TOPICS CORNER 製作担当 河井 継之介

トピックス150号 08/2/27発行

海外ファンドと税金2008年版No.1・保存版
   
2007年9月30日に施行された「金融商品取引法」は、情報開示と投資家保護を目的とした 法律であった「証券取引法」に「金融先物取引法」など投資商品に関する法律を統合し、名称を変更したもの。
これに伴い、「投資信託及び投資法人に関する法律」「租税特別措置法」など様々な法律の改正が行われた。
改正後の外国の投資信託や投資法人についての法律は「投資信託及び投資法人に関する法律」の第2条の22項と23項に みることができた。
投資信託及び投資法人に関する法律第2条[定義]
22項

この法律において「外国投資信託」とは、外国において外国の法令に基づいて設定された信託で、投資信託に類するものをいう。
投資信託及び投資法人に関する法律第2条[定義]
23項

この法律において、「外国投資法人」とは、外国の法令に準拠して設立された法人たる社団又は権利能力のない社団で、 投資証券又は投資法人債券に類する証券を発行するものをいう。
これまで海外ファンドの目論見書を確認し、多くが「会社型投資信託」と考えてきたけど、このたび大きな改正があったので、 外国籍投信の法務に精通している弁護士さんに見解をお願いしました。
従来の確認では、「ADP」がアイルランドの法令に準拠して設立されており、投資家は「ADP」という会社の株主になることです。
この度、弁護士さんが目論見書の原文を確認し、「ADP」が「会社型投資信託」であるという回答をえました。
厳密には、上記の23項にある「外国投資法人」の投資証券に該当するということです。
「外国投資法人」と「会社型投資信託」という二つの言葉が出てきましたが、 「外国投資法人」は「法人」という名の通り、会社という形をとっています。
「会社型投資信託」を法律用語の定義で呼んだ名前が「外国投資法人」の投資証券であるということです。
つまり、従来と同じ見解で良いということです。
「外国投資法人」の投資証券は「租税特別措置法」第37条の10第2項の「株式等」に該当することとなるとの回答を弁護士さんからもらいました。
つまり、「ADP」は「株式等」に該当するということです。
租税特別措置法第37条の10[株式等に係る譲渡所得等の課税の特例]
2項

前項に規定する株式等とは、次に掲げるもの(外国法人に係るものを含む[中略])をいう。
一 株式(株主又は投資主(投資信託及び投資法人に関する法律第2条第16項に規定する投資主をいう。)となる権利[後略])
[中略]
五 公社債投資信託以外の証券投資信託の受益権[後略]
「株式等」に該当する場合、その売却益は他の稼ぎと分離して20%(所得税15%、住民税5%)が課せられます
海外ファンドにとっては、「ADP」のように「会社型」の「投資法人」ではなく、「投資信託」の形をとっているものもあります。
前述した「投資信託及び投資法人に関する法律」第2条の22項に該当するタイプです。
信託タイプについては以下の条項を参照ください。
投資信託及び投資法人に関する法律第2条[定義]
3項

この法律において「投資信託」とは、委託者指図型投資信託及び委託者非指図型投資信託をいう。
投資信託及び投資法人に関する法律第2条[定義]
4項

この法律において「証券投資信託」とは、委託者指図型投資信託のうち主として 有価証券に対する投資として運用することを目的とするものであって、政令で定めるものをいう。
投資信託及び投資法人に関する法律施行令第6条[証券投資信託の範囲]
法第2条第4項に規定する政令で定める委託者指図型投資信託は、 投資信託財産の総額の2分の1を超える額を有価証券に対する投資として運用すること (有価証券についての有価証券関連デリバティブ取引を行うことを含む。)を目的とする委託者指図型投資信託とする。
金融商品取引法第2条[定義]
1項

