目的は、人、実験室試験、および野生生物における、内分泌機能を破壊する環境中の物質に関連する科学の現状を概観することである。意図するところは、後に米国科学アカデミー(NAS)によって行われる、より広い調査結果が完成するまでの間の暫定として、「環境中の内分泌機能破壊物質仮説」について中間的に評価、分析することである。ここでは、環境的傷害によって破壊されるかもしれない内分泌腺のすべてに言及するつもりはない。また、報告書は高レベルの労働被曝と事故による被曝には触れない。むしろ、環境中の化学物質による内分泌系破壊の共通テーマが仮説あるいは事実として提出された、人と生態系への悪影響についての論文に焦点を当てる。
「環境中の内分泌機能破壊物質」とは、からだの中で自己恒常性(ホメオスタシス)、生殖、発達、および/あるいは行動を支配している自然ホルモンの生成、分泌、輸送、結合、作用、あるいは消滅に介入するエストロゲン様物質と定義される。基礎知識として、内分泌学の分野、ホルモンの性質、内分泌破壊が予想されるサイト、そのサイトに作用する特殊な化学物質の例を示す。続いて、内分泌機能破壊の問題を客観的に示し、作業仮説を考察し、対立する見方を提出し、入手した情報を分析し、問題の合理的な評価を与えるよう試みる。特に強調したいことは、ホルモン作用と性行動が中枢神経系−脳下垂体で統合される問題、女性・男性の生殖系の発達と機能、および甲状腺機能についてである。さらに、乳ガン、睾丸腫瘍、前立腺ガン、(子宮)内膜症の発症において環境内分泌破壊がどんな役割を果たす可能性があるかについて評価する。内分泌系と免疫系の相互作用についても報告する。最後に、環境内分泌破壊物質について理解しようとする際のデータ欠落を指摘し、将来の研究の必要性について2〜3勧告を行う。この問題に関する研究戦略は今、EPA内で作っているところである。
内分泌に関係する生態系影響に関しては、専門家がレヴューした文献にある、特定の例を示して議論する。各トピック分野については、データの欠落と不確実な部分を議論して結論を導き、一般的研究の必要性を示す。 B.一般基礎
1. ホルモンの性質
ホルモンは内分泌腺(直接、血液に出される無管腺の内分泌腺)から分泌される自然の物質である。ホルモンは血液中を極めて低濃度で流れ、離れた場所の目的組織と器官にあるレセプターという特別の細胞サイトに結合する。そこで発達、成長、生殖その他のからだの機能に対して作用を及ぼす。
2. 内分泌系の役割
内分泌系は人と動物において少なくとも3種類の重要な、統合的、制御的システムの一つである。他の2つは神経系と免疫系である。ホルモンは、制御、発達、成長、ホメオスタシス(自己恒常性)などの重要な機構に影響力を持つ。その例には、生殖の構造と機能、血中のグルコースやイオンの正常レベルの保持、一般的なからだの代謝の管理、血圧、その他の腺、筋肉、神経系の骨髄、男女の生殖腺(精巣と卵巣)がある。
C. 技術部会が確認したこと
1. 人の健康への影響
子宮内膜症は痛みを伴う女性の生殖系と免疫系の病気で、子宮の内膜細胞が正しくない場所にできることが特徴である。米国の15才から45才の女性の約500万人を悩ましており、しばしば不妊を起こす。この病気の原因は分かっていない。少数の動物を用いた唯一つの実験ではダイオキシン被曝とアカゲザルの子宮内膜症との関係を示唆する研究結果が出ている。最近、血清中のダイオキシン濃度が人の子宮内膜症と関係があるという仮説を検証する小さなパイロット研究が報告された。そこでは病気の重度と血清中の塩素化芳香族の濃度との間に強い相関は見出されなかった。これらの明らかに数の少ない、準備的なデータは、血清中ダイオキシン濃度は人の子宮内膜症と関係がないかもしれないことを示している。そこで、化学物質と外因性物質を試験するために霊長類以外の実験動物の子宮内膜症モデルを開発・評価する必要がある。子宮内膜症の原因物質を予測する新しいモデルがいくつか得られている。人の乳ガンは米国における主要な健康問題である。人の乳ガンに関するリスクについてはかなりの情報が入手可能ではあるが、哺乳類の腺腫瘍のメカニズムと、発ガン性化学物質、物理的生物学的要素、様々なライフスタイル、遺伝的かかりやすさ、発達期の被曝が果たす厳密な役割はまだこれから明らかにされるべき課題である。