No3 西宮・海清僧堂と加藤月叟老師 その一

      西宮まつりで 海清寺の坐禅会に参加


  西宮の海清寺と 加藤月叟老師に関して 我が書き留めた 私記より一部抜粋したものである。

平成28年11月23日

 阪急河原町からだと ほぼ一時間で遠くはないが 阪急西宮北口から海清僧堂までは 結構遠い 印象では30分近くかかったような
感じがした。 お寺の入口で西宮市の まちたび西宮2016を担当されている 職員の方がおられ出席点呼を受けた。
最初に受付で 何と何と 墨で住所と名前を記載させられた。書道に自身がないので 赤面しながら何とか書き その後は書院で暫く待っ
ていると 僧堂の副司さんが来られ 最初にいろいろと 当日坐禅会に関する説明をされた。
参加者は全員で ちょうど三十人で 女性の方がやや多い。そして年齢層は普段の坐禅会の参加者と違い 大変お若い方が多い印象が
あった。 そして最初の説明の時に知ったが 多くは坐禅が初めての方であった。 多分それで 若い方が多いのであろう。

そして坐禅の仕方を説明があった後は いよいよ坐禅堂へ。 私は既に幾つかの 専門道場の坐禅堂で坐禅をしたことがあるが いつも
初めて入堂する 専門道場の坐禅堂は 好奇心で気持ちが高ぶる。

そして最初の驚きがあった。案内されたのは ななんと昔風の坐禅堂ではなくて 鉄筋コンクリート造の坐禅堂であった。 そして 前には
超高層マンションである セントラルガーデンタワーがあり また西宮市役所の前でもあった。
そしてこの西宮市役所の敷地は もともと海清僧堂のものであったという。坐禅堂は近代的な三階建てのビルの最上階 三階にあった。
坐禅堂は 三階まで登るとすぐに その姿を現す。それにしても 階段をあがったところが 直ぐに後門となっている。
どちらにしても ビルの三階の坐禅堂は驚きであった。更に 二つの上り階段があるためか 後門が直日単と単頭単用と二つに分かれて
いる構図になっている。
三つめが 聖像の文殊菩薩さまが 後門に置かれていることである。正直これが 一番の驚きであったかもしれない。何故なら 入堂する
時に低頭礼拝するのであるが 前に向かってすると文殊菩薩さまに背を向けてすることとなる。仕方ないので 私は階段から上った後 振り
向き礼拝をし その後 前門に向かってもう一度礼拝することとした。

しかし臨済宗の僧堂でも 全ての作法が全く一緒ということは ないのであろう。 私は常にそう思っている。
特に 禅堂から出堂する時は 若干違う様に思えてならない。 普通は 前門近くにある文殊菩薩に礼拝するため 出る前に一度回れ右
して礼拝して出堂するのであるが・・・  菩薩の位置と建物の構造など等で 少し違う場合があるのは確かだ。

ここの禅堂には 中単は無いが 結構広く 物理的には中単を置くことは 十分過ぎる程に広い禅堂である。両単とも 二十人程度座れる
ようになっている。一人置きに座って 合計二十人程度がベストであろうか。単の高さは結構低いので 短足の私でも 足上げで十二分に
上がる高さである。
最初は二しゅ坐った。最初の時に一応 警策を受けてみた。最初の説明の時に聞いたのであるが ここでは 何方の肩からでも良いとの事
であったので それに従った。

一番最初の警策は私が受けたが その後は何人かの方々が受けられる様になった。 居士向けと言うか あまり強い警策ではなかった。
ほとんど痛くない程度の叩き方である。その後 書院に戻って 食事。
これが初めての方が多いので仕方ないのだが ちょっと中途半端な斎坐であった。 最初から御飯汁おかずが全て 全員に配膳されていた。
そして つぐところから 汁 飯 おかずと これは飯代官がついて それなりのやり方と 突然変化していた。

忘れていたが お経は食事五観文の偈のみ サバはとった。 そして 食事が終わって 食器の洗い方が何故か懇切懇切丁寧であった。
そして 最後に「我等と衆生と この功徳をもって あまねく一切に・・・」を言って終了となった。 素人の居士ばかりであるのに それなりに
整然と終了したのには 少しばかり感心した。

そして直ぐに 午後の座禅。大衆禅堂大摂心と違って 全くアイドルタイムというか手待ち時間が生じないのは嬉しい。
再び禅堂で坐禅。 それにしても四十人程度の 坐る修行僧用の座布団が置いてあるのに 現在は九人しかいないと言うのは 少しばかり
寂しい。 参加者三十名について 直日と助警の二人で巡警してくれると 参加者十五人に一人の指導者となって こんなに 初めての方が
多い座禅会の割には 結構しっかりとした座禅風景で時が流れたのには 少々驚いてしまった。思っていたより ずっと良い雰囲気であった。

坐禅が終了して 老師を囲んでの 茶礼がしめとなった。 実はこの茶礼が結構長い時間であった。 ここの加藤月叟老師は 円福僧堂から
来られた老師で まだ老師としては還暦をちょっと出ただけとお若いのからか 坐禅会参加者全員三十名全員に 一人一人づつに お茶を
点てて下さったのには 全く持って驚いた。 いやぁ 一時間以上時間を費やされ 色々とお話下さり 有意義な時間を過ごせた。
そんなことで 茶礼で相当の時間がかかり 予定時間を結構オーバーしてしまった。 それで予定の作務はなくなった。助かった。笑

