はなみずき 第34号  9/21/98





 先月、とうとう十年以上使っていたパソコンのモニターが故障してしまい、親友の加藤さんの家でパソコンを借りてぱたぱた打っています。今年は残暑が異常に厳しい上に、日本人学校の走り一辺倒の体育に岳志君はばて気味です。気持ちが悪くなって帰りのバスに乗れない子も出る有様で、現地校なら苦情を言うところですが、日本人学校にはさすがに言えない(言っても仕方ないように思えるし、印象を悪くするだけ)のが親にとってつらいところです。今回は二週間前から始まった私の教育実習について書きます。
 
 

リッチな養護(特殊)教育

 大学院の修士課程の最後のコースが9月から12月にわたる16週間の教育実習です。私は、ライブルックというNY州の小さな町の学校で、前半は中高、後半は小学校で朝8時から午後3時まで実習しています。きついです。はじめにすごく驚いたのは、集会の時、前に通訳の人が立って話を手話で耳の不自由な生徒のために通訳していたことです。同様に、車椅子に乗っている子にも常時大人が一人つき、ほとんどの科目の授業には養護教育の団体から派遣された専門の人がノートを取っていて、問題のある子供の隣には養護教育の先生がぴったりついていたり、大変お金のかかることだろうと思います。最近は養護教育を必要とする子供は養護学校に送らず、一般の生徒と一緒に学ばせようという傾向だそうです。従って、養護教育が必要と査定された生徒一人につき、ほとんど先生一人をつけねばならず、養護教育にかかる費用が他の予算をとってしまい、グリニッチでも大きな問題になりつつあります。たぶんここは小中高とも一つしかない小さなリッチな町なのでこれだけのことができているのだろうと思いました。
 
 

しきりのない教室

この学校はオープンスクールというしきりのない学校が流行した時代に立てられたので、高校の教室は隣の教室とをしきる壁だけで後ろ側はオープンになっていて授業中でも人が後ろを通っていきます。教室の中が見えて密室でなくていい反面、周囲の雑音が気になり集中できにくいです。
 
 

小規模なESL

中高あわせてもせいぜい生徒数は400人くらいなのでESLの生徒も少なく、中学7年生と8年生が各一人、高校9年生が4人、10年生が1人、11年生が4人、12年生が1人、以上がすべて日本人で、あと12月に帰国する寡黙なブラジル人が10年と11年に一人ずつです。従って、グリニッチで見てきたようなESLの教室はなりたたず、レギュラーの科目の補習が主なESLの目的です。はっきりいって、私の仕事は家庭教師みたいなもので、理科や社会の宿題を手伝う係です。でも、楽しいのは、ESLの生徒のためにノートをとるという仕事で、9年生の英語と社会科の授業に出られることです。どちらの先生も優秀で大変勉強になります、この学校はESLの実習の環境としては理想的ではありませんが、ESLの先生たちがとても親切で気持ちの良い方たちで、なんとかご親切に報いられるようあと14週間やりとおそうと思っています。
 
 


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