トピックス95号 03/10/12発行

問題噴出は2005年頃か(前編)

浅井情報ネットワークのレポートより掲載(執筆者は某大手データバンク幹部の方)
日本の構造改革は、相変わらず何も進んでいないと言える。
それどころか問題は深刻化し、個別の業界、企業ベースの問題ではなくなってきている。
しかし、現状は不思議な平静を保っているように見える。
これは、ファンダメンタルズではなく株価というメンタル的な要因で一時的に浮上している日本経済 が大きな理由である。
特に景況感という意味合いでは、「とりあえず株価をあげておけば」という政策が優先されているので、 一時より良くなってきているかのようにも感じる。
しかし当然、実体経済は全く良くなっていない。
それともう一つの理由は、日本人が「危機慣れ」してしまっていることがある。
週刊誌などで期末ごとに、「3月危機」とか「9月危機」などと言われていると、だんだん危機的状況に 麻痺してしまうのだ。
りそな銀行が国有化されたとき、取り付け騒ぎも起きなかったことがそのいい例だろう。
このような奇妙な平静を保っている状況は、大きなアクシデントが起きない限り、今後しばらく続くだろう。
しかし、この状況は言うなれば慢性恐慌に突入していることであり、安心できる状況でないことは言うまでも無い。
ツケの先送りをいつまで続けられるかが最大のポイントとなる。
国民の大半は永遠にツケの先送りが出来ると錯覚している。
もはや催眠状態としか言いようがない。
長ければ2005年位までは続かせることが可能だろうから、現状の奇妙な平静は続くことだろう。
今の日本経済は完全に政治主導型になっている。
政治的操作で景気、株価を維持させ最大の危機である不良債権問題を封じ込め、先送りをしている。
その象徴が破綻させず再生させたりそな銀行である。
自立再生の手立てがなく、もはや竹中財政金融大臣が言うような、ハードランディングなどできるような 体力も全く無い。
そうなるとつまるところ先送りしかなくなっているのだ。
それによってツケが大きくなるだけで問題解決にはならないことはわかっていても、もはや手段はこれしかない。
唯一の頼みはアメリカだ。
ブッシュは当然、再選を大前提としているため、来年の11月の大統領選までは自国に多大な影響を及ぼす 日本にコケてもらっては困ると考えている。
現在のアメリカ政府にとって、小泉政権はとても、くみしやすく利用しやすいので、アメリカ政府は小泉政権を 強力にプッシュしている。
一連の金融政策をみても、アメリカ主導であることがわかる。
以前は抜本処理、透明性のある不良債権処理をするようにしっこく言っていたアメリカも、現在は 無理だとわかっているのでそうは言わない。
「とりあえず封じ込めなさい」というのがアメリカの指南である。
このような危機封じ込めの手法は、少なくとも、2004年前半位までは続けて取られる可能性が高い。
ひいてはその間は株価も浮上している可能性が高い。
危機封じ込めの最大のポイントは、銀行も大手企業も「破綻させない」ことにある。
去年から今年にかけてマーケットが下落したのも、大企業や銀行の破綻リスクが一番大きな原因だった。
それが、りそな銀行の中途半端な処理によって「銀行はもう破綻させないんだ」と破綻リスク が解消されたことによって、外人がマーケットに戻ってきたのである。
問題は来年(2004年)の秋以降である。
ブッシュの再選が來秋決まると、早くて来年の後半、特に2005年に入ってからそれまでの反動が必ずやってくる。
おそらく、アメリカはデフレ不況に襲われる可能性が高い。
当然、その影響は日本にもあるはずで、いまの景気が来年の半ばまで続いたとしても、根本的なデフレ要因が 解消されていない日本はアメリカよりも大きな反動に襲われる可能性が高い。
2004年まではなんとか景気もある程度上昇で持っているが、2005年以降は手立てがもうないので、 ハイパーインフレや預金封鎖という危機感が現実味を帯びてくる。
いままで封じ込めていた金融問題が一気に噴出してくるため、57年前の1946年の2月17日に発令された金融緊急統制令、 すなわち預金封鎖が行われる可能性さえ出てくるのだ。
当時は、預金封鎖→新円切り替え→ハイパーインフレというシナリオで行われた。
さらに、いわゆる「政府紙幣」という政府の債務にならない紙幣の発行というおまけもあった。
そのようなことも、もはや絵空事とは言えない。
第一段階として、来年の7月に新札発行があるが、これをきっかけに新札切り替えとなり、いわゆるタンス預金 をすべてあぶり出す。
戦後あったパターンでは、その上ですべてを一旦銀行に預金させておろせなくしたのである。
本来は今回もそのくらいの形にしないと、おそらく収まりはつかない。
これは極端な例ではあるが、実際、財務省の中では戦後の預金封鎖の勉強会などが最近開かれている。
その点からも2005年は大きなターニングポイントである。
そのような中で、資産を守るためにはどうしたらよいか。
基本はゴールドでも米ドルでもNZドルでもEURでも英国商社ファンドでも、リスク分散していくしかない。
当然そうなった時は、日本円の預金というのはほとんど意味をなさなくなる。
もう一つの問題として、日本国債の暴落がある。
2004年度の新規国債発行額は40兆円突破が確実になっている。
国債への依存度が50%を超えることになるが、これはわが国史上最悪の数字である。
現在、公式発表の数字では国の借金は約700兆円ということになっているが、 この額はGDPの140%(先日の日経新聞にアメリカの財政赤字がGDPの6%にと大々的に掲載。 アメリカの景気を不安視する記事が出ていたが。日本の財政赤字には一切触れていない。 日本のマスコミは何故逃げる?)
世界最悪の数字である。
しかし、今年の春頃、塩川財務大臣が国会答弁で「本当の政府の借金は1100兆円ある」と発言している。
ここから実際の借金は700兆円ではなくて1100兆円と読むと、借金の額はGDPの200%をはるかに超えている計算になる。
ここまでくると、まさにお手上げ状態になってくる。
この国の借金の数字は、東西冷戦終結後の「第一次世界経済大戦」に日本が完全に破れたということを表している。
他の敗戦国はロシア、アルゼンチンなどであるが、それらの国にも数字上では日本は負けている。
それくらい深刻な実質的な財政破綻状態にあることを数字が示している。
こうなってしまうと、短期的に有効な経済政策や金融政策は全くないといってよい。
つまり現状の「封じ込め」政策しかないのである。


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