「咬む・噛む・カム・・・こと」

犬たちと接する時に必ず問題のひとつとなることが「咬む」ことです。「あまがみ」なのか威嚇行動
のための行為なのかは別にして、私たち人間は時としてとまどうことの多い行為です。
生まれたばかりの仔犬たちは母犬の乳房を、全身のまだ幼い感覚器官をフルに活用して探しますが、
仔犬の個体差もあって目的の場所にたどり着けない子もいます。母犬や人間の介助によって成長して
くると、おっぱい競争に負けた子は兄弟を身体で押しのけたり、ついには咬んだりして目的を達成し
ようとします。もって生まれた性格によっては、たとえ兄弟に「横は入り」されてもピィピィ啼くだ
けの子もいますが、反撃して幼いながらもバトルになることもあります。これが「初咬み」なのか、
「初喧嘩」なのかはわかりませんが、いちどこの事を覚えた子は何度でもこの行為をするようになる
ようです。「吼える」のコーナーにも書かせて頂いた、犬の本能である「上位意識」の芽生えではと
思っております。それからは、自分の足などを咬みその感覚と「威力?」を覚えていくようです。
そうするうちに歯がはえる違和感によっても、何かを咬みたいという欲求が出ていきて、そうなると
ご存知のごとく後は手あたりしだいです。天使の顔をもった悪魔の子になって、その対象物と惨状は
想像を絶するものがあります。調教の良く入るラブラドール(私の愛犬)でも、幼犬時代は破壊魔王
で、油断をするととんでもない事になっていました。

<成長のための・・・>

私たち人間の場合には、当初は犬よりも無防備な時期が長く、授乳時も母親の献身的な介護を必要と
しますが、犬は生まれてまもなくでも頭を前後に動かし、前足で押して乳房を刺激し母乳を飲むこと
が出来ます。でも犬の場合には、足への大脳からの意思伝達がここで鈍り、逆に人間は「手」を使う
ことを本能的に覚えていきます。そして犬は「口」を使うことを覚えていきます。食べ物を裂くため
に「犬歯」、骨に付いた肉を切るために「前歯」、軟骨を砕くために「奥歯」を使い、血や水をすする
ために舌を上手に動かすことを覚えていきます。これは種としての本能なのです。家庭犬の場合には
獲物が「スリッパ」や「カーペット」であったり、ママの大切な「バッグ」であったりするだけなの
です。破壊されて困る物は置かない事、食べてはいけない物を置かない事は人間の子供にするのとま
ったく同じ事なのです。この事を良く理解してあげてください。 離乳期になると母犬は仔犬に乳を
やることを極端に嫌がります。恐ろしい声を出し、牙をむいて仔犬にアピールします。離乳食がたらぬ
場合には、母犬は吐きもどしたものを仔犬に食べさせたりもします。家庭犬であっても本能のまま
にそんなこともすることがあります。その時に兄弟でじゃれて咬みあい、不快な時には牙をむいて他
を威嚇することも覚えます。ですから仔犬のために、離乳期から母犬が仔犬に対して興味を失う期間
までは母子を離すことはしない方が良いと思われます。この時期が犬として社会性を学ぶ大切な成長
期ですから、ブリーダーは離すタイミングを慎重にはかる必要があります。

◆メールでのお問合せの多いテーマにしぼってこれからも掲示させて頂こうと思います。
◆次回は、「噛むことを回避するには?」を書く予定です。


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