『御宿かわせみ』  平岩弓枝
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 北海道のあるところのとある旅館が、「かわせみ」という名前でした(^_^;)
 確かに、川のそばにありましたけど(笑)

 『御宿かわせみ』シリーズは、「かわせみ」の女あるじのるいと、恋人の神林東吾を中心にした連作ものです。
 時代は、江戸末期、異国船がそろそろ来始めた頃になります。

 関り合う、または持ち込まれるいろいろはな事件を解決していく捕物帳仕立てではありますが、謎解きというよりは、人情話に重点が置かれているようです。
 犯人探しもあれば、やり切れない話もあるし、また、ユーモラスなな話もあります。事件らしい事件の起こらないやつもあります(「白萩屋敷の月」)
 何度かTV化されているので、おなじみの方も多いかと思います。

 はじめて「かわせみ」シリーズを読んだのは、今からもう、12、3年以上も前だったと思います。1巻から4巻までを、まとめて読みました。
 その頃は、東吾さんはおるいさんと添い遂げるのか、お兄さんの後を継ぐのか、七重さんのことはどうするのか、まだ決まっていない状態でしたが、その後のシリーズで、方月館のおとせ・正吉親子、そして天野宗太郎もレギュラーに加わり、源三郎さんは結婚し、七重さんも婿を迎えます。
 それから、かわせみ第二世代の源太郎くん、花世ちゃんたちが活躍するようになります。祝言を挙げた東吾さんおるいさんに、お子さんがお生まれになったりもしますね.

 番頭の嘉助始め、脇役も、なかなか素敵です。
 「かわせみ」のお吉さんなんか特に、いい味を出してますね。

 このシリーズで、私が好きなのは、何と言っても神林通之進、東吾さんのお兄さんですね。神林のお兄さんといえば、浅見陽一郎(内田康夫の「浅見光彦」シリーズの、光彦の兄の刑事局長さん)か神林通之進か、って感じですわ(おいおい)知らん振りで、何もかもわかっているあたりがいいですね。
 登場したての頃は、病弱そうでしたが、今ではそんなでもないのかな(笑)

 しかしながら、結婚するなら天野宗太郎だと思うのです(おいおい) 源三郎さんだとお役目第一で、お千絵さんも大変そうだし、やはり宗太郎を婿に迎えたいかな、と(笑)
 東吾さんは、もてすぎといいますか、隠し子のこともあるし、う〜む・・
 まあ、今後はその麻太郎少年とるいとの関りも読者の気になるところになるのでしょう。 

 このシリーズ、まだまだ続くようです。いまどき貴重な時代小説のシリーズもの、登場人物たちの行く末についても、目が離せません。

御宿かわせみ 1974.5 毎日新聞社/1979.3 文春文庫 (以下リストへ)

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