TOPICS CORNER 製作担当 河井 継之介

トピックス132号 05/05/07発行

若林氏の為替動向諸々NO.1

2005年の為替はどうなるか予測してみよう。
2005年3月〜5月までの間にドル/円は110円を抜けていくだろうと考えている。
少なくとも107円、108円を上に抜けないようだと、私の見通しが間違っていることになる。 (講演時は2005年3月18日時点1ドル=104円台)
ただその後一辺倒に円安になるかというと、そうは考えていない。
2005年も2004年同様に為替が動かないつまらない年になりそうだが、105円〜120円位の動きに落ち着くと見られる。
115円〜120円に一つ上値の抵抗線があるため、そこに近づいた時、反転する、つまり「ドル安円高」になることが考えられる。
2004年2月FRB総裁のグリーンスパン氏が日本をこう評した。
「1年に9%ずつ政府債務が増えている、国債をどんどん発行している。その国の借金証書を1%台で買う(金利が1%台)。 これは一体どういうことだ」と。
自分の貯蓄を自分の国に投資することを「ホームバイヤーズ」というが、 日本人のホームバイヤーズが強すぎるということをグリーンスパン氏は指摘し、 「だから必要以上に円高になっている」と言葉を続けたのだ。
逆を言えば、「外国のもっと安全で有利な商品に日本人が注目すれば、潰れそうな国の債券を買う理由はない。 これによって日本人のホームバイヤーズが減ってくれば、もっと円安になる」ということだ。
日本人は太古以来、お金が貯まったことがない民族なのだ。
昔からずっと一般大衆は貧乏で、江戸時代を見ても毎日食べるものに精一杯であった。
その反面、一部の特殊な人だけはお金を持っていた。
つまり、歴史的に富を貯蓄したことがない国なのだ。
富を蓄積したのは、ここ20〜30年のことで、 そのためこの蓄積した富をどういう風に活用するかについてのノウハウを、 個人でも、企業でも、政府でも、まったく持っていない。
だから、1.5%の国債を買って、「これはお国のものだから、しかも円だから安心だ」と言っている。
なんとも可哀想というかオメデタイというか気の毒な国民性である。
倒産間じかの会社の株券を後生大事に持っているのと同じだ。
日本の政府は、本来もっと高い金利を払わなくてはいけないにも関わらず、 この程度の低い金利で巨額な財政赤字のファイナンスをうまくかわしている。
しかし、このようなことが長続きするとは思ってはいけない。
現在、日本は国家、地方公共自治体その他諸々を合わせると1000兆円近い債務を抱えている。
少し前まで小泉首相は、「2010年までにプライマリーバランスの黒字化を達成する」と言っていた。
国債の発行と国債の金利払いを除いて、税金による収入と国の歳出を合わせる、 つまり2010年までには赤字を出さないようにすると言っていた。
しかし、現状は莫大な赤字を毎年積み上げている。
最近、2010年までは到底無理だということで、財務省の努力目標が2012年まで延長された。
これも不可能だろうが、まずこのように赤字をなくすのが最初だ。
この膨大な借金を返済するには、 通常言われているようにまず国の所得である名目GDPの成長率(所得が増える速度) が長期金利(国債という借金の増える速度)よりも大きくならないと債務が減っていかない。
いまはこの名目GDPの成長率は全く増えていない。
名目GDPというのは、日々物を売ったり買ったり、給料をもらったりした等の日本国全ての所得である。
注意するべき点はこの名目GDPは10年前から500兆円のまま、ずっと変わっていないということだ。
しかし、借金を減らそうとすると、日本の政府は名目GDPを増やそうとする。
これを増やすには何をするか。
これが「インフレを高める」という方法だ。
インフレを高めれば名目GDPはどんどん大きくなる
その代わり、物価が上がるので、国民は同じ所得を得られたとしても、実質的には所得や貯蓄は減ってしまう。
されど、政府は将来インフレという選択肢をとらざるをえないだろう。
また、今はまだデフレ圧力が強く、インフレにしようと思ってもなかなか出来ないが、 本当に民間の景気が回復し始めると、とたんにインフレへの圧力が高まってくることになる。
インフレの圧力が高まったらどうなるか?
インフレになって金利が上がると財務省が困る。
金利が上がると安い金利で赤字をファイナンスできない。
つまり国債を低金利で発行できない。
そのため金利をなんとか押さえようと政府は動いてくる。
すると、「国際経済学の不整合な三角形」で証明されているように、円安を引き起こすことになる。
即ち、「資本移動」「金融政策」「為替政策」が構成する三角形。 この三つを同時に満足させるようなことは絶対できない。 まず「資本移動」を止めることは現状の日本においては鎖国すると言うことなので、それは出来ない。
すると、「為替政策(為替の安定)」と「金融政策(金利の安定)」を同時に行うことは出来ないということになる。
即ち、インフレによって、金利が上がろうとするのを無理に押さえ込むと、為替が暴れてくるわけだ。
本来はもっと高い金利にしなければいけないのに、低金利のままにすれば、 もっと高い金利の国に向かってお金が向かい為替レートが暴れ始める。
そのために、円安が起こってくる。
このような日本の財状事情に近い状態に陥り、見事立ち直った国がある。
それがアメリカだ。
アメリカは第二次世界大戦時、国債を莫大に発行して戦費を賄った。
その結果、GDP対比160%もの大借金(日本の現状よりかは良いが)が残った。
アメリカは@収入の増加とA4倍のインフレで、35年後の1980年にはGDP対比30%まで減らすことが出来た。
日本は少子化に向かっているので、日本の所得を増やすことは期待できない。
勿論、500兆円というGDPは10年間変化していない。
そうすると、日本は今後のインフレが35年間で4倍程度ではすまされない
双子の赤字を理由に1ドル=40円だ、30円だと騒いでいる人がいるが、どうみてもあり得ない。
ひいき目にみてアメリカと同じ程度の収入の増加を成し遂げたとしても、これから35年後には、 インフレが4倍のため1ドル=400円。
しかし、日本はアメリカの好条件(第二次世界大戦後のベビーブームで7800万人の人口増) を備えていないわけだから1ドル=1000円や2000円には軽くなると考えている。
それには35年、40年の時間かかるかもしれないが、大きな流れは円安の方向に向かっていると言える。
これが私が円を「世界最弱の通貨」と言っている理由だ。
 上記は浅井情報ネットワークのレポート記事(若林栄四氏の講演)より掲載。
若林栄四氏の講演は日本ではなかなか聴くことができません。
興味のある方は講演内容を収録したCDが発売されていますので、購入されたら宜しいかと思います。
申し込み先は(株)第二海援隊 電話は03-3291-6106で料金8,000円です。
若林栄四氏は為替相場の世界で40年戦ってきておられ、ニューヨーク在住24年、もはやアメリカ人の感性で物事を見られています。


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