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職業の選択肢

小6のとき、近視の治療で土曜日は早退した。2週間に1回。電車を乗り継いで1時間ほど、そこから徒歩で20分くらいの医院。視力を測ってもらって、数分話をして、目薬を貰って帰ってくるだけ。評判の眼科で、いつも込み合っていたので、時間は掛かった。

残念ながら治療の効果は出なかった。今でも眼鏡なしでは、風呂に入ることしかできない。

中学のとき読んだ本で、できるだけ裸眼で生活する方が良いとあった。高校では、あまり黒板が見えなかったが、眼鏡をかけずに授業を受けていた。席はほとんど一番前の列だったので、ほぼ不自由はなかった。

高3の身体測定のとき、裸眼で色覚異常の検査を受けた。見にくいページもあり、色弱となった。大学に入って、色覚異常では就けない職業があることを知った。視力自体が悪いので、警察官やパイロットもダメだった。自分の将来の選択肢が狭められることを、必要以上に恐れた。今思えばだが。

大学は講義室が大きいこともあり、眼鏡は手放せないものとなった。大講義室の後方では、眼鏡をかけてさえ黒板の文字が見えなかった。大学での色覚検査は、眼鏡をかけて受けた。全部識別できた。以前の検査結果が書き込まれている検査票を見て、検査員が首をかしげていた。職業の選択肢が少し多くなった。

「やる気があれば、何でもできる」とは言うけれど、学業成績が悪いためにあきらめざるを得ない職業もある。将来就く職業は、そう何種類もないけれど、可能性だけは多ければ多い方が良い。

潮流(ちょうりゅう)というものがあるのだろう。現在民放各局は、何かの身体障害をテーマにしたテレビドラマを放映している。2・3回見たものもあるが、現在は見ていない。切り口は違うようだが、示したい方向は同じだと想像する。体の障害はわかりやすいが、人は誰でも精神的な障害ももっていると思う。精神病というわけではない。個人的特質のマイナスに思われる部分のことだ。

この部分を抑えたり、この部分とうまく付き合いながら生きている。新品を買った途端に、傷をつけたり汚したりすることがある。そういう品物でも、使えば使うほど愛着が湧く。そう、使えば使うほど。


裸眼視力

眼鏡やコンタクトレンズをつけない時の視力。つけたときは「矯正(きょうせい)視力」という。

職業の裸眼視力適正基準

・警察官 0.6以上
・パイロット 0.5以上

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