TOPICS CORNER 製作担当 河井 継之介

トピックス26号 02/02/06発行

ペイオフ対策の死角

2002年4月からのペイオフについて日経でも連載で掲載されている。
意外と、これと 言った内容のものがない。
やっとウエッジに面白そうな記事がありましたので掲載してお きます。
何らかの参考にして下さい。
まずペイオフの解禁とはどんなことかひっつこく書 いておきます。
≪万が一金融機関が破綻した場合でも、預金が全額保護される特別措置 が終了するということ。
2002年4月以降は、まず定期預金や金融債など決済性預金以外の預金 はペイオフの対象となる。
普通預金や当座預金の保護は2003年3月まで継続される。
ペイオフ 解禁後に金融機関が破綻した場合、元本1000万円までとその利息が、「保険金」として 預金者に直接支払われる。
ただ破綻した金融機関の財産状況に応じて支払われるため、 一部カットされる可能性がある。≫
盛んに取り上げられている記事はマンション管理費 の場合が多い。
東京都にあるマンションで管理組合の理事を務めているAさんは、12月、 冷や汗をかいた。
例のエンロン社が破綻、その社債を組み入れていたMMFが元本割れした。
A さんは大手証券会社の課長。
理事会ではペイオフ対策の重要性を強調、銀行一辺倒では 危険なので、「元本割れの心配がないMMFで修繕積立金の一部を運用すべきだ」と主張した。 理事会では、「専門家のAさんが言うんだったら」ということで、ほとんど反対もなく積立金 の10%に相当する500万円をMMFにした。
Aさんは真っ先に証券会社に電話した。
「当社のMMF は短期債券中心の運用で元本割れはしていない」という返事を聞いて、生き返った思いだ った.
自分のオカネだ ったら真剣に安全性を考え、万が一損しても諦めがつく。
だが、ひとさまのオカネとなると 厄介だ。余計なことはしたくないと考えるのが人情だから、ペイオフ対策でも対策が先送り されてきた。
だが、ペイオフは性格上、何もしないでいたのではリスクは小さくならない。 広く寄付金などを集める公益法人でも同様の問題が持ち上がっている。
「寄付金の窓口 になってくれている地方の銀行や信用金庫、農協から資金を引き揚げるわけにはい かないだろう」
年末も押し迫ったある公益法人の会議室。
財務課長の案では、預金す ることが出来る金融機関を格付けで区別しようというもので、民間格付け会社のBBB (トリプルB)格以上を預け入れの条件としていた。
債券で言えば、一ランク下がっても 辛うじて「ジャンク債」にはならない水準だ。もし格付けが下がれば預金は解約、他に 移す。
この公益法人が寄付金の集金を委託している金融機関は全国に数百ある。集めたオカネは一定期間、その金融機関に預金の形で置いておく。
その中にはBBB格に満たないと みられる金融機関も少なくない。
だからと言って預金を引き揚げたことが地元に知れたら 、寄付集めに支障をきたすのは明らかだ。
さらに信用不安の引き金にすらなりかねない。
投資できる債券類はA(シングルA)格以上の債券とする案が出された。
それに対して損が 出た場合の責任は誰がとるかとの質問が天下り理事から出てストップ。
公益法人の場合、 天下り官僚がトップに座るため、前例と違った新しい施策を実施することを極度に嫌う。
天下り官僚のほとんどは金融関連の仕事をしたことがなく、ペイオフの制度すら満足に知らないケースが多い。
行動して損失が出れば厳しく責任を問われるが、行動せずに 損失が生じた場合、「致し方なし」ということになるのが官僚の世界だ。
地方自治体の 場合、債券運用にシフトする動きも出始めている。
しかし、首都圏新都市鉄道が、破綻 したマイカルの社債110億円を購入、回収不能になった。
国債は安心だからと言って全 ての資金をあてるわけにはいかない。
ましてや財政赤字の拡大で国債暴落がささやかれる 中でそんな事も出来ない。
個人もそうだが、ペイオフ解禁で銀行に預ける「リスク」は うなぎのぼり、銀行の貸し金庫はおおもてで、その中に札束を詰め込んでいる高齢者も 少なくない。
いずれにしろ「長年付き合ってきた金融機関だから」という従来踏襲型の決断先延ばしが最も危険。
それほど金融機関の倒産リスクは高まっている。
下記に2001年12月時点のスタンダード&プアーズによる主力邦銀の格付けを掲載しておきます。
如何に格付けが下がってきているかトピックス10号の時の金融機関の格付けと比較して頂 きたい。
A-東京三菱
BBB+ 三井住友、第一勧銀、富士、日本興銀、三和、東海
BBB- あさひ、新生
BBpi あおぞら
BB+ 大和