■2018年1月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●オセアニア事情

●豪州の州政府がGMOフリー政策継続へ
 南オーストラリア州はこれまでGMOフリー政策を維持してきたが、この法律は2019年9月1日に期限を迎える。そのため緑の党が継続法案を州議会に提出し、上院を通過した。この法案が成立すると2025年までGMOフリー政策が継続される。〔GM free South Australia 2017/11/19〕


●アジア事情

●インドで未承認GM綿栽培発覚
  南インドのアンドラ・プラデーシュ州テランガーナー地域で、未承認のモンサント社の除草剤耐性綿「BG-3」が栽培されていることがわかった。州政府は、広範な農家が栽培していると警告を発し、見つかりしだい処分するよう指示した。さらに調査委員会を立ち上げ、栽培の実態や種子が販売された経緯などの調査に入る。〔The Times of India 2017/12/5〕


●インドでGM綿生産量大幅減少
 
 インドの綿の生産が危機的状況になってきた。モンサント社傘下のマヒコ社が49の種子会社を通じて2002年からBt綿の種子を販売してきた。その結果、インドの綿の約90%、1180万haがGM綿になった。しかし、最近の報告では、この世界最大の綿生産国、世界第2位の輸出国が急激に没落している。輸出量は約2割減になりそうである。原因についてインド・綿アドバイザー委員会は、耐性害虫の拡大で第一世代に続き第二世代のBt綿も効果が失われ、2014年にはコストが3倍もかかるようになったと指摘している。当初はワタキバガの幼虫対策でBt綿を導入したが、耐性害虫のみならずアブラムシやコナジラミ対策も必要になり、農薬使用量が増えたことがあげられている。しかも農薬の使用量の増加により、農民の健康被害も拡大している。〔Third World Network 2017/11/23〕


●遺伝子組み換え作物

●GM作物用除草剤は抗生物質への感受性を増す
 ニュージーランドのカンタベリー大学の研究者が、除草剤耐性作物に用いられる除草剤にさらされると、抗生物質に対する感受性が強まるという研究結果を報告した。研究の対象にした除草剤はラウンドアップ、ジカンバ、2,4-Dである。研究者がこの3つの除草剤を選んだ理由は、GM作物をはじめ世界で最も多く使われているからだという。農村で働く人やGM食品を食べる都会の子どもたちに大きく影響すると指摘し、農薬の規制とともに抗生物質の管理も必要だと述べた。〔MICROBIOLOGY Journals online 2017/11/17〕


●ゲノム編集

●森林総研が杉のゲノム編集の成果を発表
 国立研究開発法人森林研究・整備機構の森林総合研究所樹木分子生物研究室が、内閣府が進めている戦略的イノベーション創造プログラムで、農研機構や横浜市立大学と共同で取り組んでいた杉のゲノム編集での操作が成功した、と生命科学系学会合同年次大会で発表した。この研究は花粉症対策を目的としている。〔日経バイオテク 2017/12/7〕


●遺伝子ドーピングの人体実験
  CBSニュースが、ゲノム編集技術を用いて自らの体を改造したという人物を報道した。ジョサイア・ザイナー(Josiah Zainer)は、筋肉の発達をコントロールしているミオスタチン遺伝子を壊すCRISPR/Cas9を遺伝子の形でプラスミドに組み込み、それを注射で体内に入れたという。この方法は、スポーツで遺伝子ドーピングとして使用されることが懸念されている方法である。ザイナーは「今後はまったく新しい人間を作りだすことができるだろう」と述べている。〔CBS NEWS 2017/11/6〕


●省庁動向

●日本「名古屋・クアラルンプール補足議定書」締結
 12月5日、「名古屋・クアラルンプール補足議定書」の締結が閣議決定された。補足議定書は、2010年に名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議・カルタヘナ議定書第5回締約国会議(COP10/MOP5)で成立したもので、GM生物が生物多様性に被害を与えた際の責任と救済・修復を開発企業等に求めたものである。40か国以上の締結により発効するが、日本の締結によって40か国となり、2018年3月5日に発効する。次回の生物多様性条約締約国会議より、補足議定書の締約国会議が開催される。

●未承認輸入GM作物監視を強化
 農水省は11月28日、未承認GM作物の輸入監視を強化するため、特定の国からの輸入作物の監視強化を発表した。対象は台湾から輸入されるパパイヤ、インドから輸入される綿、ギリシャから輸入される綿である。いずれも未承認栽培や流通が懸念されている地域である。


●農水省、3年連続GM綿の自生確認
 農水省は11月29日、2016年度11月上旬から12月上旬にかけて行なったGM綿の自生調査の結果を公表した。調査は営業倉庫3施設、飼料工場3施設、製油工場1か所の計7か所の敷地周辺。そのうち飼料工場の周辺で自生が確認された。2014年度に1個体、2015年度は4個体見つかっており、3年連続で確認している。同省は、これまで検出された場所とは異なることから、新たにこぼれ落ちた種子が発芽・生育したものだとしている。