「今日のベルサイユは大変な人ですこと」
 
― マリー・アントワネット(1755-1793)



 マリア・テレジア女帝と皇帝フランツ・ヨーゼフの6女として生まれたマリー・アントワネット(マリア・アントニア)が、フランス王ルイ15世の孫、のちのルイ16世に嫁ぎ、フランス革命(1789)で、処刑されたことは、あまりにも有名でしょう。  食料を求める民衆に対して、「パンが足りないのなら、お菓子を食べれば良いのに」と言って、恨みを買った話はよく知られていますが、かの『ベルサイユのばら』を読んでしまった者にとっては、むしろ、「今日のベルサイユは大変な人ですこと」というセリフが、印象に残っているかも知れません(笑)

 さて、その「今日のベルサイユは大変な人ですこと」ですが、このセリフは、アントワネットが、夫の祖父の公式愛妾であるデュバリー侯爵夫人ジャンヌに言った言葉とされています。ジャンヌに話しかけるのがいやでいやで仕方がないアントワネットが、ようやく口にした言葉ですね(^^;

 ジャンヌは、『ベルばら』では敵役になってますが(笑)実際のところは、身分の低い生まれながら優しい女性で、その美貌と魅力でルイじいさまをとりこにしたそうです。(ええと、ポンパドゥール夫人の後釜ですね。)
 しかし、アントワネットは、王太子妃たる自分を差し置いて人々に注目されるジャンヌの存在が気に入らなかったのか、ジャンヌを快く思わない連中に焚き付けられたのか、それとも母のマリア・テレジアの愛人嫌いの影響なのか、ジャンヌには決して心を許そうとしなかったといいます。
 言葉をかける云々も、身分の低いものからは高いものへは話しかけられないというしきたりを利用して、ジャンヌを無視し続けるという、嫌がらせから来ているわけでした。どうしても、何か言わなければいけない羽目になって、顔をちょっとだけ向けて、「今日のベルサイユは大変な人ですこと」と。(シュテファン・ツヴァイクの本なんかにはそう書いてある(笑))

 アントワネットは、ルイじいさまの死後、ジャンヌを一時尼僧院に幽閉したとかいう話ですが、ところで、アントワネットには、愛人がいたことは知られてます。スウェーデンのフェルセン伯ですね。(『ベルばら』では、ここにオスカルが絡んでくる、と(笑))
 その際(って何の際だ)、アントワネットは、夫のルイ16世に、フェルセンを愛していることを打ち明け、ルイはそれを受け入れたそうです。これ、『ベルばら』でもアントワネットの告白シーンはありましたが、子供心にルイが可哀想だったっす(^^ゞ冗談でなく、ルイは気の毒で、、、○○で○○○○できなかったから、逆に「男らしい」狩猟に熱中したりしたんだ、とかあ〜だこ〜だ言われてますが(汗)

 王妃とフェルセンとの仲を、ルイに密告するものをいたそうですが、ルイは、密告者の卑しさを悲しんだとか。う〜むう〜む・・。なお、フェルセンは、革命勃発の折り、国王一家を助けるために奔走したことも知られています。



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