有機塩素化合物、農薬、および/あるいは多環芳香族炭化水素への被曝が、ある内分泌破壊の道を通じて、おそらくエストロゲンをまねる方法か、エストロゲンの働きかたを変えることを通して、哺乳類の腺腫瘍を作る病因に何らかの働きをしている可能性があると仮説的に考えられている。乳ガンを引き起こすのに、化学物質によるホルモン破壊作用の可能性があることに関しては、この病気と有機塩素の関り合いを示す十分な証拠が欠落している。乳ガンの病因学の研究が必要であるのは明らかである。化学的に誘導される乳ガンに関しては、インビトロの短期試験と、インビボの動物試験モデルの両方の開発と評価が、化学物質傷害に続く乳ガンリスクを予測するために必要である。最後に、ヒト乳ガンについての疫学データは豊富であるが、特定の化学物質への曝露、物理的原因と影響を同定することは不可能である。この問題に言及するためには更なる疫学調査が補足的なメカニズム研究と共に必要である。
人の精子製造能力がこの50年間にわたって減ってきたという主張にみられるような対立議論が続いている。しかしながら、人の睾丸腫瘍の増加やその他関係のありそうな影響の出現を示す厳格なデータは、悪い影響がこれまでに起こったこと、あるいは現在存在しているという考えを支持している。人に現れているこうした影響が環境化学物質による内分泌系破壊に帰せられるものかどうかは、現在のところ不明であり、原因究明の研究が必要である。エストロゲン様化学物質が男性の生殖系の発達を阻害するメカニズムは、エストロゲンレセプター活性よりも、あるいは、それに加えて、抗アンドロゲン特性を通したものである可能性がある。
ライディッヒ細胞増殖と腫瘍は、実験動物の試験ではっきり出た問題である。この問題のワークショップの参加者は、人の腫瘍が発生する率はネズミよりも低く、実験動物に現われたすべてのモードが人にも関係しているわけではないと結論した。しかしながら、動物におけるライディッヒ細胞腫瘍の発生は、もし十分な曝露量のためにその力があれば人にとっても、ある作用モードでは憂慮されるかもしれない。
環境化学物質の内分泌破壊能力の試験には、エストロゲン活性に加えて抗アンドロゲン活性の検出能力を含めなければならない。また、ゲノム発現に反映されるような、アンドロゲンレセプターとAhレセプター機能の変化を検出できる必要がある。人の前立腺ガンの原因はほとんど分かっていないが、年令、遺伝、食物、内分泌の状態、および環境リスク因子が提案されている。人の前立腺ガンに関しては、一つだけ古い手法の疫学調査があり、弱い相関を示しているが、その一方で、農薬散布と前立腺ガン死亡との間に明瞭な統計的相関がある。さらに、コーラの釜の労働者を対象として調査でコーラの釜からの排気と前立腺ガンによる死亡の多さとが関係していることがわかった。農薬あるいは多環芳香族炭化水素への曝露が前立腺ガンの発生増加につながるかどうか、また内分泌破壊の特定原因として特定の内分泌破壊メカニズムを同定する以前に、もっと研究が必要である。
人類が発達や生殖や発ガンの影響の増加を経験してきたという観察や、これらの悪影響は発達や生殖やガン発生過程を制御している内分泌系を破壊する作用を持つ環境化学物質が原因かもしれないという作業仮説の立て方は、水生生物と野生生物に同様の影響が見られるということに支えられている。言葉を変えれば、ある共通のテーマが人と野生生物の報告の両方を貫いている。この仮説はガンや、ガン以外の影響が少なくとも公表された報告に関する限り、大部分が生殖器官の構造と機能(女性の膣ガンと乳ガン、男性の睾丸と前立腺ガン、子宮内膜症、睾丸無下降、精子の数と質および不妊など)に関係している事実によっても強化されている。
