あだち充20.1
――けど、胸はときめかない…

      ――あだち充「クロス・ゲーム」第二部 第11話(第21回)――
        (「週刊少年サンデー」'05年51号、カラー扉付19頁)

 いよいよ「第三部 高校生篇」がスタートと思ったら、「高等部編」は「第三部」では無く「第二部 第11話」だった。
 つまり、おっ茶目ッ!“青葉ちゃん”の物語は、まだ続くのネ。……まあ、それはいいのだけれど。

 で、高等部野球部のウワサに就いて、先に<「高等部野球部の噂の真相」の陳腐さには少々失望>と書いたが、「ウワサの本質」は、もう少し別の処にあったようである。
 高校野球界の現実の前では、最早、まんがと言えども、「越境入学」だの、「二軍制」だの、を避けて通れない処まで来ている――という事を見せ付けられているようで、少なからず、心が重い。

 「楽しい草野球がやりてえんだよ、今日は。」――“中西”はあの日、そう言った。「そんなとこで見てないでチームに入れてもらえばいいのに。」――“若葉”の声が“赤石”の胸に木霊する。
 「楽しい草野球」の続きは、出来るのだろうか?
 ――まあ、そんな事を言っていたら、甲子園など目指せないだろうが、ネ。
 ただ、何処となく“コウ”は、廻りの状況に関わりなくそれでも楽しんでしまうタイプのようで、少しホッとする。

 高等部のゲスな先輩との折り合いもあっさりついて、
 さて――。
 “青葉”の胸をときめかす160キロのストレートを“コウ”が投げる日まで、長い物語が、始まりそうである。


 余談だが、“青葉”は高等部に進学しても、野球を続けるのだろうか? 硬式野球は、まだ女子に門戸を開いていないように思うのだが……。


 それでは、暫く不定期で、このレビューは掲載する。宜しければ、お付き合いの程……。

(2005.11.16)
テキスト:「週刊少年サンデー」'05年51号;2005.11.16発行;本体229円


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