、細菌性皮膚病やカビを原因とする皮膚病、または内分泌異常等及びアレルギー性皮膚病なのかを獣医さんの診断を受けて、原因と症状にあった治療をしなければなりません。皮膚病治療は「根気と忍耐」が基本ですから、獣医さんの飼い主、飼い主とワンコが協力してねばり強く治療することになります。皮膚病の原因よっては長い闘病となってしまうのです。それでは、そうならないためのお話に移りましょう。
「お手入れ」
お散歩から帰ってきたら足を洗い、身体を拭きブラッシングをします。でも汚れが酷い時には「お風呂」となるのですが、ここでお考え頂きたいことがあります。それは、身体のための洗剤「シャンプー」なのです。シャンプーはさまざまな商品が発売されています。毛艶を良くしたり、薬用をうたった商品や低刺激性の商品もあります。私個人の意見であることをお断りして書きますが、人より弱い皮膚を持つ犬(常に毛に保護されているため)の場合には、香料などの余分な成分の無い「超低刺激性」の商品が良いと思っております。動物の皮膚は「一枚の布」ではありません。新陳代謝が常に繰返されて、まさに皮膚の表面は「ちぎり絵」のような状態なのです。ですから、シャンプーを充分に洗い流したつもりであっても、皮膚に残って皮膚炎の原因になる場合もあります。 くれぐれも、商品のご選択は慎重に!
「皮膚とフードの関係」
この原因は、内分泌異常等及びアレルギー性皮膚病にも関わります。食物アレルギーを見極めるためにも、フードのブランドを再々変えたり、おやつを多品種与えていると原因の究明が困難になります。実績のある栄養バランスの良いフードを選び、賞味期限や保存状態の良い販売店から購入することです。フードの劣化は、使用されている油脂の酸化が主な原因です。密閉ケースなどを使用して家庭での保管にも注意しましょう。アレルギー性皮膚病といっても、アレルゲンとなる原因物質は無数にあります。プラッチックの食器であったり、ハウスダストやマットの化繊などと複合している場合もあり、食品だけに注意を向けるのは危険です。
「細菌・カビ」
ワンコが皮膚病になる原因の多くの場合は、体力低下による抵抗力の弱まりがきっかけであるようです。後で書かせていただく「外部寄生虫」の問題であっても、抵抗力があれば発症しないこともあるようです。バイキンや、カビによる発症にも同じことがいえます。愛犬の身体を清潔に保ち、飼い主が毎日「触診」してあげることが良い予防になります。
食品カスなどが、耳の縁についたままであったりすると「カビ」の温床にもなりますし、小さな傷口にバイキンが入って化膿や炎症をおこして、それが元で重度の皮膚病になることもあります。カビが原因の場合には、痒がらないことが多いですから「かさぶた」やフケ、色素沈着、脱毛など、「あれ?」と思ったら獣医さんに相談しましょう。
毛で隠れている皮膚にある「前兆」は飼い主が見つけるしかありませんから・・・
「外部寄生虫」
ワンコにもノミをはじめとして、さまざまなダニ類などの外部寄生虫が寄生します。多くの場合非常に強い痒みがあって、そのため皮膚にかき傷ができたり脱毛が起こって、これに細菌などの原因で二次感染し皮膚病を重くするのです。
昔は不治の病といわれていた「毛包虫症」も外部寄生虫です。毛穴にダニが寄生しておこる寄生性皮膚病の筆頭にあげられる病気ですが、今では適切な治療法もあって時間をかければ完治させることも出来るようになりました。抵抗力の低下で皮膚病を発症するのですから、寄生虫から完全隔離することが予防法ではありません。食生活などの健康管理が良く出来ていて、体力があれば皮膚病になりにくいのです。
ごく普通に人間の顔などにも寄生しているダニがいるように、ワンコの身体にも少なからずダニはいるものです。フロントラインなどによって、ある程度は防げても完全とはいかないものなのです。また、「外部寄生虫」は成虫の駆除よりも、「卵」の駆除(幼生)の駆除に時間を必要とします。獣医さんと二人三脚で、完全に症状が沈静化するまで根気よく治療を行ってあげて下さい。もう大丈夫だろうと、薬の投与を勝手に止めると状態が悪化するだけではなく、症状が複雑化して治療し難くなってしまいますので注意してください。皮膚病の治療は「しつけ」と同じ根気が王道です。
すべての皮膚病は、毎日の身体の手入れと健康管理が最高の予防法と思って下さい。
次回は<遺伝について>の予定です。