<ワンコの退屈って。。。>

「な〜んも、することないや」と、ぼーっと、ゲージの外を見ている愛犬。それを同じく、ぼけーと、ながめる貴方。退屈レベルが最高に達した瞬間です(笑。 午後の昼下がりによくある風景ですよね!?

目的・使命・義務・約束。。。理由はいろいろありますが、何かを「したい」もしくは「させられる」または、「しなくてはいけない」など、頭脳・体力・気力を使い、その「何か」をしている時には感じない「退屈」。ワンコにも「退屈」はあるようです。外飼いの犬がただひたすら、通行人に吠えるとか、無心に地面を掘るなどは、行動意識を明確にもって行う行動です。でも、ハウスのなかで寝そべり、はてはゴロゴロしながら、空を見ながら「ぼーっと」している時には通行人が通ろうが、あれほど夢中に掘っていた未完成のトンネル工事にも興味をもたなくなります。これは、なぜでしょう!?
この不思議について人間(実際は不適当かもしれませんが・・・)との比較で考えてみましょう。

人間の場合、「退屈」と「脱力感」は紙一枚の垣根でしきられています。「退屈」な時にでも、本当はしたいことや、しなくてはならないことはあるはずです。でもなにかの原因でそれが「できない」「したくない」気分になることがあります。それが、暑いからだったり、何かよくないことがあって気分がのらなかったりして、なにもしたくなくなってしまうのです。精神的な「退屈」が慢性的に作用すると、「脱力感」から最後にはストレスによる精神的な障害(分裂気質・躁鬱)などの温床になる可能性もあります。さて、ワンコの場合はどうでしよう。

飼い主が大好きなおやつをくれたり、お散歩やタオルの引っ張り合いなどをしてくれている時には、キラキラ光る目をして、はしゃいでいますが、ゲージにひとりでいる時にはふせて、前足の上にアゴをのせ上目使いで貴方をみていませんか?
それは「面白くないナ、何かしてよ〜」と、無言の訴えポーズなんです。暴れたり、吠えたりすると叱れるので、しかたなくお行儀よく「不満」を表しているのです。これは我慢のポーズでもありますけど。。。

オモチャは飲んじゃったら危険だからダメ、トイレシーツやタオルも噛んだり食べるからダメ、可哀想に彼もしくは彼女のゲージの中には何にもないのです。そのうえ一昨日、ゲージの取っ手を「ガジガジ」してしまったので、飼い主さんが怒ってゲージの正面に柑橘系の薬を塗りました。ゲージの横と後は透明のアクリル板で内部から囲われています。ワンコは自分の下にあるプラスティックの板とアクリル板、出入り口には嫌いな酸っぱい匂いがたちこめて、監禁状態の圧迫感のなか耐えておりました。ついさっき、ちょっとした出来心で、プラスティックの板を前足で「ガリガリ」したので、今日からは居心地の悪いスノコの上での生活になりそうです。これで完璧だーと、飼い主さんは満足げです。

ちょっと待ってください!ストップです!。。。なぜ、ストップなのか貴方も考えてください。朝・夕に充分に長時間散歩ができたり、室内を翔け回れる一部の「幸せなワンコ」以外は、一生のうち大部分の時間を囲まれたサークルや、ゲージのなかで過ごすのです。その彼らにとって重要な空間が、サハラ砂漠のような場所だったら。。。貴方だったらどうでしょう!?家の中には何にも無くて、全面タイル張りの一見綺麗ではあるが、生活臭の無い空間にリラックスして快適に住むことができるでしょうか?耐え切れなくなった貴方は、ネオンの街や郊外の風景を思い出し、そこへ出かけてしまうはずです。

でもワンコには、そこが嫌いであっても、貴方のように「逃避」することはできないのです。ひたすらご主人の言いつけを守り、そこで我慢することしかないのです。こんな生活、貴方は満足できますか?私はダメです。

お留守番がおりこうにできるワンコは、ある意味、留守でもワンコを退屈させないしつけができる、おりこうな飼い主さんのところの犬ということになります。でしょう!? そう思われませんか?