抹茶を楽しみつつ 老師は次の様な法話会の話をされた。以下が 海清僧堂で毎月されている 法話会の説明である。
第二土曜日 午前九時から 老師の『 法話会 』 金額は 無料 昼食つきは千円。 更に昼からは 花園大学名誉教授 沖本先生
のお話がある。一応修行僧向けであるが 居士も参加出来るとのこと。
どうも 良く解らないが 是非一度は参加したいと思った。さらに 老師曰く 『 好きな時に来て 禅堂に坐って下さって結構ですよ 』
本当かと思いつつ 次に来た時にもう一度聞いてみようと思っている。 私には何かと 夢を抱かせる僧堂であった

平成28年12月11日

今日は二度目の西宮まつり 海清僧堂での坐禅会に参加する日。二度目にも関わらず 道を少し間違え遅刻してしまった。海清僧堂
に着いた私は 最後の参加者となっていた。今日の参加者は 全員で19名であった。
そして前回同様 午前十時から 坐禅。
前回同様に 後門から入って一旦振り向いて 聖僧に一拝してもう一度振り向き合掌しながらすすむ。 僧堂で修行僧が使っている
蒲団座布団を使用して 坐禅が出来るのは いつもながら嬉しいことだ。
今回は ゆっくりと観察した。 まずは単への上がり方だが ここでは 右足からあがっている。 と言うよりは腰から上がるには ちょっと
単の高さが低いといえた。 巡警であるが 文殊菩薩の位置が 前門ではなくて後門にあるため 直日と助警が交差するのは 通常の
後門ではなくて前門で行っている。

十一時になって 昼食斎坐の時間となった。実は 前回と微妙に違っていた。 それは何かと言うと 前はご飯がまだ入っていなかったが
今回は既に入っていた。そして 直ぐにさば取りとなった。言葉で書くと次の通りである。
『 まず右手の親指そして 私の場合は薬指もであるが これを汁に漬け濡らして ご飯粒を五粒程を 親指と薬指でとって左手を開けて
その上で 米を持った右手をくるくる三度廻し念じ 自分の食卓の右前方前のところに 置くのである。置く場所も前もって 濡らしておくと
後の さば取りが楽である。
そして 食事五観文を唱える。そして いただきます。まずは最初に 箸をもって 汁を取ってその箸を濡らして ものを取りやすくする。
そして 御飯を持って食べ出す。今回の場合 おかずの芋と一緒のところに 沢庵が入っていた。 勿論 これは食べずに最後の洗鉢に
使うのである。そして 順次である。 二度目は 必ず汁 飯の順となる。 どちらも結構一杯に お代りを入れてもらった 朝かなり歩いた
のでか 腹が減っていたからである。

次の決まりは 結構忘れやすい。
自分の次の方が 入れ終わってから 食べ始めるのである。 これが結構慣れていないと 直ぐに忘れてしまうのである。 今回の場合は。
お替わりをする方は 女性の参加者が多いためか 意外と少なかった。そして 自分が食べ終わっても 箸を持ったままでいる。 最後の者が
食べ終わるまで 先に食べ終えたものは 箸をずっと自分の膝の上でもっている そうする場合が多い。 しかし今回はそういった指導はない
ので 箸を置くことした。
さばを修行僧が 取りに来るので 礼拝する。そして お茶入れてもらうのである。後は沢庵で洗鉢しながら箸も洗って 沢庵を食べ 汁の縁も
奇麗にして 布巾で拭くのである こうすればその後 洗う必要はない。
その後が 鉢を小さい方から 中指を立ててひっくり返して その上に 汁の鉢ご飯の鉢を上へ重ねていって 今度は両手で引っくり返して 卓の
上に置いて完了である。最後に 卓を拭く布巾が廻って来た。通常は これは修行僧がやってきて拭いてくれるのである。そしてその時 坐って
いるものは この卓が動かない様に支えるのだ。
最後に食後は 簡略し「この功徳を以て・・・」 それを唱和して 食事は終了となった。

そして最後の 老師主催の茶会。 順番から行くと 二番目の席に行きそうだったので 思案した結果歩いている途中で トイレに寄り道して
最後尾から行くこととした。その結果最後の末席となった。と言っても 西宮市役所の女性の方は前回同様その大きな茶会の輪にはいられ
なかった。最初お会いした時は 結構煩くて 恐い感じがしていたが 今回は私が予備知識をもって挑んだためか 何となく気さくな老師と思う
様になった。結局茶会はほぼ一時間ほどかけて 終了するのであった。話をするうちに 老師も意外と面白い方だと思えるようになっていた

私は坐禅のことに関して もう一度確認した。坐禅はいつでも坐れると 老師は言われたが 修行僧曰く 結構行事が沢山ありますので
出来たら二三日前には 必ず連絡していただきたいとのことである。確かに然りである。 提唱も 聞けるらしいが 現在は臨済録。そして
参加居士の方々も お名前が本堂に掲載されているという。 他に 海清寺では茶会かあるという。 ただ教えるのではなく 飲むだけらしい。
他に写経もあり 又最近では場所提供で煎茶もあるとのこと。
ちなみに僧堂であるが 通常ある十二月の ろうはつ大摂心はないとのこと。旧暦に従って 一月の厳冬期にあるという。そして 12月には
遠托鉢に出掛けるという。
そして茶会もお開きとなって 書院に戻って アンケートを書き 「お先に 失礼します」と言って海清寺を後にした。そして この二回の海清寺
坐禅会に参加したことで 海清寺の『法話会』に参加することとなった。




禅のあれこれメニューに戻る