欧州議会の本会議は2月7日、新ゲノム技術(New Genomic Techniques :NGTs)について、基本的に規制なしとする新たな提案を、賛成307、反対263のわずかな差で可決した。今後、欧州理事会で正式に承認されると、欧州でもゲノム編集食品が出回る可能性が出てきた。
今回の可決にあたり欧州議会は、欧州委員会では廃止を望んだ食品表示とトレーサビリティの維持を提案している。また、健康や環境へのリスクが生じた場合には市場から撤退させるセーフガード条項の導入も提案している。これに対して欧州科学者ネットワーク(ENSSER)は、「議会のセーフガード条項の提案にはリスク評価が含まれていないため、食品としての安全性評価が行われず、リスクが顕在化し発見されるまで対処されない可能性がある」と批判している。
EUは、このNGTs容認の動きを受けて、ゲノム編集作物などを検出する方法に関する2つの研究プロジェクトに対して、合計1100万ユーロ(約18億円)提供することを決めた。1つはノルウェー研究センターが主導するプロジェクト「DARWIN」で、これにはNon-GMO団体も参加している。もう1つはスウェーデン農業科学大学が主導する「DETECTIVE」で、これにはGMOの業界団体が参加している。問題は、欧州委員会と欧州議会の提案では、開発企業が基本情報や資料提供を拒否できるため、これらのプロジェクトの研究が妨げられるおそれがある。〔GMWatch 2024/2/14ほか〕
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