トピックス82号 03/05/26発行

生保の予定利率引下げ問題をどう捉えるか

浅井情報ネットワークのNEWS FLASHより掲載。
金融庁が、生保破綻前の予定利率引下げを可能とする法案の提出に意欲を見せている。
日経新聞一面に「首相命令で解約停止」と報じられたこともあり、皆さんの関心も高いことだろう。
但し、今回の法案では対象となる保険会社は破綻の恐れのある会社に限定されており(例えば格付けトリプルCの保険会社などは、想定されていることだろう)、 また、引き下げの決定までに総代会などで契約者の同意をうる事や、1ヶ月以上の異議申し立て期間を確保する案になっており、今全ての生保が危険にさらされているわけではない。
では、今回の予定利率引下げ問題はどうとらえるべきなのか?
しばしば「破綻よりは予定利率引下げの方がマシ」と言われるが、それは本当なのか?
結論から言えば、契約者全体の利益を考えれば、必ずしもそうとは言えない。
なぜなら、破綻―「更生特例法」の適用ーの場合は、銀行などが拠出している基金や劣後ローンをまずカットした後で、初めて保険契約者は負担を求められるのだが、今回の予定利率引下げ案では、まず契約者の予定利率引下げ=契約者の負担増ありきで、銀行などの基金拠出者に対しては「負担を求めることも可」という話になっているのだ。
いわば、銀行に優しい案なのである。
今回の金融庁の狙いは実はそこにある。
ご存知のように、銀行と生保とは持ち合い関係にある。
とりわけ格付けの低い生保に対する拠出額は大きい。
生保破綻→銀行の巨額損失→金融危機。
これを金融庁は恐れているのだ。
確かに生保破綻から来る金融危機は避けたい。
もし、予定利率引下げが可能になれば、多少選択の余地が生まれると言うことはできよう。
しかし、だからと言って、そこまで脆弱化したわが国金融システムの根本的な問題解決には、何らつながらない。