これと反対に、人のガンの発生、生殖異常、不妊の増加が内分泌機能破壊現象に帰せられるという仮説には次のような疑問が出されている。第一に、ホルモンの分泌と消滅はからだの中で高度に統制されており、ホルモンのゆるやかの制御のためのメカニズムはホルモン濃度の負のフィードバック制御を通して行われる。したがって栄養吸収に伴う環境ホルモンのわずかな増加とその外因性物質の肝臓での解毒作用の存在は内分泌ホメオスタシスの破壊説と矛盾する。第二に、いわゆる外因性物質は目標レセプターへの結合親和性が多分弱いであろうことを考えると、環境中の低い濃度では成人に悪影響を起こすには不十分である。胚や乳幼児がその内分泌環境に対する少々の変化を制御できるのかどうかは不確かである。最後に、内分泌系に影響を及ぶすかもしれない混合物についてのデータは入手できない。同時に、EDsのような環境エストロゲンの場合、周囲の抗エストロゲンによって結合サイトの競合が化学物質のエストロゲン効果を和らげる場合が知られている。明らかに、このような不明な点についてデータ欠落を埋め、不確かさを取り除くための研究がもっと必要である。
DESなどの2〜3の例を除いて、特定の環境物質と内分泌機能破壊メカニズムを通した人への悪影響との因果関係はまだ確立されていない。しかしながら、ある種の残留性化学物質は最近報告されている生殖、発達、発ガン効果のいくつかに責任があるかもしれない、それが内分泌破壊メカニズムを通して行われているかもしれない、とEPAは懸念しているので、問題の範囲をよりはっきりと定義するために新しい疫学調査と実験室試験を行うことになるだろう。メカニズムを明らかにするための努力として短期のスクリーニング研究の開発と評価も行われるだろう。曝露のバイオマーカー(生物指標)を定め、環境濃度と実際の被曝割合との関係を見ることもできよう。
吸収、体内分布、代謝(化学変化)、および排泄は生物種間の外挿によってリスク・アセスメントを改善したり、別ルートの曝露を評価する際に極めて重要である。読者は1996年のKavlockらによる仕事、『1995年4月のEDsワークショップ報告』を参照して欲しい。そこにはとくに優先すべき事項が勧告されている。
多くの実験室系および野外研究の結果によれば、無脊椎動物、魚類、爬虫類。鳥類、哺乳類の正常な内分泌機能に及ぼす幾つかの化学物質の影響が評価できると報告されている。これらの研究によれば、人工合成および天然で生じる物質のどちらもホルモンを介したプロセスに関連した生殖および発達の過程を阻害する可能性があると報告されている。ある場合には、化学物質は内分泌系を阻害する能力をわざわざ持たせるように合成されている。たとえば、ある種の殺虫剤は脊椎動物にはその毒が大きな危険を及ぼさないで特定の昆虫の内分泌系だけを選択的に破壊するように開発されてきた。ただ、目標としていない節足動物、特に甲殻類への悪影響は観察されている。その他の例のほとんどでは、疑われている合成化学物質は生体活性を意図したものでないか、あるいは短期の曝露ではその初めの毒性の型は内分泌系に影響するようのものではない。このことは明らかである。例としての物質を以降に示すが(下線をつけて)、現在、かなり広範囲の生物種に対して様々な情報が得られている。
海の無脊椎動物についての野外観察および実験によれば、船の防腐塗料として用いられているトリブチルスズが、ある種のカタツムリ類に対して低い濃度での曝露で著しいホルモン効果を持つことが示されている。用量−反応実験の結果、この物質はメスに対してオスの性を不可逆的に導入する力のあることがわかった。このインポセックスは不妊につながって、子孫の繁殖を減らす。翻ってみると、世界中の非常に多くの場所での野外研究によると、この類の化学物質は特定地域で集中的に起こっているカタツムリの数の減少の原因である可能性がある。他の貝類(たとえばカキ)もトリブチルスズに敏感である可能性が生態学的懸念を生んでいる。というのは、食物連鎖でこの物質が生物に蓄積されて、魚や野生生物や人への影響が出ている可能性があるかどうかという問題に繋がっているからである。
多様な化合物の多様な環境条件が魚類における生殖と発達の異常と関係づけられてきた。たとえば、下水処理施設下流の川では、半陰陽の魚が見られているし、数種の魚の雄化、性器官の発達異常、繁殖の減少が紙・パルプ工場の排水口の近くで観察されてきた。さらに、こうした正常発達の変化の主原因については、一般的に不明であり、天然でできる植物起源の物質と共に人工化学物質も原因であり得る。しかしながら、実験室で管理された研究によるいくつかの場合に見られた相関性データでは、中でもアルキルフェノールエトキシレートとその分解副生物、ダイオキシン類、フラン類、PCB類が原因物質となっているようだと示唆されている。
