トピックス117号 04/08/05発行

「逃避の代償」を払う日が刻一刻と迫っている

「預金封鎖」「新円切り替え」「ハイパーインフレ」といったタイトルの本が書店に並び、 やたらと売れているという。
いずれも放漫な財政と経済に、高齢化、空洞化など日本経済の衰退が重なり、数年後に国家破産に見舞われるというものだ。
その結果として、インフレ、預金封鎖、新円切り替え、それに財産税の導入が警告されている。
今更の感もあるが、また煽り立てている割には具体的財産防衛策は皆無である。
それはさておき、自分の財産の合理的な分散や資産防衛となると、家族の説得はかかせない。
女性には申し訳ないが、マクロ経済の仕組みがわかっていない人が男性に比べて多いようだ。
わかろうとしない人までいる。
その態度を分析すると、ほとんど横並びの安心感に安住し、自己責任と自立性の放棄である。
具体的に言えば、「株は悪いやつが儲けているので、素人の投資家は食い物にされ、絶対損をするに決まっている」 「郵便局やメガバンクは絶対に潰れないので、両方に預金をしておけば絶対安全よ」 「日本は豊かな国だから、老後は国が面倒みるのは当たり前」といった「女性常識的」な議論でしかない。
上の3つの考え方は、全く愚かでナンセンスだが、世の中の主婦の大多数がこの考え方で平然としている。
だから、破綻寸前の日本がいままで先送りで脳死状態を保っていられるわけだ。

しかし、今までなんとか来ているが、明日は全く分からないわけであるが、 はっきりしているのは国家破産の確率だけは高くなる一方だ。
それと先送りするほど、国家破産からの立ち直りに時間を要するだけだ。
恐らく立ち直りまで30年は要すると見られている。
筆者が我が家でマクロ経済論を論じると「狂人」と断定される。
それは、家の外で、社会で、私が作っている価値なり、思想を全否定するものである。
やるせないが、それで離婚して家族がばらばらになることも出来ない。
従って、冷静になりつつも粘り強い説得をやっているところである。
こうした状況はかなりの方が経験しておられることであろう。
自分が努力して合理的に生きても、会社や国家が愚かで怠慢なら貴方が結局は一緒に沈没するのと同じで、 自分だけ目覚めても自分の価値なり資産を実際に動かせ、操る環境を作らないと、結局は愚か者と同類の世界に甘んじてしまう。
株は企業が発行するもので、個々の企業は潰れることがあるが、ほとんどの企業が同時に潰れることは絶対にない。
いくら日経平均株価が低くなっても、優秀な業績、株価、配当を維持している企業は沢山ある。
しかも、業績堅調企業の多くは国際展開しており、売上高、利益の多くを海外で上げている。
こうした優良企業の株主の多くは外国人である。
日本の優良株の大半は今となっては外国人投資家や個人、海外企業が握っている。
日本株を買いあさっている外国人が日本国債を買わないのは、どうしてだろうか。
格付がボツワナ以下で暴落は避けられず、長期に保有していると踏み倒されると思っているからである。
この日本国債を発行している「会社」は、日本国である。
郵便貯金は郵政公社を経て民営化の方向だそうだが、これは日本国の直営事業から子会社の事業に名義上移るにすぎない。
危ない「会社」が発行する日本国債という借金の証文を半ば押し売りしているのが、メガバンクなどの市中銀行である。
株は騙しの商品で、郵便貯金や銀行預金は国家保証があるなしに関わらず絶対安心の無リスク資産なのか。
一般の主婦やOLとの議論はこのあたりでこちらの勝ちとなりそうなのだが、そうは問屋が卸さないことも多い。
一方的に「じゃあ、どうするの?」と議論をすり替えてくる。
逆ギレしたように「じゃあ、絶対損しない、絶対儲かる株をいくらいつ買っていつ売るかすぐ言ってよ。 絶対儲かるんでしょう」と反論してくるケースも想定される。
ここで「上場企業はリストラも終え、当面は十分利益を確保できる企業が多い。 配当だけでも、その水準は銀行預金を上回り、売買益を考えなくても合理的な金融商品である」 などと説明したいところだが、ほとんどの場合こうした説明は逆効果だ。
「ほら、一般論にすり替えて逃げた。株もろくにやったことがないダメ男に何がわかるの。儲かる銘柄言えないじゃない。 話にならないわ」と言いこめられるのがオチである。
やけにリアリティのある話のように聞こえるだろうが、今後こうした局面は多くの家庭で避けて通れない議論である。 主婦を中心としたこうした姿勢は「平凡」に最高の価値観を置く主婦の横並び意識に帰結する。
先の当家の愚かな主婦のようなケースでも、「預金や貯金が絶対安心ではない」という一定の合理性を受け入れるまで、最近は変化している。
しかし、解約や資産分散を許さない彼女の動機は、「だってみんな銀行や郵便局に預けているでしょう。 だから、もし潰れたってみんな損するわけだからそれで仕方ないわ」という本音が出る。
この考え方は、筆者が最も許せない思考回路である。
しかし、多くの主婦どころか亭主もこうしたマインドには同調的である。
だから、些細な夫婦喧嘩や家庭内暴力はあっても、国家破産をテーマにしたマクロ的な口論が原因となった尊属殺人は絶対に起きない。
しかし、これは本当に平和なことなのであろうか。
みな同じだから仕方がない、という態度は国や役人には全くありがたいことである。
これで玉砕もできれば、一億総懺悔も出来てしまう。
どうしてみんな一緒に負け組みに転落するのか。
どうしておててつないで仲良く沈没する道を安易に選ぶのか。
どうして自分の力で自分が生き残ろうとしないのか。
発想を切り替えないのか。

筆者には全くわからない。
いい加減目を覚ましてほしい。
最後にこれだけはわかってほしい。
いつの世も食い物になるのは中産階級である。
前の戦争もそうだった。
役人や金持ちは個別交渉で、舞台裏では新円切替や預金封鎖を逃れていた。
軍関係者も敗戦したのに、それまでの軍事債務を忠実に払おうとした。
この点は最近出版された「元日銀マンが教える預金封鎖」(PHP)に記されている。
これを書いたのは、極めて有能な日銀の元広報マンの本吉正雄氏だ。
お札を刷っている日本銀行の元スポークスマンがこんな本を出してベストセラーになる凄い時代がやってきた。
横並び思考の日本人がいよいよこれまで逃げてきた「逃避の代償」のツケを払う日が刻一刻と迫ってきているのだ。
上記は浅井情報ネットワークのレポート記事(ハイパーインフレサバイバル読本の著者 立木 信氏 執筆記事)より掲載。


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