<精神安定と寿命の関係:しつけ教室のエピソードから> お散歩中も飼い主を引っ張り回し、相手かまわず吼えまくり、人間はもちろん他の犬や、物でも何でも咬み放題、そんな無法犬も実は本人が一番苦しいのです。えっ、嘘、あんなにやりたい放題なのに!?と思われるかもしれませんが、本当のことなんです。なぜかと言うと、散歩で飼い主を引っ張る犬は、「早くこい!大きいくせに愚図なやつだー」「あっちに行きたいのに重いヤツだぜー」と考えて、吼えまくる犬は、「誰だお前は、俺の縄張りにはいってくるな!」「ここではオレがボスなんだ、オレにまず挨拶しろ!」と怒り、咬みつき魔は、「見ろ俺さまの牙の威力を!言うことを聞かなかったら本気でいくぞ」「争いは本位じゃないが、オレっちの家族は弱いから守らなくては」と牙をむく、本人は責任感と使命感にあふれ、それはもう必死の行動だからです。たんなる勘違いなのですが・・・。そんな飼い主と愛犬との関係が進行するにつれて、「オレの食事はまだか!食後のおやつも忘れるなよ」などと、飼い主はただの奴隷にされてしまいます。あま咬みや飛びつきなど、可愛いしぐさにほだされ「○○ちゃんごはんですよ〜」と与えても、犬は「ちっ、またいつものやつかょー、これもうイャなんだ、ボスにはもっと良いものだせよ」「あれ、子分のお前たちの方が、良い匂いのもの食ってるな」「オレにもそれ食わせろ!早くしろー」と思っているのかもしれません。でも、飼い主は、「まあ!可愛い、ちんちんしちゃって、しかたないはね少しだけね」と、愛犬の本音もしらず与えてしまうのです。このように、飼い主が知らず知らずのうちに、日常生活のあらゆる場面でリーダーシップを放棄しているのです。飼い主の好意は、犬にとっては自分に対する服従と感じる場合もあるのです。 犬にとっての愛情あふれる環境は、飼い主とスムーズな服従関係が整った環境なのです。マンションが買えるほどの価格の室内ドッグランでもなく、食卓にある血もしたたたる神戸牛でもありません。家の外、家の中、それこそ24時間、群れの中で最強を叫ばなくてはならない環境は、気の休まる時の無い緊張の連続によるストレスでいっぱいなのです。人間も動物もストレスによって健康を害し短命になることは同じです。このことを愛犬のために考えてあげてください。本当の愛情とは、優しさ(あまさ)だけではなく厳しさも必要なのですから。野生の動物たちもリーダーは短命が多いと言われています。 カーマインでは、しつけ教室が月一で行われています。飼い主さんはいろいろな悩みをおもちですが、ご愛犬の様子を見てもおっしゃる状態が全く出ないワンコもいます。それこそ借りてきた猫のように。トレーナーはそのことを充分に理解されていますので、まず飼い主さんとのお話からはじめられます。その子の家庭での様子や、生活パターン、問題行動の出る場面、そして最も重要な飼い主さんとの関係です。 さて、なぜこの自動車会社の話を出したかと申しますと、名古屋の友人宅にいる超々自己主張犬&唯我独尊犬たちのようなワンコは、すでに飼い主の努力では矯正不可能だと思うからなのです。いまさら飼い主が頑張ってみても、「おっ、偉そうなことを言うじゃないか!」と、互い(とくにワンコ)のストレス(摩擦)があるだけで、他人(トレーナー)が行うほどの効果が期待出来ないからです。犬がどんなに拒否行動をしても、経験豊富なトレーナーさんは修正してくれます。それはみごとなぐらいに。でもこの仕上げには、とても重要な条件があります。最後にトレーナーさんと飼い主さんとの[引継ぎの儀式]です。それを行わないと100%と成りえないのです。服従訓練済みの犬でも、飼い主が各コマンドを正しく指示できなければ、「えっ、何言ってるの?」とワンコに見上げられるだけです。この儀式の大切さから可能な限り、お願いするトレーナーさんや訓練所さんは自宅の近くがお勧めです。ただ、この方法はあくまでも前記の会社のごとく最後の手段ですが。 |