前記のごとく、退屈と脱力感は遠くて近い親戚です。退屈が脱力感になり、はては無気力なワンコにしないためにも、「遊び」と「我慢」のメリハリの効いた訓練をしてあげてください。ゲージで暴れるから、すべてを取り上げるのではなくて、ケージのなかで満足できるようにすることが大切です。家庭犬の訓練には、エリア意識を明確にさせて、家族の生活リズムを充分に理解させなくてはいけません。たとえば食事タイムはゲージにとか、就寝一時間前にはゲージに入る習慣をつけることをお奨めします。ワンコもそのルールを理解すれば、素直にケージに入っていくようになります。

退屈を感じさせない空間造りが、このしつけの第一歩です。おやつや、オモチャなど、その子が大好きなものを、まずはゲージの中にいるときにだけ与えるようにします。これは「ハウスをさせる」ことだけに限りません。しつけ全般に言えることです。目的と使命感をはっきりさせて、「。。。すること」が喜びと感じさせてやるのです。ですから、しつけの基本である「嬉と罰」の割り振りを決して、間違ってはいけません。ノーリードの散歩は絶対に推奨しませんが、愛犬たちもたいていは家庭内ではノーリードでしょう。その自由にしている家庭内で、このリードも家庭内ではよい「罰」になります。でも、これも関連づけを間違えば、お散歩嫌いのワンコにもなってしまうのです。してはいけないことをしたら体罰ではなくて、リードでエリアを制限してしまうのです(但し、短時間です。ですからけっして、「いけないこと=ゲージ」はダメです。関連付けがワンコに混乱をあたえてしまうことになります。それと同意で、リードも室内で習慣化してしまうと、「お散歩嫌い」や、ノーリードの時はおとなしく歩くのに、リードをつけると暴れたり、嫌がったりして、正常な歩行をしない子になってしまうこともあります。

「飽きる」から、「退屈」にもなります。貴方もどんな素敵な料理でも毎日同じでは。。。でしょう!? それと同じで、「いつも同じ」はいずれ「飽きる」ことになります。ワンコの喜びは、貴方の笑顔と、いろいろな匂いなのです。お散歩の重要性には、健康のための「歩行」と、精神安定のための「嗅ぐ」という意味があります。いろいろな匂いに刺激されたワンコは、それを楽しみ、そして学習していくのです。これはすごく大切なことです。

トイレシーッを破くことが、「マイブーム」になったワンコからシーツを取り上げても、いずれまた入れれば破きます。「破く」と、こんな面白くない結果が待っているとか、トイレシーッより、「こっちが、セブレだわん」と理解させることがベストです。時々、ゲージにおとなしくしている愛犬に、「こんにちは〜」なんて頭を突っ込んじゃう飼い主さんがいますが、これは止めましょうね。

「ケージは自分のお城」と思っているのに、いきなりご主人さまが侵入してくると、これまたワンコが誤解しちゃうから。。。

ワンコは本来、自分の巣の中では排泄はしません(個体差はありますが。ですから、トイレシーッを破くことを止めさせるには、ケージもしくはサークルの中に、シーツを入れないこともひとつの習慣化の方法です。トイレは「巣」の外にある決められた場所のシーッの上でするように訓練してはどうでしよう。巣の中には、市販されている洗濯できるシーツ(厚くて丈夫です)などを敷き、我慢できなかった場合の対処に備えます。朝と夕に、巣から出て排泄する習慣が付けばバッチリですが。。。

「朝=ゲージから出た=ボスの笑顔=ウンチョ=めちゃ好きおやつ」とか、「まだ散歩行かないのかな〜あっ、ぼくウンチョ出そう」「えらいね〜ハイ、おやつ。さあ、お散歩」、「おおおっ、ご主人さまはウンチョが大好きなんだ〜、もっとはやく言ってよ!」と若干の誤解はあるかもしれません(笑)が、忍耐強く「お外でトイレ」を理解させ、「トイレシーツ=オモチャ」ではないことを教えてあげてください。きれい好きのワンコが多いはずですから。。。

「退屈」からおこる「問題行動」は避けなければなりません。貴方が退屈すれば愛犬も退屈します。いい習慣をつけさせることが後々にいい結果をもたらします。愛犬に判断力を求めないで下さい。「私がこうして欲しいのに。。。」は、愛犬には無理なのです。彼らは、一部の特異固体を除き、判断力ではなく記憶からの習慣と、本能で行動する動物なのです。このことは絶対に忘れず接してあげてくださいね。すべてのワンコからの御願いですから。。。


次回は、<ワンコの帰巣本能について>の予定です。

ワンコの気持ちTOPへ