三重県公立高校入試問題2003年国語

松宮思考研究室  >  学習塾の講義・ちょっとだけ  >  三重県公立高校入試問題2003年国語一小説設問三・六

一、小説設問(三)の解答法

設問の文章をよく読んで欲しい。「期待感」「熱中している様子」と書かれている。こういう問題は、前後のかなり近い場所にあるはずだが、近くに「期待感」「熱中している様子」らしきものは見当たらない。

「期待感」とあるので、「ワクワク」「そわそわ」「待ち遠しい」様子が書かれているはず。「熱中している様子」は、他のものが目に入らない」「時間が速く過ぎるように感じる」などという記述があるとよい。

そのように予想して読んでいくと、やや離れた後方(本文十六行目)に「日曜日なのに平日より一時間以上も早起きして、しかもゆうべは初めての魚釣りが楽しみでなかなか眠れなかったと言っていたのに、さっきからあくびひとつしていない。」の部分が目についた。うんうん「早起き」「楽しみで眠れない」とある。「期待感」がじゅうぶん出ています。「あくびひとつしていない」うん、集中してます。少し予想とずれましたが、満足です。ここしかないでしょう。

『日曜日なの』『ていない。』が正解。

一、小説設問(六)の解答法

(三)同様、設問文をよく読んでほしい。書くことは二つあります。一つは「僕」がふるさとをどう思っているか。もう一つは「美奈子」がふるさとをどう思っているか。さらに、「美奈子」の方は、「ふれて」と設問文にあるので、「美奈子」が「副」。「僕」の方が「主」なのです。

「主」の方を跡に書くほうが日本語らしい。日本では真打(しんうち)は最後に出てくるでしょ。横綱も最後。

また、二つの考えを書かせるのは、その違いを明らかにしてほしいからだ。多くの場合、正反対の対立する内容であることが多い。出題者のこのあたりの意図(いと:考えていること;めざしていること)をくみ取って解答してやるとよい。

「美奈子は、生まれたところがふるさとだ、ととらえているが、僕は、離れるのが寂しいと思う町がふるさとだ、と考えた。』
これでじゅうぶんだと思うが、三重県の模範解答は二つ、
『美奈子は、生まれたところがふるさとだととらえ、周防は自分のふるさととは言えないと考えているのに対して、僕は、離れることが寂しい町もその人にとってのふるさとなのだと考えた。』
『理屈では、美奈子が言うように生まれたところがふるさとだと言える一方で、僕は、離れることが寂しい町もふるさとなのだと考えた。』
真ん中の模範解答の「対して」というのが、「対立する二つの意見」を対比していますよという強烈なアピールになっている。

本当は、親子の対話を重ねるうちに「美奈子」も「ゆっくりと何度もうなずいた」というように、意見が変わっているはずだ。でも、「変わる前のとらえ方を書かないと点にはならない」と読み取ろう。


松宮思考研究室  >  学習塾の講義・ちょっとだけ  >  三重県公立高校入試問題2003年国語一小説設問三・六