吾心似秋月 住職の茶掛軸の説明です

☆『吾心似秋月』の出処は 寒山詩 ☆

吾心似秋月  吾わが心こころ秋月しゅうげつに似にたり
碧潭清皎潔  碧潭へきたん清きよくして皎潔こうけつたり
無物堪比倫  物ものの比倫ひりんに堪たえたるは無なし
教我如何説  我われをして如何いかんが説とかしめん

(意味の説明)
  碧潭 … 水が深く青緑色に見えるふち。
  皎潔 … 白く清らかなようす。


☆ 寒山詩とは ☆

『寒山詩』の作者とされている寒山(かんざん)拾得(じっとく)は それぞれ襤褸を纏い
巻物と箒を手にした姿でよく知られてる。師であろうとされている 豊干禅師と天台山
国清寺にあって 文殊菩薩普賢菩薩の化身と言われながら 詳しい伝記はない。
しかし その風狂の生き方は多くの伝説を残してた。
そんなことで 本当は『寒山詩』の作者は誰か はっきりとしていない。


☆ 意味するとこ ☆

自分の心は まるで中秋の明月が 碧(あお)く澄んだ池に映っているように清らかである。
私の心を何かに譬えようとしても 比べる物がない。
これをどのようにして人に伝えればよいのだろうか。
(「禅語に学ぶ 生き方。死に方」 西村惠信著・2010.07 禅文化研究所刊より)

その他の訳
  入矢義高監修『禅語辞典』
「わが心は、澄みきった碧潭に皎皎と冴えている秋の月そのものだ」とある。
【吾心似秋月、碧潭澄皎潔】

  柴山全慶編『禅林句集』
「吾が心性は秋の明月の如く、碧潭の清澄皎潔さそのままだ」