おそらく、内分泌機能破壊によって起こると推定される生態系の影響例の最も完全な記録はフロリダ州、アポプカ湖のワニについてのものであろう。一連の詳細な野外及び実験室研究によって、1980年代の農薬漏洩に関係するジコホル、DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)、およびDDE(ジフェニルジクロロエチレン)の混合物が雄のワニを雌化と雌ワニの“超−雌”化を来した様々な発達影響の原因であるらしいことがはっきり浮かんできた。その上、その時の漏洩の影響は卵の孵化率と個体数減少にもはっきりした影響があったと報告されている。
恒温動物の野生生物の内分泌にも影響する可能性の例が(複数)報告されている。たとえば、様々な有機塩素殺虫剤が孵化前のオスカモメにメス化を生んでいることと関係があり、その影響でカリフォルニアの西洋カモメと五大湖のへリング・カモメに地域的な数の減少と 雌雄比の歪みを生じさせている原因かもしれないという示唆に結びついた。多くの化学物質がゲッシ類の生殖と発達にホルモンを介した影響を誘い出していることを示す実験結果が多数あるけれども、野生哺乳類の個体数における因果関係の信頼ある結論を打ち立てたものは、まだ科学雑誌にデータとして報告されていない。それでも、ミンク、アザラシ、および関係する種が2,3,7,8-TCDDとPCBの生殖毒性に対して極めて敏感であるという点はかなり確立された。
多くの水生および陸生生物に出ている影響は、生殖と発達に重要な作用に化学物質がホルモン様に介入したことによって誘導されたものである、との説が出されている。特定の物質あるいは物質群が水性および陸生生物の内分泌機能に影響を及ぼす可能性を示す証拠のうち、最も強固なものは実験室で行われた研究と関係があるのが普通である。しかしながら、準器官および器官レベルの研究は特定の化学物質に対する機構面での力を確立するのに助けになるとしても、これらの影響が関連物質の環境中での曝露シナリオの下で観察されるかどうか、あるいはこうしたインビボとインビトロのプロセスにおける変化がどの程度個体数減少を起こすことに与っているか(合理的に)は、一般的に不明である。
さらに、よく計画された研究が幾つか文献に載っており、特定の効果に対する健全なメカニズム・フレームワークを確立したと報告してはいるが、比較できる種間の数は限られている。たとえば、両生類種についての情報は相対的に相当少なく、現在手に入れられる魚研究結果の主な部分はteleosts(bony fish)に限られている。
野外研究がよく行われている例では、無脊椎動物、魚、爬虫類、鳥類、哺乳類の非常に様々な身体的異常をはっきり伝えている。ある例では、こうした異常が、減少しつつある個体群の中で観察されている。さらに、こうした研究の多くで、悪影響の傾向は内分泌に変更を加える化学物質(合成または/および天然の)の環境濃度と相関を持っていた。しかしながら、ほとんどコントロールできない野外研究の常として、因果関係を確立することは、ほとんどすべての場合に難しいことである。
内分泌破壊物質の生態リスクを評価する際に挑むべき目標は、“問題の種に見られる毒性影響の結果として、水生および陸生生物の個体数やコミュニティーに悪影響が出る確率を打ち立てること”となるだろう。同様に、挑まねばならない問題は、野外で観察された結果の因果関係を説明することである。多くの化学的および非化学的ストレスが1つあるいはその組み合わせで、原因となり得る。非常に多くの報告が、様々な化学物質が無脊椎動物、魚、野生動物の内分泌系に変更を加えて生殖と発達に影響を与えることができることを示している一方で、器官レベルでの傷害や個体数の減少という結果となる、あるいはなり得る程度を確立したという例は今のところ非常に少ない。現在までのところ、内分泌破壊物質に被曝した結果として著しい個体数減少を示したという最も信頼性の高い例は、中部フロリダのワニについてと、海の無脊椎動物の局所的個体群についての報告である。