<去勢・避妊について>
地域によっては、「不幸な命」を創らないために助成金制度を実施しているところもあります。処置を考えておられる方は、地元の市役所や保健所にお問合せしてみてください。この手術の危険度は5万分の1ほどしかなく、最適な時期等を医師と相談すればほぼ安全といえます。飼い主がこの処置を行うことによって、「性」を失うかわりに、問題行動の抑制や病気の予防にもなります。ただ、メリットだけを過剰に期待するのも問題ですが。というのも、マーキング・攻撃性などの問題行動の抑止力は、術後に改善するのは全体の50%前後の確率といわれているからです。最大の目的である生殖の防止であればよいのですが、問題行動の抑止が目的であるときには事前に医師にそのことを伝えることです。ときには、追加的処置としてホルモン剤の投与をすることもあるからです。術後、一般的に去勢は日帰りでき、避妊手術の場合には入院が必要となります。退院後も感染症などを注意してあげることが大切です。太りやすくなることもありますので、摂取カロリーについては体重をチエックして、増加傾向であればダイエット用に変更してあげてください。 さて、飼い主の思惑はさておき、ワンコからみた<去勢・避妊について>はどうでしょうか。 「男の子」らしさ、「女の子」らしさは発情期に発揮されてしまいます。♂が一頭であっても、成熟期になれば「らしい」行動をするようになります。まして、多頭飼いの場合には♀がいなくても、「何か理解出来ない衝動」が♂たちの脳髄を刺激して、「理由が理解出来ない争い」がおこります。「仁義無き戦い」や「史上最大のへこり大作戦」です。それは無人島に流れ着いた男が、コーラのビンに女性を想うレベルです(笑。愛犬に「らしさ」を求めないなら、「性」は飼い主と犬にとって、お互いのストレスになることだけでメリットはないかもデス。発情期の♀がいなければ♂は発情しないのですが、外部(お家の周囲数百m以内)からでも影響は受ける場合もあって、飼い主が関知しないことで「らしさ」の行動をしてしまいます。家具などにマーキングすることは自然な生理行動なのです。犬の真意は、言葉を交わすことが出来ないですから聞くことは無理ですが、前立腺肥大や子宮蓄膿症なども予防出来て、大好きな飼い主さんと共に健康で、長生き出来る確率が高まるのですから犬にとっても良い選択でしょう。人も犬も、身体にメスを入れることはそれなりの思案は必要です。でも、後々のことを考えれば互いのためになるのではないでしょうか。 他項でも書きましたが、全国で想像を絶する数の犬や猫、飼えなくなった動物たちが処分施設へ送られています。もっと酷いケースでは山などに捨てられることもあるようです。野犬化することも問題ですし、ミックス犬のような体力的抵抗力のない純血種は自然では生きていけません。フェラリアにもすぐ犯されるでしょうし、愛玩用に作出した体躯では餌を捕ることなど不可能なのです。残飯を漁るぐらいがせきのやまです。人知れず、野山で「命」を枯れさせている犬・猫たちも少なくないでしょう。正論ですが、自然動物である月の輪熊を、家庭では適した環境で飼うことが不可能なように、家庭犬を自然(無管理)でベストな状態に保つことは不可能なのです。逆をいえば、自然動物は可能な限り人間が干渉しない環境がベストでしょうし、愛玩動物は人間が管理しないとベストな状態にはなれないということです。しかし、その「自然」でなければならない自然動物ですら現在は、環境破壊や乱獲で「人工的繁殖」をしなければならなくなっていますが・・・ これほどまでに地球上に増殖した人類は、他の生物(病気)に淘汰される日か、自滅する日までは「自制心」をもって、自然との協調と、自己管理をしなければならないのです。人類はいつのまにか偉ぶり、地球を何回も吹き飛ばすことの出来る原子力を手に入れて、いまさら自然保護を訴えても「完全なる自然」なんてもうこの地球上にはないのかもしれません。いま話題になっている「くじら」でもいい例です。真理は、海を水槽で考えればわかります。水槽の魚を生かすことも、増やすことも環境が大切なのです。いくら大きくりっぱな水槽でも、餌(イワシ・イカ等)が少なければ生きることも、増えることも出来ません。自然のピラミッドのバランスは微妙です。環境の頂点に君臨する(天敵が無い)生物を保護し、数だけが武器である捕食される側(餌)を保護しなければなんの成果も無いのです。崩壊はいっきに始まり終わります。弱い生物は数だけが生きる手段だからです。たぶん、現状での自然保護は、人類が適切な自然管理(マビキ等)をする方法でしょう。この動物の「命」は高等だから大切で、この魚の「命」は下等で沢山いるからなんてことをやってると。最後には人類が、破滅する道しか残されていません。自然のバランスを改善するためには、まずピラミッドの底辺に位置する生物の保護をすべきです。人の食卓にのぼるはずの魚を「くじら」に譲る覚悟がいるのです。残念なことなのですが、海はもう昔ほど豊かではないのです。すでに漁業も獲るだけの漁業ではすでに需要に追いつけません。これは理屈ではなく事実なのです。 仕事がら、最近の海を見てそう思います。ほんとうに去勢・避妊の処置がいるのは人類かもしれませんね。 方向がワンコを超えて、壮大なテーマ(笑)に脱線したのでもどしましょう。 去勢・避妊の処置をするか、しないかは、飼い主の判断です。愛犬の「らしさ」に愛情を感じたり、身体にメスを入れるのが嫌な方もいらっしやるかもしれません。それはそれでしかたのないことです。飼い主と愛犬との間は、他人が入る隙間はないのですから・・・ ただ、忘れないでください。 愛犬の産んだ「命」は、貴方を頼りにこの世に産まれた「命」だということを。 次回は<ワンコはドライブがお好き!?>の予定です。 |