★ 登場人物 ★ ヒットラーの時代★ 三島由紀夫
★ 先に読んでおくとより楽しめる!おススメ本 ★

アドルフ・ヒットラー
ドイツの独裁者。この物語は、彼がドイツ(当時はワイマール共和国)の首相になって1年後から始まる。着々と独裁への道筋を固めていたものの、政敵も多く、いつ失脚してもおかしくない状況だった。本作品に描かれた事件を転機に、ヒットラーは名実ともに独裁者として、戦争・粛清・ホロコーストの道に突き進んでゆく。
エルンスト・レーム
ナチ党の軍人、突撃隊幕僚長。職業軍人として第一次世界大戦でも活躍。1919年、ドイツ労働者党に入党。ヒトラーと意気投合し、同志として党の発展につくす。1933年ヒトラーが首相になると「無任所相」として入閣。彼の夢は自分が率いる「突撃隊」を核とした国民軍をつくることだった。しかし、そんな希望が正規の国軍に受け入れられるはずがない…そんな背景からこの物語は始まる。
グレゴール・シュトラッサー
ナチ党左派の政治家。党員獲得に活躍し、組織全国指導者となる。しかし、ナチスの社会主義的な方針(企業の国有化など)を重んじる彼は、大企業に傾き始めたヒットラーと次第に対立するようになる。
1932年、彼はシュライヒャー将軍から連立内閣樹立の陰謀に誘われる。計画は失敗したが、これを機にシュトラッサーは党の役職をすべて退く。…この物語の舞台はその2年後。シュトラッサーは隠棲状態だった。
グスタフ・クルップ
戦前ドイツ最大の重工業・クルップ社の社長。
クルップ社は軍需産業として栄えていたが、第一次大戦敗北後、兵器製造が禁じられ、一般の消費財を作っていた。1930年代から再び兵器製造を始め、資本の援助や軍事力強化を求めるナチ党の接近を受ける。当初、ナチ党に反対の立場だったクルップだが、労働組合解散などの恩恵を受け、結局ナチ協力者となる。
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時代背景
第一次世界大戦が泥沼化し、ドイツ国民の不満が爆発して革命がおき、ドイツ帝国が滅亡したのは、1918年のことだった。
その後、いろんな主義主張をなんとか協調させて、翌年に「ワイマール共和国」が誕生。連合国軍との講和も結ばれ、ここに大戦終結となる。
ワイマール共和国は民主的な国家だった。文化が栄え、自由な空気に満ちていた。
……が、自由はあっても金がなかった。
敗戦で連合国に背負わされた賠償金は、約20億マルク。財政は圧迫され、やがて起きた強烈なインフレ、そして世界大恐慌が貧しい人々にとどめをさした。
…ヒットラーが政治家として名をあげはじめたのは、この頃である。
虐げられた人間は、もっと弱い人間や「ちょっと変わった人」を攻撃しがちである。ヒットラーの「反ユダヤ主義」も、もっとも弱く貧しい大衆に大受けしたのだった。
1930年代に入ると、ドイツの政治地図はますます入り乱れていた。強い政党がないため一党で内閣が作れず、連立内閣ばかりがころころ代わる状態だった。
1933年、「ヒットラー首相」が誕生するが、それを予想した者はなかったという。いわば「棚ぼた」式に、ヒットラーは首相に指名されたのだ。「ヒットラー人気を政治の安定に利用しよう」と考える政治家たちの思惑のために…。
しかし、彼らは甘かった。首相になったヒットラーは、「全権委任法」で議会の機能を停止し、その後は敵対する政党をひとつひとつ活動禁止にしてゆく。
とはいえ、この劇の序幕・1934年の時点では、ヒットラーもまだ完全な独裁者ではない。重病とはいえヒンデンブルク大統領が生きており、さまざまな政敵もいた。
他国の侵略・植民地化による経済発展をもくろんでいたヒットラーとしては、軍部(国軍)も手なずけておきたいし、クルップ家のような大資本家の協力もほしい。
…この物語が始まるとき、ヒットラーは「政治家」としてのさまざまな計算をせねばならない状況だったのである。
ところで、この「共和国」末期の歴史だが、何かに似ていないだろうか。
国家財政の危機、リーダー不在、ころころ代わる連立内閣。そう、現在の日本である。
「今までにない」タイプの強いリーダーが颯爽と現れたら…ご注意を。

三島由紀夫(1925〜1970)
作家・劇作家。東京・四谷で貴族の子弟として育つ。学習院中等科在学中から小説や詩を発表し始め、19歳で作家デビュー。東京大学卒業後大蔵省に勤務するが、創作活動に専念するため退職。以後、小説「仮面の告白」「金閣寺」「憂国」、戯曲「近代能楽集」「鹿鳴館」等、次々に問題作を発表し、日本のみならず海外でも高い評価を得る。映画俳優としての活動やボディビル、ボクシング、武道への傾倒など作家以外の活動も常に注目を呼んだ。晩年はナショナリズムに傾倒し、自衛隊体験入隊を経て「楯の会」を結成。
1970年11月25日45歳という若さで、東京市ヶ谷の自衛隊駐屯地にて自決した。
奇しくも、この戯曲に登場するアドルフ・ヒットラーも45歳である。
三島由紀夫文学館

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劇画ヒットラー
水木しげる ちくま文庫
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わが闘争(上・下)
―国家社会主義運動
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ヒトラー伝説
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図解 第三帝国
森瀬 繚 司 史生
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