長かった岳志の夏休みも終り、昨日から日本人学校の二学期が始まりました。現地校に通っていた子供達はたいていこの時期に日本人学校に編入して翌一月に仮卒業、母子で帰国受験というパターンをとります。高校受験資格が中学卒業か現地校の9年生終了となっているため、現地校を続けていると終了が7月になってしまい、学年が1年遅れてしまうからです。岳志はようやく友達ができたのに、一緒にグリニッチハイスクールに進めずがっかりしていました。
今回は、7月下旬、家族で出かけた9泊10日の米国中西部ドライブ旅行について書きます。欲張った計画のため、連日モーターインにつくのが10時、鹿に接触したり、ガソリンの残量が0になって青くなったり、いろんな経験をしました.
百聞は一見にしかず
コロラド州デンバーでレンタカーを借りて、ロッキー山脈とその東側のグレートプレーンズ(大草原)にある20の国立公園等を訪ねる4,300マイル(6900キロ)の旅をしました。グランドキャニオン、イエローストーン、ザイオン、アーチーズなどの国立公園はひとつひとつが特異な地形を持ち、そのスケールの大きさは開いた口がふさがらないほどで、連日「すごい!すごい!」の連発で正直、感動疲れしました。岳志のこの旅行の感想は「小さい時に図鑑で見たその場所に自分が実際に行くことができたのが信じられない。」でした。
さらに私たちが感動したのは、ネブラスカ州、サウスダコタ州、ノースダコタ州にかけて見渡す限り広がるグレートプレーンズの広さでした。巨大なスプリンクラーが回る広大な小麦畑、時々牛や馬が点在する大草原は時速75マイル(120キロ)で走っても走っても延々と続き、「アメリカは広い」と聞いていましたが、ここに来て始めて本当にその広さを実感しました。
ユニークな国立公園
ノースダコタ州のセオドアルーズベルト国立公園にはバッドランドと呼ばれる荒涼とした土地が広がります。ここでは、バッファローの大群に会えました。プレーリードッグタウンと呼ばれるかわいいプレーリードッグのコロニーがあちこちにありました。他の所でもそうですが国立公園内の主な見所は車で回れるようになっています。
ユタ州は国立公園の宝庫です。なかでも、ブライスキャニオンは乳白色と乳紅色の横縞模様の岩の尖塔郡が続いて圧巻でした。キャニオンランドは地表がギザギザに侵食されて谷が形成される過程が一目瞭然でした。子供のときにこういう驚異の光景を目にしていたなら、地質学者になりたいと思ったかもしれません。ユタはモルモン教徒の州で、州都ソルトレークシティの60%の市民はモルモン教徒で、総本山には9人もの日本人シスターがいました。
ワイオミング州のイエローストーンの広さは四国の半分もあるそうです。私達は「熊の歯」と呼ばれる険しい前山を越えるルートで入りました。前山の豊富な高山植物と氷河に歓喜しましたが、ヨシが夢に見ていたイエローストーンは夏の上高地みたいに混雑していました。
コロラド州のロッキーマウンテン国立公園は、エルク(鹿の一種)の大群、アルペン的な山岳眺望、氷河、カラフルな高山植物と、百点満点でした。ユニークなのがメサベルデ国立公園で、1500年前に100年間だけ住んでいたインディアンの断崖住居の遺跡が保存されています。遺跡の研究と保存に莫大なお金をかけているそうですが、レインジャーによると、いまだになぜ彼らがわざわざ切り立った崖に住み、100年で去ったか解明されていないそうです。
行ってきました、見てきました
旅行から帰ってから、岳志のイタリア系アメリカ人の散髪屋さんが3年前に「初めてグランドキャニオンに行ってとてもすばらしかった。」と言っていたのを思い出しました。知り合いのアメリカ人でも私達ほどアメリカ国内をあちこち見て回っている人は少なく、貴重なものを短期間にたくさん見れて本当にラッキーだと思います。