この法律において「有価証券」とは、次に掲げるものをいう。
一 国債証券
  [中略]
九 株券又は新株予約権証券
十 投資信託及び投資法人に関する法律に規定する投資信託又は外国投資信託の受益証券
十一 投資信託及び投資法人に関する法律に規定する投資証券若しくは投資法人債券又は外国投資証券
  [中略]
十七 外国又は外国の者の発行する証券又は証書で第1号から第9号まで又は第12号から前号までに掲げる証券又は証書の性質を有するもの
  [中略]
十九 [オプション取引に係る]証券又は証書
「外国投資信託」で、2分の1を超える額を金融商品取引法に定義された有価証券(「有価証券関連デリバティブ取引」を含む)に 投資している場合は「証券投資信託」と認められます。 (「有価証券関連デリバティブ取引」が法的にどのように定められているかは「AIMF-S」のところで記述)
「証券投資信託」であれば、租税特別措置法第37条の10第2項の五に該当。その売却益は他の所得と分離して20%(所得税15%、住民税5%)が課せられます
なお、海外ファンドが「株式等」か「証券投資信託」か、「公社債」かの判断を間違わないように。
弁護士さんによると、大切なのは実態をよくみて判断することだそうです。
ロシア東欧の現物株に投資する「イースタン・ヨーロピアン・ファンド」の仕組みについて、目論見書を確認しました。
「イースタン・ヨーロピアン・ファンドの法的な仕組みについては、目論見書の15ページに掲載の「Rules and Regulations of the East Capital Eastern Europian Fund Approved by the Swedish Financial Supervisory Authority (イーストキャピタル・イースタン・ヨーロピアン・ファンドの規則〜スウェーデン金融監督庁当局より承認〜)」を確認しました。
和訳すると、
1 ファンドの法的解釈
ファンドの名称はイーストキャピタル・イースタン・ヨーロピアン・ファンドである。ファンドは投資信託法令(スウェーデン法令集2004:46)に準拠した投資信託である。 同法に加え、ファンドはイーストキャピタル・アセットマネージメントABの規約や約款、その他の法律や条約に基づいて発効された指令に準拠して運営される。
ファンドの資産は投資家によって共有される。投資家は資産を一口あたり平等に分割した権利を保有する。次項に従って、ファンドマネジャーはファンドに関する事項について投資家を代表し、ファンドの資産に係る判断を行い、ファンドに関する権限を行使する。
5 ファンドの投資の焦点
ファンドの運用
以下の制限を受けて、ファンドは有価証券あるいは短期金融市場受益証券、投資信託受益証券、資金供給機関の口座内に投資することができる。
主たる投資対象
ファンドの資産は株式関連証券と投資信託受益証券(以下「金融商品」という)に投資することができる。
ファンドの投資は東欧経済との結びつきに焦点を当てており、アルバニア、アルメニア、オーストリア、アゼルバイジャン、ベラルーン、ボスニア、 ヘルツェゴビナ、ブルガリア、クロアチア、キプロス、チェコ共和国、エストニア、グルジア、ギリシャ、ハンガリー、カザフスタン、キルギスタン、 ラトビア、リトアニア、マケドニア、モルドバ、モンテネグロ、ポーランド、ルーマニア、ロシア、セルビア、スロバキア、スロベニア、タジキスタン、 トルコ、トルクメニスタン、ウズベキスタン、ウクライナに拠点を置く発行主の金融商品に投資することができる(東欧への直接投資)。
[中略]金融商品はファンドの資産の75%以上を占める。
このファンドはまぎれもなく「外国において外国の法令に基づいて設定された信託」であり、かつ投資対象が「株式関連証券と投資信託受益証券」 であることから、「イースタン・ヨーロピアン・ファンド」は「証券投資信託」に該当する。
また、「イースタン・ヨーロピアン・ファンド」の目論見書によるとファンドの方針として分配金をはらいだすこともあるそうです。
ただし、これまでに分配金が支払われた事実はないそうです。
12 分配金
ファンドはファンドマネジャーの判断で、分配金を支払う。その目的は、ファンドの収益にかかる税金を、 投資口の保有者に移すことで二重課税されることを避けるためである。
適切である時、ファンドの課税対象となる収益に基づいた金額が分配される。分配金は6月に支払われる。 適切な法律に準拠して源泉徴収される。
源泉徴収された後、分配金は投資口の保有者のために再投資される。つまり、投資口の保有者は現金を受け取ることはない。
分配金はファンドマネジャーが定める期日の時点で投資口の保有者として登録されている者のみに支払われる。
ノルディック証券取引所に上場していることが確認されました。
つまり、イースタン・ヨーロピアン・ファンドは「投資信託」で、上場しています。
2007年7月に運用開始した「豪ドル建てADP」の目論見書を確認しました。
「PROSPECTUS(目論見書)」の10ページに外国投資法人であると読み取れる記述があります。
つまり、豪ドル建てADPは「株式等」に該当します。
法人設立
会社は2006年10月16日にクック島にて国際企業として、クック島の国際会社法1981-82に準拠して法人化した。
2006年10月30日にオーストラリアにて会社法2001(Cth)に準拠した外国企業として登録した。
また目論見書の20ページには以下の記述があります。
分配金についての方針
この目論見書発行時点での取締役の意思としては、株に係る分配金を出さず、かつ、株主に対して投資期間中にいかなる配当も出さない。
なお、目論見書内にファンドの上場に関する記述を探しましたが、みつかりません。
マン・オーストラリア社のアジア太平洋地域の販売責任者の話では、現在上場していないし、将来もする予定はないそうです。
