はなみずき     第31号  6/14/98
 





 とても楽しかったワシントン修学旅行の後,岳志は約2カ月にわたって卒業プロジェクトに追われました.先週やっと,3人の先生方の前での発表が終わり,この週末は先生たちへのお礼のカードを書いています.3年間のミドル・スクールも,木曜夜のダンスパーティ,金曜夜のクラス・ナイト(父兄も参加する卒業式)で終わります.岳志によると,最後の1年間は毎日学校に行くのが楽しくてしかたなかったそうです.家の前に止まる黄色いスクール・バスに乗るのもあと5回だけかと思うと,ちょっと寂しい気がします.
 今回は,タグ・セールとタイム・カプセルについて書きます.
 
 

タグ・セール

 春は気候が良いので庭先で不要品を売る「タグ・セール」にもってこいの季節です.5月末の土曜に福田家の庭で主婦6人でタグ・セールを開きました.地元新聞のタグ・セール欄に$30で広告を載せ,近所にポスターを貼りました.6人のうち3人は夏に帰国します.日本に帰ると格段に家が狭くなるので,持って帰れない台所用品,家具,小さくなった子供服,また,クリスマスやハロウィンの装飾品,雪かき道具,水まき用スプリンクラー,裏庭に置くピクニック・テーブルなど大量の商品が出ました.ほとんどは駐在期間中の3〜5年間に買ったものです.元値の10%くらいの値札を付けました.朝8時から4時まで30℃の炎天下,たくさんのアメリカ人が買いに来てくれました.最後は半額にして,それでも残ったものは町のリサイクルセンターに寄付しました.なんと6人で$1,700(25万円)の売上げがありました.
 私は車1台分しか持ち込んでいないので売上げは$140で,服1着買えば消えてしまう金額ですが,不要になった物を捨てずに誰かが使ってくれるのはとても合理的で気持ちがいいものです.タグ・セールは疲れましたが,上手にねぎる人がいたりして,品物を売るコツが少しわかったような気になりました.
 
 

タイム・カプセル

 親友のバーバラ・ベルトリはマンハッタンビル・カレッジの先生ですが,10年前はグリニッチの私立男子校で教えていました.先日,当時4年生の教え子が10年前に校庭に埋めたタイム・カプセルを掘るのでビデオに撮ってほしいと言ってきました.行ってみると,バーバラの教え子14人中6人,今は20〜21歳になった大きな青年たちがスコップやツルハシを持って学校に集まっていました.皆大学生でハーバードやコーネルなどの名門や地元のサザン・コネチカット大学に行っています.バーバラが当時の手書きの地図とメモをたよりに,校舎から直角に75歩さらに右に5歩歩いた所に大きな穴を掘りました.しかし,カプセルは出てきません.結局,2時間で5つも大きな穴を掘りましたが,10年の間に校舎の増築で出発点が変わったこと,目印の柵が移動したため,鉄の箱を埋めた場所を特定できませんでした.がっかり!!
 10年前に埋めたカプセルの中には,ゴルバチョフが表紙のタイム誌,自分の身長・体重・友人名・住所を書いたインデックスカード,4年生当時の1年間の日記,ヒットパレード40位の曲名,靴,学級写真が入っているそうです.この10年間には両親の離婚や死別など学生たちの身の周りに大きな変化があったので,彼らはどうしても自分の日記を読みたかったようです.バーバラ自身も3年前に離婚して,この8月に2年間一緒に住んでいるフランクと結婚します.学生たちは来年,もう一度集まって,金属探知機とミニショベルを持ち込むと意気込んでいました.
 バーバラと教え子とのきずなは大変強く,彼女は彼らの誕生日を今でも言い当てることができました.今回はタイムカプセルを見つけることはできませんでしたが,彼らが10年後に再会できるきっかけになったことは意義があったと思います.同時にタイムカプセルを埋めた位置を精密に記録しておく必要を痛感しました.
 
 

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