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公演情報
オフィスコットーネがこれまでにプロデュースを行ってきた公演をご紹介します。
戦前、もしくは昭和30年代、宮崎県の深い山脈の奧に迷い込んだ男たちが出会った部落。
無籍者として社会から切り離されて生きる一群と接するうち、炙り出されていく男たちの本性。
人間の真奥の声を訊く。
吉村昭の小説『水の葬列』をモチーフに、 てがみ座の長田育恵が新作を書き下ろす。
いま注目の作家・長田育恵(てがみ座)と文学座のベテラン演出家・藤原新平が強力に
タッグを組み「人間の善意とは?」に鋭く切り込んだ作品。
三人の浮浪者はダンボールハウスに身を寄せ合い生活をしている。
黄昏時、夕暮れから夜がやってくるまでの時間―男たちは、
在りし日の懐かしいわが家に思いをはせる。
そこには優しい妻がいて、可愛い子供たちがいる。そこは心安らぐ暖かい住処だ。
しかし、彼らはそんな安住の場所を出てきた。
三人には三人のそれぞれの事情があり、決して語られることはないが、おぼろげに、
そのくせ確実なものとして、見えてくる。
作家・大竹野正典氏は、暖かくて心地よい自分のわが家を大切に思うと同時にそんな
家庭を憎んでいる。ここから出て行きたいという彼の願望と、ここから出ていくことで、
失ってしまうものの大きさに常に揺れ動いている。
そんな作家のエッセンスがいっぱい詰まった戯曲です。
フランツ・カフカの絶望観をモチーフに大森寿美男が独自の視点で描く
サスペンスフルな人間ドラマ。
ある事件で突然殺人犯にされてしまう男。
10年後、冤罪とわかりはれて釈放、故郷に戻ってくる。
家族、弁護士、支援者は平静を装ってはいるが、それぞれ腹にイチモツ抱えている。
本音と建前、明と暗の間でゆらぐ人間の心、そして家族の不確かな絆。
やがて男はこれまでの人生に自分なりの決着をつけようとするのだった・・・。
本作品は、小説「孤高の人」のモデル登山家・加藤文太郎の生き様と厳冬期槍ヶ岳の遭難事故を モチーフに描いています。
昭和初期、社会人登山家としての道を開拓し、果敢に独り雪山に挑戦し続けた加藤文太郎。
いかなる場合でも周到な計画のもとに単独行動する彼が、岳友・吉田登美久と共に槍ヶ岳で消息
を絶ったのは、昭和11年の厳冬だった・・・。
「人は死を賭けてまで何故、山に挑み続けるのか・・・」
彼のこの果てしない問いかけはやがては「人は何故、生きるのか」という普遍的なテーマに
繋がっていくのです。
アメリカで実際に起こったメアリ・ケイ・ルトーノー事件をモチーフに、孤独に心を蝕まれたひとりの女教師の妄想と暴走を主軸に描く物語。
ある私立高校に美しい女教師が転任してくる。 美術担当のその女教師は、教師になりたかったわけでもないのに、生徒からは好かれる。 その様子を遠目から羨ましげに眺める50代のベテランの女教諭。 もう若くない彼女には家族も友達もいない。 職場でも孤立し、生徒からも毛嫌いされていた。 美しい女教師は、ベテラン教師の孤独に同情を寄せる。 やがて美しい女教師とベテランの教諭は、ある秘密を共有することによって急速に親密さを増していくのだった。
二人は年齢も社会的地位も生活環境も異なるものの、日常生活で自身を見失い、孤独から抜け出せないという共通点を持っていた。そして共依存となった関係が、ベテラン教師をエゴむき出しの衝動に走らせていく……。 二人の女はどこで何をどう間違えたのか…。
主人公のリーとレイラは、グラスゴーに住む高校生。1月のある日、ふとしたはずみで母親の交際相手を殺害してしまった。リーは、レイラを連れて酷寒のハイランドへと逃亡。そこの山小屋に隠れ場所を見つけたふたりは、山小屋の管理人フランクとともに、しばらく平穏な日々を送る。しかし夏が近づくころ、追っ手はこの山にも迫ってきたのだ・・・。
この現代版ボニー&クライドを、小説で言う「地の文」を折り込んだセリフでテンポよく綴ってゆく。デイヴィッド・グレッグが、グラスゴーを拠点に活動するTAGという劇団のために書き下ろしたもので、2006年9月にグラスゴーのシチズンズ劇場で初演され、その後、スコットランド内の多くの学校で上演された。観客・批評家双方から好評を博し、翌年のエディンバラ・フェスティバルでは再演されている。日本では初上演。
