捕物帖文学史


 小説・漫画はもちろん、TVオリジナルの作品を含めて、数多くの捕物帖が存在します。

 一番最初に書かれた捕物帖は、岡本綺堂の『半七捕物帳』です。
 結構、知られている話ですが、『半七捕物帳』は、『シャーロック・ホームズ」(コナン・ドイル)の影響を受けて、書かれたものだそうです。
 (どうでもいいんですが、先日ケーブルTVの時代小説チャンネルのガイドにあった、里見浩太郎の「半七捕物帳」の解説、岡本綺堂の堂の字、道になってました(汗))
 岡本綺堂は、「シャーロック・ホームズ」を読んで、探偵物語に興味を持ち、自分でも書いて見ようと思ったそうですが、ただ、現代の探偵物語を書くと、どうしても西洋の真似になってしまうので、いっそのこと純和風に書こうと考えたそうです。

 『半七捕物帳』の後、『右門捕物帳』(佐々木味津三)、『銭形平次捕物控』(野村胡堂)、『人形佐七捕物帳』(横溝正史)が発表されます。それに、『若さま侍捕物手帖』(城昌幸)を加えた五つが、「五大捕物帳」に数えられます。

 ちょっと異色なものとしては、『顎十郎捕物帳』(久生十蘭)が挙げられます。
 普通、捕物帳の主人公と言えば、二枚目と相場が決まってましたが、この「顎十郎」こと仙波阿古十郎は、特大の顎を持っています。内心では気にしているのか、かつての同僚が何気なく自分の顎を撫でたところ、抜き打ちに斬りつけたというエピソードの持ち主です(笑)

 

 その他、代表的な捕物帖シリーズとしては、『伝七捕物帳』(陣出達朗)、『同心部屋御用帳』(島田一男)、『ゆっくり雨太郎捕物控』(>多岐川恭)などがあります。
 横溝正史もそうでしたが、島田一男や多岐川恭も、現代の推理小説家としても著名でした。島田一男など、読んだものでした。

 

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