7/19に岳志がバイキング(自転車)のキャンプから戻ってきました.3週間では物足りなかったそうで,昨年の方が新鮮味があって楽しかったなどとぜいたくなことを本人は申しております.私たちにとって良かったことは,グリニッチから車で約3時間のボストンまで岳志を送迎した際に宿泊してボストンの町,大学,博物館を見学できたことでした.
8月中旬に家族で9日間のドライブ旅行に出かけました.コネチカットからオハイオを通ってミズーリで折り返し,ケンタッキー経由で戻る14州,3,500マイル(5,600q)の旅はアメリカの広さを実感するに十分でした.今回の旅行のハイライトのいくつかを紹介します.
オハイオ州
ロレーンのUSS/KOBEの製鉄所で,鉄鉱石が鉄から鋼に変わる現場を見学しました.どろどろに溶けた鉄鉱石が「出銑」する所,大きな「転炉」でいろんな成分を加えられる所は圧巻でした.鉄の男達の情熱をかいま見た思いがしました.
州都コロンバスのオハイオ州立大学では,広い緑の芝生と歴史の
ある建物と近代的な高層ビルの組合わせ,ヘリコプターの離発着する活気ある病院,立派なスタジアム,1日2回無料のキャンパス・ガイドツアーに感心しました.日本の大学でキャンパス・ツアーのできる大学がいくつあるかしらと考えてしまいました.
イリノイ州
平坦な高速道路の両側はとうもろこしと大豆畑が続きます.イリノイ州は「ランド・オブ・リンカーン」と呼ばれ,州都のスプリング・フィールドにリンカーンが17年間住んだ家が保存されています.実際にリンカーンが住んだ家を訪ねて初めて,その存在が実感できました.車中で何度もテープを聞き返して,大統領に選ばれてワシントンに赴くため町を去る時の名演説に「さすがリンカーン」と家族で感心しました.
ミズーリ州
農業国の一面を見たかったので,セダリアで開かれたステイト・フェア(農業博覧会)を1日ゆっくり楽しみました.羊の品評会,子豚レース,巨大ナマズ・鯉の展示,電動ノコギリによる彫刻の実演,競馬,ZZ
Topという人気グループのコンサート,大規模な移動遊園地.なかでも素朴でおもしろかったのが「トラクター・プル」で,これはジーンズのオーバー・オールに野球帽を着たおじさん達がトラクターで何トンもの荷を引っ張る距離を競うものです.前輪が浮いたり,スリップすると失格になります.
セント・ルイスではミシシッピ川以西の進出を記念して建てられた高さ200mのゲイトウェイ・アーチ
にのぼりました.セントルイスが西部へのGatewayと言われた西部開拓時代はほんの100年前まで続いていたそうです.歴史を逆算するとその通りなのですが,この国の若さを再認識しました.
ケンタッキー州
マンモス・ケイブ国立公園は発見されている洞窟の中では世界最大と言われ,地中を6.4q,4時間半かけて歩くツアーに堪能しました.白い柵に囲われた美しい牧場が続く
レキシントンではホース・パークを訪ね,名サラブレッド達に会ってきました.
テネシー州
スモーキー・マウンテン国立公園の幾重にも山が重なる景色は,四国の石鎚山頂から見た山並みに似ていました.ここを出発点とするアパラチア山脈はそれほど高くなく,遠くから見ると大阪の和泉山脈に似ていて日本的な山々でした.
ノース・キャロライナ州
チェロキー・インディアンの博物館の入口には,チェロキー文字を考案したセコイアの7メートルの木像があります.その像は,ミシシッピ川以東のインディアンを立ち退かせるという政府の方針で1837年にチェロキー族が2,000qも離れたオクラホマ州まで歩いて強制移住させられ,1/4以上が死亡,部族が2分された「涙のトレイル」という史実を語って涙を流していました.