2007年8月より情報提供を開始した「ウォリアーU」
目論見書である「OFFERING MEMORANDUM THAMES RIVER ALTERNATIVE STRATEGIES LIMITED (テムズ・リバー・オルタナティブ・ストラテジーズ・リミテッド募集要項)」の11ページを確認しました。
それによると、「ウォリアーU」は「株式等」に該当
上場については、目論見書の35ページに「すべての該当する個別ファンドの基準価格が計算されたら、ただちにチャネルアイランド証券取引所に報告する」 とあります。
確かにチャネルアイランド証券取引所のホームページを探したら、「ウォリアーU」が上場している様子が確認されました。
「ウォリアーU」と同時に情報提供した「キングスウェイ・プラス」、目論見書である「OFFERING MEMORANDUM THAMES RIVER KINGSWAY PLUS FUND LIMITED (テムズ・リバー・キングスウェイ・プラス・ふぁんど・リミテッド募集要項)の20ページを確認しました。
目論見書に「会社は・・・・・投資会社として設立し」とあるにも係らず、「投資信託法」に基づく投資信託であり、 本法に登録されている」とありましたので、会社型なのか信託型なのか迷いました。
弁護士さんによると、ケイマン諸島の投資信託法は信託型だけでなはく、会社型投資信託にも適用があるそうで、先生の見解によると、 「キングスウェイ・プラス」には、「会社定款と覚書」があることが確認できるので、会社タイプのファンドだそうです。
つまり、「キングスウェイ・プラス」は「株式等」に該当
また、目論見書26ページには、下記のような記述があります。
[無分配型クラス
取締役は会社のそれぞれのクラスに該当する収益や利益から、無分配型クラス(クラスAとクラスB)の 保有者に対していかなる分配金や配当も払う意図はない。分配日における無配当型クラスに係る収益は、そのクラスの資産の一部となり{以下、略}]
「クラスA」とはユーロ建て、「クラスB」は米ドル建て。
上場については目論見書の48ページに「アドミニストレーターは各クラスの一株当たりの基準価格が計算されたら、 直ちに、アイルランド証券取引所に報告する」とあり、たしかに、アイルランド証券取引所のホームページを確認したら、 「キングスウェイ・プラス」が上場している様子が確認できました。
「AIMF-S」及び「AIMF-W」は改正後の法律に従っても同じく「外国投資信託」に該当。
適用される法律は
投資信託及び投資法人に関する法律第2条[定義]22項
投資信託及び投資法人に関する法律第2条[定義]23項
租税特別措置法第37条の10[株式等に係る譲渡所得等の課税の特例]2項
投資信託及び投資法人に関する法律第2条[定義] 3項
投資信託及び投資法人に関する法律第2条[定義] 4項
投資信託及び投資法人に関する法律施行令第6条[証券投資信託の範囲]
金融商品取引法第2条[定義]1項
に加え、
「有価証券関連デリバティブ取引」について定けられている以下の法律です。
金融商品取引法第28条8項
三 市場デリバティブ取引のうち、次に掲げる取引
イ 売買の当事者が将来の一定の時期において有価証券[中略]及びその対価の授受を約する売買であって、 当該売買の目的となっている有価証券の転売又は買い戻しをしたときは差金の授受によって決済することができる取引
ロ 当事者があらかじめ有価証券指標として約定する数値[中略]と将来の一定の時期における現実の当該有価証券指標の数値[中略] の差に基づいて算出される金銭の授受を約する取引
上記は改正前の「 投資信託及び投資法人に関する法律施行令」に記されていた「有価証券指数等先物取引」を細かく説明しているものと考えられます。
「AIMF-S」と「AIMF-W」は同じ仕組みのファンドですので、「AIMF-W」を使って目論見書を確認します。 このファンドの仕組み及び投資対象は「Information Memorandum for Meister Fund and AIMF-W Fund (a SubFund of Meister Fund ( マイスターファンドとAIMF-W(マイスターファンドのサブファンド)要綱」の7ページ及び8ページにあります。
[信託とファンドの仕組み
マイスターファンド(以下「信託」という)は、マネジャーと受託者の間で交わされた、ケイマン諸島法に準拠した信託証書であり、 アンブレラ型ユニット・トラストとして構成されている。信託は異なるクラスを発行し、独立したサブファンドを 設立することができる。AIMF-Wファンド(以下「ファンド」という)の口数は現在投資家に提供されている。]
[投資目的と方針
{中略}当初は、ファンドは主に日経225指数先物、日本国債先物、そして韓国株式指数先物に投資する。]
[投資制限
この信託証書に規定されたファンドに適用される投資制限は、以下の通りまとめられる。:
(1)ファンドは先物、商品、オプション市場にて取引されている先物やオプション契約しか行うことができない。]
これを読みますと、信託タイプであり、そして、「有価証券関連デリバティブ取引」に該当する「有価証券指数等先物取引」 を投資対象としていると考えられます。
したがって、「AIMF-S」と「AIMF-W」は「証券投資信託」に該当すると考えられます。
このファンドは将来的には、ダブリン証券取引所に上場することを検討していますが、現在のところまだどこにも上場していませんでした。
上記記事はロイヤル資産クラブレポートから掲載しています。
続きはトピックス151号に掲載します。


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