<老いる>について

人間もワンコも体内の設計図とおりいずれ一生を終えます。

それは事故なのか、はたまた病気なのかは分かりませんが必ずその時は来ます。自然の摂理はよくしたもので、「老いる」とは別に「ボケける」というシステムも与えてくれています。「ボケて」母親の胎内から産まれ、「ボケて」死の恐怖から逃れるというシステムです。最近は健康フェチが好みそうな番組で、司会者が「詐欺師」のごとく得意げな顔をしながら「ボケ防止」の方法を紹介しています。本当に「ボケ」が悪いことなのでしょうか?老衰で死ぬ瞬間まで「死」とはなにかを若者のごとく回転する頭脳で考えて、恐怖におびえることが幸せでしょうか?あの手の番組の趣旨や最近の風潮は、老後のためにというよりも他の意味があると思っています。いつのまにか少子化&高齢化大国となって、老後の生活不安もあるでしょうし、もっと追及すればその老人を介護しなければいけない家族達が「ボケ」を嫌い、最後の瞬間までも頭脳明晰で手のかからない「老人」を創ろうとしているとしか思えないのです。若さには沢山の欲望がつまっています。食欲・性欲・物欲などなど・・・それはもう沢山の欲でいっぱいです。それを美化して表現するなら「希望」となるでしょうが、実際は「私利私欲」でしかないのです。そのあらゆる欲が形を変えて現在の世界があるのです。飛行機もクルマも、綺麗な町並みもすべて「欲」があるからこそ出来たものにほかなりません。人間だけではなく、ワンコも長寿になったそうです。医学や栄養学の進歩も凄まじく、クローン技術(神の領域?)にまで到達しています。いずれ、不幸な事故で亡くしたペットをクローンで蘇らせる商売もできるかもしれませんね。

貴方もダイヤモンドに永遠の美を感じることもあるでしょう。そのダイヤは貴方の死後も輝きつづけて、いずれ他人にわたるか、どこかにしまわれてしまうのです。自分の所有物でありながら、生きている時にレンタルしているだけの「無機質」なものなのです。「永遠の輝き」のダイヤに美を感じるか、いずれ終焉がくる「はかない命」に愛らしさを感じるかは人それぞれの問題ですから、決定ずけるようなことを書くことは出来ません。でも、自分自身が「永遠の輝き」のダイヤではなく、いずれ終焉がくる「はかない命」であることを忘れないことです。「はかない命」であるからこそ、限りある時間だからこそ、楽しく過ごすようにしなければいけないのです。私も貴方もいずれ「老い」ます。ワンコは私達の数倍のスピードで「老い」ます。そして愛犬が貴方にその「老いる」の本質を見せてくれる時がきます。少しずつ「欲」を失い性格も変化して、身体がゆっくり、でも確実に終焉の準備に入っていきます。

もう一度問います。

貴方の愛する家族や恋人に不幸があった時に泣きますか?
それとも大切にしているダイヤを無くした時に泣きますか?

「悲しい」と「口惜しい」は違います。「無機質」なものにしか愛情をもてない人は、犬(動物)といっしょに暮らすことは出来ません。お互いが幸せにはなれませんから避けたほうが賢明です。

これほどまでに地球上に繁栄した生物はバクテリアなどの単細胞生物と人間だけかもしれません。他の生物達が自然の摂理に適合して生きてきたのに、人間だけは自然の摂理を捻じ曲げて生きてきました。人工的なものに美と便利さを求め、都市部ではもはや自然との調和などは不可能なほどの状態です。私自身も文明の利器がなければ野垂れ死には確実です。いまさら文明を否定することよりも、自然を感じるようにアレンジしていくことがこれからのライフスタイルかもしれません。
それが「ガーデニング」や「コンパニオンアニマル」を流行らせる要因かも・・・

貴方と愛犬にも同じ一つしかない「命」の最終形態である「老いる」がテーマでしたが、若さにも美があり老いにも違った美があることを考えてもらえればと思い決めました。これから仔犬を選ぼうとする方や、すでに愛犬がいる方にも、いずれくる「老い」について理解してもらえれば幸いです。世界に前例のないほどの高齢社会となった「老いた日本」で、ますます「癒される」ということが大切なジャンルとなるでしよう。

人間と犬、同じ生き物として幸せな「老い」を迎えたいものです。


次回は<母犬と出産>の予定です。

ワンコの気持ちTOPへ