トピックス120号 04/10/23発行

もはや不動産はインフレに強い希少財ではない

ハイパーインフレが遅くとも2015年頃には起きるであろうが、 その時でも”クズ土地”は思うようには値上がりしない。
買ってもそこから収益事業が展開しにくい土地、利用価値が低くその上細分化された 日本特有の狭い土地、一定の広さを持った東京都心の優良地以外は、クズ物件と言える。
物価上昇の平均よりも値上がり率は低いのは確実だから、クズ土地は実質的に「値下がりする」 ともいえる。
今、現実に進んでいる経済事象は、多くがクズ土地には逆風だ。
経済の空洞化、農業の輸入自由化と過保護の見直し、世帯のシングル化、若者の晩婚化と非婚化、 超高齢化、超少子化、所得バブルの崩壊などはすべて地価を下げる要因となる。
インフレに備えて、超一等地以外の土地を買う人々は、「時代のパラダイムの変化が読めない」 というレッテルが貼られかねない時代がやってきつつある。
土地問題にも詳しい大前研一氏は「不動産は資産にならない。日本全国で土地は余り まくっている。今後廃工場などの工業用地や農業用地が住宅に転用されるようになれば、 日本の土地の値段は永遠に下がり続ける。」と述べている。
また、全国的に住宅は余りまくっている時代で、東京都中央区ではなんと4軒に一軒が空家、 上場企業は毎年約2兆円もの土地を売却し、土地を買おうとしているのはもはや中小企業と個人だけであると大前研一氏はいう。
クズ土地に対する見方は専門家共通のようだ。
深刻なのは所得バブルの崩壊だ。
過剰感の強い日本のホワイトカラーの賃金は、まだ十分に下がっていない。
だから、今は高値の住宅を買い込む余裕があると言える。
しかし、インフレで物価が2倍になってもそれに応じて皆の賃金が一律に上昇することなんてあり得ない。
給与において「勝ち組」「負け組」の差は大きく開き、より明確になる。
優れた分析で有名な幸田昌利氏によると、千葉の木更津では、市街地の一部の地価は ピーク時からみると約20分の1の水準にまで急落している。
仮に物価が20倍になったとしても、決してピークの地価には回復しない。
「ピーク時からいくらになったから買おう」という発想では、ハイパーインフレ時代 では負け組となる。
過去の価格は参考にならない。
人口増加が著しく、特に大都市圏の土地の需要が強く、土地に対する飢餓感が絶えず 我々の頭の中にあり続けてきた時代は終わったのだ。
幸田氏が言うように不動産を購入する際に頼り勝ちな不動産売買の専門家と言われる 人々は、物件内容はよく知っているが、不動産市場がマクロ経済の中でどんな役割を担っているかを判断できる人は意外と少ないという点も用心すべき。
不動産は、巨額な財への売買経験の少ないサラリーマンの判断力を超えた魔力のようなものを持っている。
一時的な気持ちの高ぶりで取り返しのつかないクズ土地をつかまされ、巨額の負債を背負い込む人は数多い。
そして、インフレの時代がくると、そうした人は急増する。
値上がりする優良物件の値段を見て自分が買うクズ土地も急騰すると思い込み、買い急いでしまうわけだ。
急いで買うそんなクズ物件は、後悔したところで換金できない。
しかし、インフレ時代は金利が高騰してしまうので、クズ土地を借金でつかんだ貴方はパニックになる。
住宅地はまだまだ商業地に比べると下落幅が圧倒的に小さく、バブルの精算は先送りされている。
これから起こる日本型のインフレの特徴は「モノ余り」が深刻になるということである。
構造的な土地余り時代になってくるのだ。
あくまで供給は過剰なのである。
インフレがきても供給過剰は止まらないだろう。(これが大きな特徴であり致命的な打撃を蒙る)
利用価値がなく収益を生まない不動産は、価値がゼロもしくはマイナスの資産のままだ。 固定資産税のように不動産に対する課税は、実需がどうであろうとお役人が生きていくため、 公的な地価で評価される部分がある。そういう意味でクズ土地もハイパーインフレによって、課税評価額は上がる(固定資産税は上がる)。
日本人の持ち家指向がいかに強いといっても、すでに600万戸近くの空家がある現実は重い。
新規の住宅供給が大都市圏を中心に続いているため、いまだに空家数は急増している。
それなのに大量供給が止まらず、今後の一段の需給緩和は避けられないだろう。
少子化によって、人口がやがて減少過程に入る。
もはや、クズ土地・不動産はインフレに強い希少財ではないのである。
最近、ちょっとした別荘ブームのようであるが、別荘云々は個人的価値観が大きく左右する もので第三者がとやかく言うものではないと思う(長年の夢の実現、奥さんへの長年の迷惑料の精算、その他各家庭其々事情の違いがあるであろうから理屈通りにはいかないかもしれない)が・・・・
しかし、2010年頃から起こるであろう国家破産、ハイパーインフレ対応策だけは確保して アクションプランなり人生設計をしてもらいたいものだ。
別荘は利用することに価値を見出すもので、所有することに価値があるのではないと思う。
例えば定期借地権付で土地を確保して最小費用で最大効果を狙うのも一方法であろう。
いずれにしろ2010年頃には別荘地の大半が限りなくゼロに近づいているであろう。
その時に円以外(円は紙くず同然になっているであろうから)の外貨を持っていれば、定期借地権付土地が欲しければただ同然で買い戻せる。

上記は浅井情報ネットワークに掲載の立木 信氏(ハイパーインフレサバイバル読本の著者) のレポートより抜粋しています。


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