<おやつについて・・・>

今回は、ダイエットの敵、わがままの元にもなっちゃう「おやつ」についての独り言です。

かく言う私も「おやつをアゲタイ症候群」のひとりです。その理由は、言いわけポイのですが、たまにしか会えない子たちと短時間で関係づくりをしたいからです。私があげるものは、低カロリーのそんなに美味しく(製造会社さんゴメン)もないようなものですし、何もない時にはドライフードの時もあります。

それなのにワンコさんたちは、「おっ!いつものおっさんだ」と、喜んでくれるのです。お行儀よく待つ子や、頭をさげて身体を擦り付けるようなしぐさする子、独占しようと他の子よりも高い位置に来ようとする子、他の子がもらったのを横取りしたり、脅して取り上げてしまう子などさまざまな反応を見せてくれます。サイコロ状のちっちゃな欠片をくれる変なオジサンを受け入れて、今度は身体を撫ぜてと次の要求に移ってくれるのです。ワンコにとっては、その欠片も「撫ぜ・撫ぜ」も同じ「おやつ」なのです。

初対面の他人にいきなり「撫ぜ・撫ぜ」をねだるような子はめったにいませんが、「おやつ」の場合には食欲(好奇心も)が影響して意識を緩和させ、受け入れさせやすくするようです。その子の飼い主さんになんのことわりもなく、「おやつ」をあげることは常識外(アレルギーなどの体質及び病気治療中のことも)なことですが、飼い主さんの許可を得てのコンタクトの方法としては有効な手段ではあります。また、「まて」などのしつけに使用したり、ご褒美にしたりして、ワンコの集中力をアップさせます。

さて、ここまでは「おやつ」についての良いお話ですが、「ワンコの気持」的お話として、もうひとつ踏み込んだお話を考えてみましょう。「おやつ」にご褒美としての役割があることは先に書きましたが、それが変に関わり、偏食に傾向するきっかけになる場合もあるのです。ですからあまり嗜好性の高いものを常食させることはお勧めしません。それの味・匂いに執着して、他のものを受け付けなくなることもあります。あくまでも「おやつ」はイレギラーなものと認識させてあげるべきです。
「おやつ」といえば、興味深いことがありました。またまたカーマイさんの犬舎でのエピソードです。
夏場の食欲減退期に合同お食事会をされていることは以前に書きましたが、それを始めたころ急に食が細くなり、おやつ(スキンシップを含む)をせがむようになった子があったそうです。それまでは、他の子たちとあまり違わない行動をしていたのに、それからはカーマインさんに執拗に甘えるようになったそうです。私が犬舎に訪れた時にその子を観察していると、ごはん時なのにちっとも食べないで、私たちの側でウロウロするばかりです。他の子たちが食べている器からカーマインさんが手で取り、その子の名前を呼ぶと、しっぽを飛んでいけるぐらいに振りながらかけてきます。そして、喉に詰まらせるのではと思うぐらいの勢いでバリバリ食べるのです。その状態は私がしても同じで、手であげなくなると食べないのです。べつに下位に位置する子でもなく、不思議な行動だなと思いながらもいずれ改善するかなと、思いつつ「食欲の秋」となってあまりその行動もめだたなくなりました。

最近になって、体重が増えすぎた子がゲージで特別食を食べるのを見て、またその子がごはんを食べなくなりゲージの外から羨ましそうに覗いているようになったそうです。今度もまた手でごはんをあげたのですが、あまり興味をしめさないようでした。そこで別にごはんを用意して、その子のゲージに置いて呼ぶと、それこそ矢のように入って食べ始めたのです。その子にとって、ごはんは飼い主が与えてくれる「おやつ」と同じ「ご褒美」で、他の子といっしよに食べることが嫌なのです。食欲のない時には、見ている間には嬉しそうに食べていますが、離れてかげから観察しているとシートに隠して、他の子が近寄ると毛を逆立て怒ります。その子は、他の子たちよりもはっきりした「プライベート・ゾーン」があり、飼い主が与えてくれるすべての「ご褒美」は自分だけでないと許せないようです。「ご褒美」の要求は仔犬の頃には顕著に出ます。仔犬が私たちの口へ飛びつき、舐めたり、あま咬みしたりするのは、母犬に何かをねだる行為と同じです。飼い主に対して、成犬になってからでも違う方法で「ご褒美」を要求します。それが普通の「おかし」であったり、「撫ぜ・撫ぜ」もそうですし、時には飼い主の側にいるだけでも、その子にとっては素晴らしい「おやつ」であり、「ご褒美」なのです。と、言いながも私は、嬉しそうな顔をしながら「おやつ」をあげてしまうのです(笑)

私たちの一分間は、ワンコたちにとっては4分から5分の貴重な時間が経過していくのです。命の蝋燭が短いワンコたちに、少しの幸せ(安心感・親近感)を与えてあげてください。愛犬が望むようにいつもいっしよにいたり、要求を満たすことは無理なことです。飼い主の帰りをひたすら待ち続けているワンコには、貴方が与えることしかないのです。与える喜びと、貰うことの嬉しさでお互いの絆が深まれば「おやつ」は最高の「癒し」になれると思います。貴方が家で用事をしている時、ふっとなにげない時に愛犬をふり返って見てください。そこには期待に胸をふくらまし、目をキラキラさせている「心に貴方しかない」愛犬が貴方を見ているはずです。「おやつ」を期待して・・・。


次回は、「喧嘩」の予定です。

ワンコの気持ちTOPへ