時は「政治の季節」も収束しつつあった70年代後半。漫画家を目指す駆け出しのアニメーター・一郎と トレーサーの幸子。先の見えない貧しい暮らしの中二人は愛だけを頼りに同棲を始める。
若い二人のつつましくも幸せな生活。しかし、冷酷な現実によっていつしか無力な愛は崩れ去る運命を たどることに…。
昭和40年代後半の東京を舞台に、一郎と幸子の出口の見えない同棲生活を描いた つつましくもせつなさに満ちた恋愛物語。
1960年代に起こったカウンターカルチャーと反体制運動の猥雑なうねりの中、月刊漫画ガロに連載された 林静一氏の代表作『赤色エレジー』モチーフに、演出家天野天街,フォークシンガーあがた森魚の異色の 組み合わせでお贈りした作品。
ある殺人事件の審議のため、全く無作為に選ばれた12人が1つの部屋に集まって審判を行う。
彼らは友人でもなければ、利害関係があるわけでもない。他人同士が、1つの目的のために繋がるという
「奇跡」。そして、一見して『有罪』であった判決は、彼らの真実を追い求める熱意によって覆され、
奇跡的に「無罪」判決へと辿りつく。審議を終えた彼らは、またそれぞれの人生へと戻って行く・・・。
この物語は、彼らの人生で起こった一瞬の「奇跡」。
人が人を裁く脅威、正義への疑問、2010年に第三回小田島雄志・翻訳戯曲賞を受賞した、
新進演出家小川絵梨子が挑む人間の本質を鋭く描き出す法廷緊迫の密室劇!!
近所の老女宅に父ゲンタロウが入り浸るようになって1年。
ひきこもりの長男タカヒコと次男アユヒコは父親の年金を当てにして無職、独身で暮らしていた。
まったく家に帰って来ない父を不思議に思い、タカヒコは老女宅に侵入を試みる。
すると老女はとっくに死んでいて、遺棄したまま老女の年金で父親は暮らしていた。
タカヒコは父親と口論になり、誤って父親を殺してしまう。そして老女と父親の死体を遺棄したまま、
アユヒコと一緒に暮らすようになった。
ある日、囲い屋のイサオが妙な奴らを連れて来た。新興カルト教団の信者たち。
宇宙人のUFO内で2人を改造し、サイボーグとして蘇らせてもらうという・・・。
愛や情がどこかで決定的に欠落し、妙な絆だけが残り、遺体に依存し続ける者たちの悲喜バカ劇。
1934年、ドイツ。 首相の座に就いたばかりのヒットラーは着々と独裁体制を固めつつあった。
突撃隊隊長・レームは、ヒットラーと協力して国防軍を倒す「第二革命」を夢見ている。
それが、「わが友」ヒットラーの野望を妨げる夢だと知らずに…。
ヒットラーを信じるレーム、そんな彼に共感しつつも政治家であろうとするヒットラー。
更に、ヒットラーの政敵・シュトラッサー、「死の商人」クルップ…
四人の男たちの思惑がさまざまに入り乱れる。
しかし、ヒットラーが下した決断は、彼らの想像を超えて衝撃的なものだった……。
古代ギリシャ、トロヤ戦争の時代。
ギリシャ軍・軍師オデュッセウスは若武者ネオプトレモスと共に無人島へ向かう。
ギリシャ最強の男に会うために…その男こそ、猛将ピロクテーテス。
戦傷ゆえにほかならぬオデュッセウスの手で島に置き去られてから10年
彼の心骨まで恨み続ける日々。だが、オデュッセウスは勝利の為にこの男を連れ戻すしかない…
せめぎあう大義と私情、道義と嘘―孤島に対峙する男たちは、一触即発の状況に…。
ソフォクレスの古典を鬼才・ハイナー・ミュラーが解体、ペーター・ゲスナーが現代に蘇らせる!
別役実の傑作「赤色エレジー」は、1980年文学座アトリエにおいて初演された。
70年代の政治運動を経て虚無に陥った男と彼を見捨てきれない女の同棲生活を描く本作品は
林静一の劇画に題名とイメージを借りながらもまぎれもなく「別役実の別世界」として広がりをみせている。
乾いた笑いの中にひそむ、暗い悪意。不都合な歴史や醜い過去はすべて記憶の彼方に流し軽佻浮薄に
楽しく生きる日本人へ突きつけられる途方もない「復讐」- 。
終幕での主人公の孤独な叫びは我々の心を突き刺さずにはおかない。