内分泌破壊物質は生殖と生物器官の発達に様々なホルモン的反応の悪効果を誘い出すことがでくるので、こうした物質がさらに別の種や別のエコシステムにその個体数のレベルで影響を引き起こす、との仮説を引き出すことは全く合理的である。生態学的リスク・アセスメントの範囲内で問題を定式化する考えからは、確かに、生殖と発達に選択的に影響する化学物質への長期曝露が個体数に影響する心配が直接的にかつ合理的に持ち上がる。しかしながら、生物器官の中だけに観察される毒性学的効果からは、必ずしもすべてが個体群に同じ影響を持ってもいないし、このような色々の効果が同一の曝露レベルでの個体数効果を説明するとも期待できない。まとめて言えば、水生生物と陸生生物の内分泌機能を破壊することが分かっている、あるいは疑われている物質に関する予想される生態リスク評価のためには生物器官と準器官レベルでの観察を個体数と生物コミュニティーでの結果という文脈における意味として確立することを避けることができない。生物学的な組織間の関係を理解することもまた、旧来のリスク評価において、機構面から正しい因果関係を確立する際の助けとして必要である。
外因性物質に関する毒性メカニズムに基礎を置くならば、生殖と発達過程に関係する組織レベルでの結果の収集と解釈が、水生生物と陸上生物の個体群変化をよりよく予測し解釈するために必要である。残念ながら、従来典型的に使われているバイオアッセイから出てくる結果は、短期の曝露試験に基づいているので、おそらくほとんどの生殖あるいは発達影響を明確にしたり、生物組織の上位レベルにおける変化を予測するには適していない。しかしながら、これらの物質が関係しているメカニズムの理由から、新しい技術を実行したり、現存のやり方を修正することで準器官/器官の反応(すなわちエンドポイント)を適切に定量化できるとしてもよいであろう。それらのエンドポイントは個体群のダイナミックスにおける変動を数量化するようなモデルと測定と結びつけることは直ちにできる(すなわちアセスメント・エンドポイント)。
生態系へ悪影響を及ぼす点に内分泌破壊物質の潜在的役割があることから、長期の曝露を持っと系統的に試験する方法を開発し実行する必要性が指摘されてきたので、EPAは生態リスク・アセスメントにおいてこの問題の重要性を長く認識してきた。たとえば、トリブチルスズ、DDT、PCBsなどの化学物質は禁止と厳重規制が行われてきたが、これは部分的には、長期間曝露後の水生生物と野生生物への影響を考慮した結果である。さらに、2,3,7,8-TCDDと関連物質の影響は現在アセスメントのし直しをしているところであるが、これは、魚と野生生物の生殖と発達への影響に関する懸念から始まったものである。
残留性、生物蓄積性の化学物質全般に対する懸念の増大と、こうした毒性学的、生態学的影響を評価するのに適した技術についても懸念が増大していることが色々な調べでわかっている。その調査とは汚染、予防、毒物局の高生産化学物質のアセスメント、水道局の底質評価、クライテリア作成、および五大湖水質構想の焦点などの仕事である。さらに、研究開発局は、環境内分泌破壊問題のために特に開かれた1995年の2つのワークショップの結果を発表している(Kavlock外、1996、Anklay外、1996)。この2つのワークショップで明らかになったことから予想的アセスメントと回帰的アセスメントの両方に関係した短期と長期の幅広い研究目的が議論された。このような研究が必要な分野は、まだ試験されていない物質の内分泌破壊力を迅速にスクリーニングする技術改善から、現状の曝露レベルや、人および水生生物、野生生物の個体数に対する化学物質の影響を数値化する方法の改善まで広がっている。
リスク・アセスメントの必要性に関しては、生物体の器官レベルを通したサブ細胞レベルでの観察を個体数やコミュニティーへの結果とを因果的に結びつけるはっきりした方法が必要だという研究戦略をとっている。EPAの壁の内と外の協力で行われるはずの、こうした研究プログラムは、内分泌破壊メカニズムを通して作用する化学物質の、人および生態のリスク・アセスメントをサポートするために作られている(研究募集は1996年2月EPAによって行われた)。
訳:松崎早苗
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